アレルギーで起こる病気〈喘息、花粉症、アトピー性皮膚炎など〉
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気管支喘息(成人)
喘息は大きく2つに分けられます
ひとつは概ね15歳までに発症する小児喘息、もうひとつは成人してから症状が現れる成人の喘息です。
さらに成人の喘息は小児喘息が治りきらず、大人になってから再発するタイプと、中高年以降、新たに喘息を発症するタイプに分かれます。
但し、65歳以上の高齢者で新たに喘息を発症する方はほとんどいません。
(本人は忘れているかもしれませんが)再発するタイプが殆どです。
大人の喘息は非アレルギー性が多い
大人の喘息はアレルゲンが特定できない非アレルギー性のものが多く見られます。
これはアレルゲンがあっても特定できないのか、それとも特定のアレルゲンがないのか、明確には判断できません。
そのため大人の喘息の場合、ストレスを感じたときに発作が出るなど、どんな状況で症状が出るのか、普段から自分を観察することが大事です。
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気管支喘息(小児)
アレルゲンがきっかけが多い
成人とは異なり小児喘息のほとんどは、ダニや花粉などのアレルゲン(アレルギーを引き起こすもの)がきっかけとなって気道に炎症が起こるアレルギー性です。
アレルゲンから遠ざけることが大切
子供がアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎を患っていたり、家族に喘息の方がいる場合、喘息になりやすいといわれています。
このような子供が、ダニ、ホコリ、ペットの毛などのアレルゲンや、タバコの煙などの刺激を受け続けると、喘息が生じやすくなると考えられています。
喘息になりやすい子供をこのような刺激からできるだけ遠ざけ、家族で喘息を予防することが大切です。
アレルギー性鼻炎
鼻炎症状は体の防御反応
ハウスダストやスギ花粉など、アレルギーを起こす原因物質を「アレルゲン」といいます。
アレルゲンが鼻に入ると、アレルゲンの侵入を防ぐかのように鼻がつまります。
また、くしゃみや鼻水という症状でアレルゲンを体の外に追い出します。
このように、アレルギー性鼻炎は体にアレルゲンが入らないようにする一種の防御反応として起こっていると考えられます。
通年性と季節性アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、年間を通して起こる「通年性」と一定の季節に限って起こる「季節性」の2種類があります。
「通年性」の主な原因はハウスダストですが、中でも多いのはダニです。ダニ以外の原因には猫や犬などのペットが知られています。
「季節性」のほとんどはスギやヒノキ、ブタクサなどの花粉が原因です。
アトピー性皮膚炎
アトピー体質
アトピー性皮膚炎の患者さんは、「アトピー体質」という遺伝的な要素をもっており、ここにダニやホコリ、食べ物などのアレルゲン、または乾燥や汗などの環境要因が加わると、アトピー性皮膚炎が起こると考えられています。
アトピー性皮膚炎では免疫が過剰に反応し、本来退治する必要のないものに対しても不必要に炎症が起きてしまうことが病気の根本にあります。
免疫が過剰に反応する理由としては、もともとのアレルギーを起こしやすい体質(アトピー体質)や皮膚のバリア機能低下も大きく関係しますが、他に、長期間皮膚に加わる強い刺激やストレス、疲労なども免疫を不安定にしてアトピー性皮膚炎を悪化させることがあります。
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アレルギー性結膜疾患
目はアレルギー症状が生じやすい
アレルギー性結膜疾患は目に起きる色々なアレルギー疾患の総称です。目はアレルギーが起こりやすい臓器です。
目のかゆみやゴロゴロする感じ(異物感)が主な症状で、涙が出たり、目やにが出ることもあります。
近年増加しているアトピー性皮膚炎に合併する目のアレルギー性炎症は、後で述べるように視力を侵す場合もあり、しばらくすれば治るとばかりはいえないものもあり、注意が必要です。
目のアレルギーの症状
かゆみが最も代表的です。
目そのものがかゆく感じる場合もありますが、まぶたやまぶたのふちなどの部分に特にかゆみが現れやすく、かけばかくほど症状が強くなることもあります。
これは、アレルギー反応の特徴です。
適切な治療によってかゆみを止めることが必要です。
次に多いのはごろごろした感じ、「異物感」というものです。
アレルギーの反応によってまぶたの裏側の結膜に粒状のもりあがりができますが、これが、まばたきの際に黒目(角膜)と接触することによって生じる症状です。
小さなゴミが入ったように感じることもあります。
そして、場合によっては黒目に傷がつくこともあります。
涙もよくみられる症状です。
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食物アレルギー
食物アレルギーを引き起こすアレルゲン食品として卵、牛乳、小麦の割合が多くなっています。
その他、サバやイカなどの魚介類、バナナやキウイフルーツなどのフルーツ、大豆、ピーナッツ、ソバなどがあります。
これらの原因食品は年齢によって割合が異なります。
(食物アレルギー診療ガイドライン2012より)
食物アレルギーの症状
皮膚症状
即時型食物アレルギーの症状で最も多く、じんましんやかゆみ、赤みなど、患者さんの約9割にみられます。
呼吸器症状
皮膚症状の次に多いのが、くしゃみ、せき、呼吸困難、ゼーゼー、ヒューヒューなどの症状です。
粘膜症状
口の中がイガイガしたり、唇や口の中、まぶたが腫れるなどの症状が出ます。
また外見的にはわかりませんが、のどの粘膜も腫れてくる可能性があります。
この場合、気道がせばまり、オットセイの鳴き声のようなせきや、声がれ、声が出なくなってきたりします。
さらに進行すると窒息する可能性もあり、迅速な対応が求められます。
消化器症状
腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が出ます。その程度はさまざまです。
アナフィラキシー
原因となる食物を食べた後、アレルギー症状が一つの臓器にとどまらず、皮膚、消化器、呼吸器、循環器や神経など複数の臓器に強い症状が現われることを「アナフィラキシー」といいます。
アナフィラキシーの中でも、血圧が下がり、意識障害などショック症状を伴う状態を「アナフィラキシーショック」と呼び、命に関わる危険性があるので、きわめて早急に手当をする必要があります。
病院を受診した食物アレルギー患者の中で、約10人に1人がショック症状を起こしていると言われています。
運動誘発性アナフィラキシー
アレルギーの原因となる食べ物を食べてから4~6時間以内に運動することによって、アナフィラキシーが起こることを「運動誘発性アナフィラキシー」と言います。
原因となる食べ物を食べても運動しなければアナフィラキシーは生じません。
また、この運動誘発性アナフィラキシーは、痛み止めの内服、高温/寒冷環境、高湿度、花粉症、月経などがあると発症しやすいと言われています。
最初に起こる症状は、全身の熱感、蕁麻疹、身体のだるさなどです。
悪化すると、手足(特に上肢)が腫れる(浮腫)、嘔気、腹痛、下痢、のどの腫れ、血圧低下などの症状がでてきます。
発症後、直ちに運動を中止することが大切です。
「食事+運動=アナフィラキシー」という病気があることを知っておいてください。
アナフィラキシーが起こったらエピペン
エピペンは、アナフィラキシーが現れた時に使用し、医師の治療を受けるまでの間、症状の進行を一時的に緩和し、ショックを防ぐための補助治療剤(アドレナリン自己注射薬)です。
あくまでも補助治療剤なので、アナフィラキシーを根本的に治療するものではありません。
エピペン注射後は直ちに医師による診療を受ける必要があります。
薬物アレルギー
ペニシリンは有名です
薬物アレルギーの典型的なものとして過去に注目されたのは、ペニシリン・ショックです。
細菌による感染症に対して効果を示したペニシリンがアレルギー反応の原因となり、死亡例まで出たことから、大きな問題となりました。
その後、ペニシリン製剤の純度の向上により、ショックの発生頻度は低下しています。
どんな薬でもアレルギーを起こす可能性はあります
現在でも抗菌薬や解熱鎮痛薬等は、アレルギーを起こしやすい可能性がある薬として知られています。
しかし、どんな薬でもアレルギーを起こす可能性はあります。
薬物アレルギーの症状
薬物アレルギーには、注射によって突然ショック状態を起こす例もありますが、その大部分は続けて使ううちに起こる湿疹やかゆみ、めまい、耳鳴りといった軽症から始まります。
初めは軽症に見えても重症化するものもありますので、すぐに医師・薬剤師に相談することが大切です。
その時点で薬の使用をやめると、アレルギーも治まることが殆どです。
薬物アレルギーを起こした薬は記録する
もう一つ大切なことは、たとえ軽症であってもアレルギーを起こした薬の名前をおくすり手帳に記録しておき、次に病院にかかった時に、必ず医師に伝え、その薬が再び処方されないように注意しましょう。
私は初診の方には薬剤アレルギーの有無は尋ねるようにしていますが、全ての医師がそうではありません。
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花粉症
花粉症もアレルギ-性鼻炎のひとつで、草花の花粉が原因です。
アレルギ-性鼻炎は決まった季節だけに鼻の症状がおきる季節性アレルギ-性鼻炎と、一年を通じておきる通年性アレルギ-性鼻炎に分けられ、花粉症は季節性アレルギ-性鼻炎の代表的な病気です。
ただし、花粉症では鼻炎の他にも、結膜炎や咽頭炎など鼻以外のアレルギ-性炎症もおこります。
花粉症と食物アレルギーとの関連性
花粉症の方が果物や生野菜を食べた後に、口腔内や口腔周辺に刺激感やかゆみなどの症状が現れることがあります。
(口腔アレルギー症候群といいます。)
これは、果物や生野菜に含まれるアレルゲンと花粉のアレルゲンの構造が似ているために起こるアレルギー反応です。
多くは原因物質を食べた直後に現れ、しばらくすると自然に軽快します。
原因となる花粉が飛散する時期に、発症・悪化するため、花粉飛散時期には注意しましょう。
また、原因と判断された食物は避けましょう。
花粉と関連性が報告されている主な果物・野菜
- スギ:トマト
- シラカンバ:りんご、もも、さくらんぼ など
- イネ科:メロン、すいか、トマト など
- ヨモギ:セロリ、にんじん、マンゴー など
- ブタクサ:メロン、すいか、バナナ など
じんましん(蕁麻疹)
食物が原因となる蕁麻疹は、大きくアレルギー性のものと非アレルギー性のものがあり、エビ、カニ、ソバ、果物といった食物による場合はアレルギー性のものが多いようです。
これらの食品に含まれるアレルゲンがIgEを介して皮膚マスト細胞を活性化することにより起こります。
何週間も続けて毎日のように繰り返して出没する蕁麻疹の場合には、食物が原因となっていることはほとんどありません。
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