便秘における食事療法 <水溶性食物繊維と難消化性デキストリン>
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便秘とは
便秘は2~3日に1回の排便でも、苦痛を感じなければ便秘症とは言いません。
逆に毎日排便があっても、便が硬く・少量・排便に苦痛を感じる・残便感がある場合は便秘です。
便秘における食事療法の必要性
便秘治療はどうしても各種下剤を工夫して排便をコントロールしてしまいがちです。
しかし生活習慣の改善と食事療法を行ったうえで薬物療法を行うのが正しい治療の手順です。
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便秘解消に食物繊維を摂りましょう
成人男性の一日の目標食物繊維摂取量が20g以上、女性は18g以上で理想は24g/日以上
現在の日本人の食物繊維摂取量は14.5g/日と目標をはるかに下回っています。
主食・主菜・副菜の組み合わせで一日2食以上摂取してるのは人口の50%未満です。
食品を例にすると目標摂取量は ( )は食物繊維量
- ブロッコリー ⇒2株(22g)
- キャベツ ⇒1個と1/2個(22g)
- リンゴ ⇒5個(21g)
加熱調理をするなどして調理方法を工夫し効率よく摂りましょう。
そして朝食を欠食する人が男性の20代~50代位・女性の20代で多いです。
このことから日本人は今や便秘になりやすい生活習慣になっています。
1食抜くとその分の食物繊維をその他の2食で取ることは難しいです。
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食物繊維には2種類あります
- 水に溶けゲル状になる水溶性食物繊維
- 水に溶けにくい不溶性食物繊維
どちらも腸内環境を整える働きがあり、それぞれ特徴があります。
水溶性と不溶性の比率は1:2が理想といわれます。
水溶性食物繊維を多く含む食物と作用
水溶性食物繊維とは果物、野菜に多く含まれるペクチンや、こんぶやわかめなど海藻類に多く含まれるアルギン酸、生のこんにゃく芋に含まれるグルコマンナンなどです。
水溶性食物繊維は水分保持力が強く、水に溶けるとドロドロのゲル状に変化します。
腸の粘膜を守る効果、善玉菌を増やす効果もあるため、整腸作用があります。
他にも炭水化物(糖質)の消化・吸収を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ効果、コレステロールなどの余分な脂質を吸着し排出するなど、体への吸収を抑制する作用があります。
水溶性食物繊維が多く含まれる食品の例アボカド、ゆりね、オクラ、山芋、あしたば、海藻類、ごぼう、納豆など
不溶性食物繊維を多く含む食物と作用
不溶性食物繊維は文字どうり水に溶けない食物繊維で、胃や腸で水分を吸収し膨らみます。
これにより、便の量を増したり、腸を刺激して腸の動きを活発にし、便通を促進します。
食事には野菜やきのこ、海藻、豆類を多く取り入れるほか、お米は玄米にする、白米なら麦など雑穀を混ぜて炊く、パンは全粒粉に変えるなどで繊維を摂ることができます。
不溶性食物繊維が多く含まれる食品は、いわゆる”繊維質”な食べ物が多く、よく噛まなければならないものばかりです。
よって、食べすぎを防ぎ、満腹感を得られやすいというダイエット効果もあります。
「便秘解消には食物繊維」と言われますが、不溶性食物繊維を多く取ると、場合によっては便が硬くなり便秘の原因になることもあります。
たっぷりの水分も一緒に摂るようにしましょう。
不溶性食物繊維が多く含まれる食品の例いんげん豆、ひよこ豆、あずき、おから、エリンギ、えのき、切り干し大根、小麦ふすま、干し柿、アーモンドなど
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難消化性デキストリンとは
トクホの飲料や機能性表示食品の飲料によく入っている「難消化性デキストリン」ですが、実際にはどんな物質でしょう。
読んで字のごとく消化されにくいデキストリンですが、トウモロコシのデンプンを培焼し、アミラーゼ(食物として摂取したデンプンを消化する酵素)で加水分解します。
その中の難消化性成分を取り出して調製した水溶性の食物繊維が難消化性デキストリンです。
低粘性・低甘味で水溶液はほぼ透明、耐熱性・耐酸性に優れている食品素材です。
その効果には
1.糖の吸収スピードの遅延作用(食後血糖の上昇抑制作用)
食事から摂った炭水化物(糖質)は、体内でブドウ糖に分解されます。
そのあと小腸で吸収されて肝臓へ送られます。
この小腸で糖が吸収されるときに、難消化性デキストリンの働きで、糖の吸収スピードがゆるやかになることがわかっています。
但しこのヒトに対する研究(出典:水嶋昇他 健康・栄養食品研究 Vol.2 No.4 1999)はうどん定食を食べた人に対して行っているため、炭水化物だけの食事では効果があります。
しかし日常で食べるタンパク質や脂質のある食事ではこれだけの効果は得られないと思います。
2.整腸作用
難消化性デキストリンは、水分を抱えこみ保持する性質があるため、便の軟らかさを保ち、便量を増やし、便の通過時間を短縮させる作用があります。
また、腸内細菌叢を改善するなど、整腸作用と関わりのある生理作用が多く見いだされています。
ですので飲み過ぎるとお腹がゆるくなります。
飲料の側面に書かれている量以上に飲まないようにしましょう。
3.中性脂肪を減らす
粘性の食物繊維が小腸の壁をゆっくりと移動することで、脂質を初めとする栄養素の吸収を遅らせる効果があります。
食事に含まれる脂質の吸収を遅らせることで、食後中性脂肪の上昇は緩やかになります。
また、継続して摂取することにより、内臓脂肪及び中性脂肪が減ります。
但しこの実験も難消化性デキストリンを1食あたり10g、1日3回12週間摂取しています。
実際にこのような摂取をすると下痢が確実に生じると思われ、現実的ではありません。
トクホや機能性表示食品の製品も1日の摂取量として5~10g程度の物ですので実際の効果としては疑わしいと思います。
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難消化性デキストリンを格安で入手したい場合
それでも難消化性デキストリンを摂りたい方はAmazon等で難消化性デキストリンの粉を購入しお茶やコーヒーに入れるとあっという間に格安で機能性表示食品になります。
1日に5~10gの摂取が目安です。
まとめ
腸内環境を整えましょう
腸内では、乳酸菌などが善玉菌として腸内環境を整えています。
また、善玉菌の栄養となるオリゴ糖や食物繊維などと一緒に摂ると効果的です。
乳酸菌を含む食品ヨーグルト、チーズ、バター、乳酸菌飲料、漬物、味噌、しょうゆなど
オリゴ糖を含む食品大豆、バナナ、ごぼう、たまねぎ、ねぎ、ニンニク、アスパラガスなど
食物繊維を多く含む食品野菜、海藻類、果物など
脂質や香辛料を適度に摂りましょう
脂質や香辛料も適量であれば腸の蠕動運動を促します。
※痙攣性便秘や器質性便秘などの場合は控えましょう。
水分を摂りましょう
水分は便を軟らかくし排便を助けます。
起床後にコップ1杯程度の水を飲むと腸が刺激され、蠕動運動が活発になり、排便が期待できます。
3食を規則正しく摂る
特に朝食は、腸を刺激し排便の習慣を身につけやすくするために大切です。
時間に余裕をもって朝食を摂り、トイレへ行く時間を作りましょう。
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