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ボヘミアン・ラプソディーを観て思ったエイズ治療の今昔

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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最近話題の映画「ボヘミアン・ラプソディー」観てきました。

QUEENのメンバーであったフレディ・マーキュリーの半生の映画です。

映画の内容やQUEEN、フレディ・マーキュリーとはどんな人物といったことは今回のブログでは書きません。

感動しつつ途中で思ったのは、現在ならフレディ・マーキュリーはエイズで死ぬこともなかったのに。

医学の進歩が追い付いていませんでした。残念です。

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エイズとはどんな病気か

エイズとは、「後天性免疫不全症候群」の省略した言葉です。

(AIDS:Acquired ImmunoDeficiency Syndrome )

HIVウイルスに感染すると血液中のCD4リンパ球の力が弱くなり、体の中の免疫力が壊されてしまいます。

CD4リンパ球とは

免疫のしくみには、血液中の白血球の一つであるリンパ球が大きな役割を担っています。中でも「CD4リンパ球」と呼ばれるものは免疫の指令塔の役割を果たしています。

HIVはCD4リンパ球に感染して破壊し、その数を徐々に減らしていきます。健康な人では、血液1µl(1000分の1cc)あたり700~1500個のCD4リンパ球が存在しますが、HIVの感染によってはCD4リンパ球が減少してくることにより、いろいろな「日和見(ひよりみ)感染症」にかかりやすくなってきます。ですから、このCD4リンパ球の数を測ることによって、現在の身体の抵抗力や注意すべき日和見感染を知ることができるのです。

引用:http://www.kyumed.jp/kansensho/care/qa/a04

 

その結果免疫機能が低下し、健康時には抑えられていた病原性の弱い微生物やウイルスが暴れだします。

さまざまな症状が現れ「日和見(ひよりみ)感染症」と呼ばれる元気な人ではかからない感染症を発症します。

(これは体の弱った老人や抗癌剤などで免疫が弱った患者さん、白血病でも生じます。)

 

HIVウイルス感染後の経過

HIVウイルスに感染しても、ほとんどの人には症状がすぐにはありません。

この症状がない状態は長い間続きます(平均10年間)。

この状態を「無症候性キャリア」といいます。

その後、急激な体重減少、下痢、発熱などの症状がでます。

病気が進行すると、さまざまな感染症や、悪性腫瘍にかかったりします。

さらに免疫が弱くなると、いくつかの日和見感染症などを発症します。

この状態になって「エイズの発症」といいます。

つまり、 エイズ発症 ≠ HIV 感染です。

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HIVウイルスの感染経路

エイズがよく分かっていない時代は、エイズはゲイの病気と思われていました。

院長
フレディ・マーキュリーもゲイでしたね。

今では感染経路もしっかり分かっています。

 

1.性行為感染

エイズ患者・HIV感染者の精液、腟分泌液、血液にはたくさんのHIVウイルスが含まれています。

それが性器や肛門、口腔などの傷口を通じてパートナーに感染します。

 

2.血液感染

エイズ患者・HIV感染者の血液が傷ついた粘膜にふれたり、汚染された注射器や注射針などから感染します。

院長
薬害エイズ事件もありました。

 

3.母子感染

母親が感染者である場合、出産前、出産時、授乳時に感染します。

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エイズの予防と治療の概略

エイズの予防

  • 安全な性生活をする。つまり性生活の不明な人や不特定の人とのセックスをしない。もしそのような人とのセックスには必ずコンドームを使う。
  • 注射器や注射針を絶対に他人と共用しない。(注射の回しうちなど)
  • 妊娠中から服薬治療し、帝王切開や人工授乳などの予防措置を行う。

 

エイズの治療

エイズ治療の可能な病院では、定期的に免疫力やHIVの状態を検査し、合併症のチェックをします。

そして、その時の状態に応じてHIVの増殖を抑える治療や合併症を予防する治療をします。

HIVや合併症によって症状が出た時には、その症状に応じた治療を行います。

 

エイズ治療の今昔

1980年代のエイズ治療

治療薬は開発中で発売されていません。

エイズを発症しても抗生剤なども免疫力が低下しているので効かず、亡くなっていくのを待つしかない時代です。

この当時の認識は「HIV感染=エイズ=死ぬ病気」です

院長
フレディ・マーキュリーも残念ながらこの時代です。

 

1990年代のエイズ治療

1992年に2剤併用療法が初めて導入されました。

1995年にHAART(Highly Active Anti-Retroviral Therapy)導入により、HIV感染者の長期生存が可能となります。

しかしこの当時の薬は1日に大量の薬を絶対飲み忘れないようにしないといけない時代です。

院長
1日に合計20個の薬を服用が必要です。それを一部は食間、一部は食後と計5回に分けて服用する必要がありました。

 

2000年以降の治療

2005年に1日1回4錠を食事時間に関係なく服用すればよい治療法が出現します。

そして2013年に1日1回1錠で副作用もほとんどない治療が完成しています。

 

出典:http://acc-elearning.org/AIDS/TextVersion2V9.html

 

これによりエイズは死ぬ病気ではなくなりました。

しかしエイズは治る病気にはまだなっていません。

あくまでも薬を続けることでHIVウイルスが増えるのを抑制し、エイズの発症を予防する治療です。

そのため、一生涯薬を飲み続けることは必要です。

院長
今後は肝炎ウイルスの様にHIVウイルスを消失させることが課題です。

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エイズの検査は簡単に匿名でできます

近くの保健所では無料・匿名で検査をしてくれます。

 

最近は自宅へ検査キットを郵送で送り、自宅で検体を採取し、送り返すこともできます。

 

最後に

フレディ・マーキュリーが活躍していた時代は私が小学生だったので、QUEENはおろか洋楽に全然興味が無かったのですが、映画を観て興味が無かったことを悔やみました。

家に帰ってからYouTubeで映画のラストシーンで使われた「LIVE AID」を観ました。

30年以上前の映像ですが今見ても興奮します。

院長
1985年はまだ小学5年生だったので興味を持つことが無理ですよね…。

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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