冷え性は体質だけが原因? 病気が原因となる冷え性について解説
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
冷え性なのは体質だからと思い体質改善に良いとされることを色々しても改善しない場合があります。
もしかすると病気が原因の冷え症かもしれません。
今回は冷え性の症状をきたす病気を紹介していきます。
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低血圧による冷え性
皮膚の血行不良のため冷えを起こす事があります。
低血圧で最も多いのは、はっきりした原因がなく、遺伝的な体質のために起こる低血圧で、本態性低血圧と呼ばれています。
低血圧の9割が本態性低血圧です。
但し、病気や薬が原因で低血圧になるものもあります。
よくあるのは、糖尿病で血糖値コントロールが不良時に起こりやすい起立性低血圧です。
そのほか循環器系疾患(心臓の弁や血管などに異常がある場合など)、内分泌系疾患(アジソン病など)、パーキンソン病、がん、甲状腺異常などの病気でも、低血圧を引き起こすことがあります。
また高齢者に多いものでは、薬による副作用(降圧薬など)や、食後低血圧といって食事の後にめまいやだるさを感じるタイプもあります。
本態性低血圧は若い女性に多く、やせ型で虚弱体質の人に多くみられます。
自覚症状のない場合と、全身の倦怠感やめまい、頭痛、動悸などさまざまな症状がみられる場合があります。
低血圧には診断基準がありません。
日本の病院では、最高血圧(収縮期血圧)が100mmHg以下を目安としているところもありますが、確定的なものではありません。
血圧が低くても、自覚症状がない場合や日常生活に影響を及ぼす症状がない場合は治療の必要はありません。
愁訴が強い場合に治療が必要となります。
治療法としては、精神療法や生活指導が主となります。
それでも効果が認められない場合は薬物療法を行います。
低血圧の人は食事を見直す
低血圧の人は、食欲不振などから食事をきちんと取らないことが多く、栄養バランスが悪くなりがちです。
1回ごとの量は多くなくてもいいので、3食きちんと食べるようにしましょう。
- タンパク質(肉類、魚類、納豆などの大豆食品)をしっかり取りましょう。
- 野菜や海草類を積極的に取ることも不足しがちなミネラルを補うために大切です。
- 塩分をきちんと取ることも必要です(大量に取る必要はありません)。
- 塩分とクエン酸(疲労回復に効果的)の多い梅干を、食事と一緒に取るのも低血圧の人は疲れやすいのでお勧めです。
- 水分を多めに摂取することも大切です。
1日1L~2Lを目安に水分を取ることは、血液量を増やすことにもつながります。
血液を心臓に戻す運動を
一般に低血圧の人は、脚や手などの末端部の血管の収縮力が弱く、血液の循環が悪くなりがちです。
つまり、末端部の血液が、心臓にうまく戻らないのです。
それがむくみの原因にもなります。
ふくらはぎの筋肉を鍛えるには、ウォーキングや階段昇降が効果的です。
脚の場合、血液の循環に大きな役割を果たしているのは、ふくらはぎの筋肉です。
ウォーキングは、頭痛や肩こりのときには気分転換にもなります。
ただし、早歩きをすると動悸や息切れを起こしやすい人もいます。
その場合には無理をせず、散歩のつもりでゆっくり歩きましょう。
なかなか時間がとれない人なら、自宅での階段昇降もいい方法です。
階段といっても、急な階段を上り下りするのは危険なので、玄関の段差など1段だけを利用します。
転倒しないように壁などに手を添えて、1段を上り、後ろ向きに下ります。
年齢にもよりますが、50~100回を目安にゆっくり取り組みます。(時々上るときの脚を左右入れ替えます)
この運動自体が血液循環をよくしますが、ふくらはぎに筋肉が付くことで自然に脚の血液循環が改善され、むくみの解消にもつながります。
適当な段差がない場合や、高齢で脚が上がりにくい人の場合は
たまった雑誌や新聞紙を10センチくらいの高さに束ね、ガムテープやヒモでしっかり固定したものを利用します。
(高齢者の場合は高さを低めにしてください。また雑誌などが崩れると滑るので、しっかり束ねて固定します)
これならリビングでテレビを見ながらでも運動ができます。
ただし、いずれの運動もめまいや動悸、息切れがある場合には、必ず医師に相談してから運動をはじめましょう。
手先の血液循環をよくするには、手をにぎったり、開いたりという動作をくり返し行うことが効果的です。
末梢神経の働きの改善にもつながるので、30~50回程度を目安にしてみましょう。
ただし、この場合も手に強いしびれなどがある場合には、まず医師に相談しましょう。
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膠原病による冷え性
血管炎を起こす膠原病である若年性エリトマトーデス、強皮症(きょうひしょう)、多発性動脈炎(たはつせいどうみゃくえん)などがあります。
全身の血管炎を起こすと、血めぐりが悪くなって足先が冷えたりすることが多々あります。
症状及び血液検査、皮膚生検などにより確定診断を行います。
甲状腺機能低下症による冷え性
甲状腺は、喉元の前面で喉仏の下、胸骨(胸の前面の骨)のすぐ上に位置する、重さが10~15gほどの小さな蝶々の形をした内分泌器官です。
この小さな器官は身体の酸素利用の効率、様々な器官の働き具合、食物を燃焼させるスピードなどを調節して身体の代謝を司る大切な働きをしながら、甲状腺ホルモンを分泌しています。
甲状腺機能が低下すると出現する症状
- 肌荒れ
- 肌の乾き
- まぶたのむくみ
- 顔のむくみ
- 低体温
- 脈拍が弱くなる
- 太り易くなる
- 便秘
- 汗が出にくい
- 髪の毛が乾燥・脱毛し易くなる
- コレステロールが高くなる
- 無気力感
甲状腺機能低下症は中高年の女性によくみられる疾患です。
上記の症状のうち、5項目以上に該当するような場合は軽度の甲状腺機能低下症の可能性があります。
甲状腺機能は血液検査で簡単に分かります。
甲状腺機能低下と判明した場合は、甲状腺ホルモン剤(チラージン)を服用することで改善します。
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ASO(閉塞性動脈硬化症)による冷え性
血液の通り道である血管(下肢動脈)が動脈硬化によって硬く細くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)すると血液の流れが悪くなる血行障害が起こります。
この血行障害が手足などの末梢の血管に生じた状態を閉塞性動脈硬化症(ASO)です。
国際的には末梢動脈疾患(PAD)という言い方をしています。
運動不足やたばこの吸いすぎの60歳以上の男性に多くみられます。
初期症状は足のしびれや強い冷えを感じる程度です。
皮膚も青白くなったりします。
ただ、こういった症状は日常的によく見られることから、閉塞性動脈硬化症を発症していることに気付かないことがほとんどです。
当院では血圧脈波装置を使って動脈硬化の程度や血管の閉塞が無いかを調べる検査を行っています。
まとめ
- 冷え症状を来す病気は意外と多い。
- 低血圧はほとんどが本態性低血圧。
- 膠原病は専門医による加療が必要。
- 甲状腺機能低下症はまず甲状腺ホルモン値を測る。
- 閉塞性動脈硬化症を合併していないか血圧脈波測定をする。
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