女性に便秘が多いのはなぜ? 便秘を起こす原因を解説
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便秘は女性に多いというイメージがありませんか?
便秘薬のCMも若い女性向けに作られているように思われます。
女性に便秘が多いのはなぜか
平成28年国民生活基礎調査によると、便秘の有訴者率(人口1,000人対)は男性24.5人に対し、女性45.7人と女性に多いことが示されています。
男性の便秘は60歳以降に訴えが急増します。
しかし、女性の便秘は20歳以降、一定の高い割合を維持しています。
ここに男女の便秘の違いがあります。
なぜ20歳以降の女性に便秘が増えるのか
思春期が終わった女性は月経周期が確立します
黄体期に卵巣から分泌されるプロゲステロンは、受精卵の着床・妊娠の継続に欠かせないホルモンです。
しかし、プロゲステロンは便秘をもたらす因子の1つとも考えられています。
更に、妊娠期間中に便秘が増加するのも、胎盤からプロゲステロンの分泌が高まることが関係していると考えられています。
生活習慣も便秘の一因です
朝食や昼食を抜いたり、食物繊維の摂取不足、運動不足は便秘につながります。
女性特有の疾患による便秘もあります
子宮内膜症や帝王切開術後では、子宮や卵巣、腸、膀胱などの臓器が癒着します。
癒着すると消化管の蠕動運動(ぜんどううんどう)が低下します。
子宮筋腫や骨盤臓器脱などにより腸管が圧迫されることが便秘を引き起こす一因になることもあります。
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便秘の訴えは人様々です
診察をしていると便秘の訴えはよくあり、下剤を希望される方も多いです。
しかし、よくよく話を聞いてみると・・・
便秘の訴えは個人差が大きい
- 毎日便は出ることはでるが、スッキリと出ない。
- ウサギの糞様のコロコロ便しか出ない。
- 硬くてなかなか出ない。
- 2~3日に一回は出るが、毎日出したい。
などなど一言で便秘と言っても訴えは様々です。
慢性便秘症診療ガイドライン2017とブリストル便形状スケール
慢性便秘症診療ガイドライン2017の診断基準に基づくと
「3ヶ月以上の間、自発的な排便回数が週に3回未満で、その1/4超の頻度で兎糞状または硬便」
であれば慢性便秘症となります。
兎糞状と言っても分かりにくいこともあるので、便秘の問診でよく使われるのが
「ブリストル便形状スケール(BSFS)です。
ブリストル便形状スケール
これにより患者さんと便の情報を共有します。
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慢性便秘症は病態により3つに分けられます
けいれん性便秘
大腸が緊張してけいれん性に収縮し、内容物の通過と排便に障害が起こっています。
比較的、若年層に多く、腹痛がともなう場合があります。
ストレスにより自律神経が乱れて、大腸が過敏になって起こる場合が多いです。
兎糞状のコロコロ便になりやすいです。
弛緩性便秘
大腸蠕動(ぜんどう)の低下〈大腸通過時間遅延型便秘〉が原因です。
大腸の蠕動運動が低下し、内容物をスムーズに送り出すことができなくなっています。
大腸の緊張低下や運動不足などによって起こります。
このタイプの便秘では、お腹が張る、食欲の低下、便意をあまり感じないなどの症状も起こります。
直腸性便秘
骨盤底筋群の協調運動障害〈機能性便排出障害〉が原因です。
便意を我慢することが多いと、直腸の神経が鈍くなってしまいます。
直腸性便秘は、便が直腸まで送りだされているのに便意が生じなくて起こる便秘です。
直腸内に大量に便がたまって水分が吸収されるので、硬くなった便が蓋をした状態になってしまいます。
本来はこれら病態に対して薬を使い分けることが望ましいです。
しかし、市販の便秘薬は
1. 酸化マグネシウム (便を柔らかくする効果があります)
2. 刺激性下剤 (大腸の腸管収縮を起こします)
のいずれかに大抵は分類されます。
漢方薬の下剤は妊婦さんには使えないものがほとんど
漢方薬で便秘に使われるものも大部分は生薬として大黄が含まれており、刺激性下剤に分類されます。
大黄含有製剤は原則妊婦さんには使用できません。
刺激性下剤を使い続けると・・・
刺激性下剤は長期連用すると耐性が出現し難治性便秘に至ることがあります。
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最近の下剤は病態に応じた治療ができるようになってきました
以前にブログで「最新の便秘治療薬4選」として新しい作用機所をもつ下剤を紹介しました。
市販の下剤や漢方薬ですっきりしない方は医療機関を受診し新しい便秘薬を試してみることをお薦めします。
女性の便秘治療で自分でできる大切なこと
自分の月経周期を知って便秘になりやすい時を予め予測する
自分の月経周期を知れば、プロゲステロンが放出されて便秘になりやすくなる黄体期には、食事の工夫や下剤を利用することで便秘への対処がしやすくなります。
便秘になりにくい食生活をこころがける
以前のブログ記事「便秘における食事療法 <水溶性食物繊維と難消化性デキストリン>」で便秘の食事療法について書きましたが、水溶性食物繊維を多く含む食事を摂るように心がけましょう。
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