最新の便秘治療薬4選
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この数年で便秘症の新薬が4種類発売されてきました。
どれも特徴のある下剤です。
アミティーザ(ルピプロストン)
最も高い推奨度とエビデンスレベル
2012年、「30年ぶりの便秘症に対する新薬」として発売され、新しい慢性便秘症診療ガイドラインで最も高い推奨度、エビデンスレベルが示された「 上皮機能変容薬」です。
上皮機能変容薬
上皮機能変容薬とは小腸や腸粘膜上皮に作用し、腸管内の水分分泌を増加させ、腸管内の便輸送を高めて排便を促進する全く新しい機序を有します。
副作用のリスクが少ない
薬理作用上、酸化マグネシウムの不整脈や刺激性下剤の脱水などのような、長期の連用に伴う副作用のリスクはかなり少ないです。
根治が難しく、長い付き合いが必要となる慢性便秘症の治療に適しており、腎機能低下例や高齢者にも比較的使用しやすい薬剤といえます。
ただし、妊産婦への使用は禁忌となっています。
リンゼス(リナクロチド)
リンゼス錠は2016年12月に承認された便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)治療薬です。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)は、感染症や血が出ているわけでもなく、原因不明の腹痛・腹部不快感と便通異常のことです。
リンゼスは小腸腸管内への水分分泌を促進し便を柔らかくする薬です。古くからの大腸刺激下剤や塩類下剤とは効き方が異なります。
腹痛にも効果が期待
アミティーザと作用は似ていますが、内臓痛覚過敏を改善し、腹痛にも効果が期待できる可能性があります。
このため適応が便秘型過敏性腸症候群にもあります。
一包化には注意
リンゼス錠は非常に湿度に弱い製剤です。
無包装状態で25℃75%RHの条件で保存した場合1 日後に規格を逸脱する顕著な類縁物質の増加が認められました。
高湿度により分解していることがわかります。
2018年8月より慢性便秘症が適応追加となりました
これまでの便秘型過敏性腸症候群だけでなく、慢性便秘症にも使えるようになり治療の幅が拡がります。
グーフィス(エロビキシバット)
胆汁酸トランスポーター阻害剤
グーフィス®錠は、新規作用機序をもつ1日1回経口投与の慢性便秘症治療薬であり、胆汁酸の再吸収に関わるトランスポーターを阻害し、自然な排便を促すことが期待されています。
胆汁酸を再吸収阻害で効果発現
胆汁酸は、大腸管腔内に水分および電解質を分泌させ、さらに消化管運動を亢進させる為、本剤の便秘治療効果が発現します。
腹痛が副作用として懸念
胆汁分泌を促進することで消化管運動が亢進しますが、腹痛が出現することも考えられます。
スインプロイク(ナルデメジン)
オピオイド誘発性便秘の治療薬
オピオイドとは麻薬のことです。
この薬は主に癌性疼痛で麻薬を使用する方の副作用としての便秘症治療薬です。
オピオイドによる便秘は耐性ができず、酸化マグネシウムやセンノサイド製剤では治療困難だったので期待がもてます。
変形性関節症の痛みに使うトラマドールなどの弱オピオイドによる便秘でも使えますが、オピオイド中止時はスインプロイクも中止が必要です。
オピオイド専用の便秘薬のため効きません。
2018年11月にも新薬「モビコール」が発売されました
下記のブログにてモビコールについてまとめました。
まとめ
新しい便秘治療薬について簡単にまとめましたが、決して今までの便秘治療薬がダメなわけではありません。
大腸刺激性下剤の連用は依存性があるため問題がありますが、屯用で便が出ない時だけの使用とかでのニーズはあります。
新薬は高価ですので既存の便秘治療薬と上手に併用や症例を選択することが求められます。
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