新型コロナウイルス検査(PCR検査、抗原検査、抗体検査)の違いについて
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新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。
一都三県のみならず、関西・中部地区でも緊急事態宣言が発令されそうです。
当院でも新型コロナウイルスのPCR検査・抗原検査を行う機会が増えてきました。
そして新型コロナウイルス検査の違いについて聞かれることも増えました。
新型コロナウイルスの検査はPCR検査だけではない
テレビで毎日のように「何人が新型コロナウイルス陽性となりました。」と言っているのはPCR検査で陽性と判断された方です。
しかし新型コロナウイルスの検査には抗原検査や抗体検査もあります。
そこで今回はその違いを解説しました。
PCR検査とは
PCR検査とはポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction)の略です。
ウイルスの遺伝子を増幅させて検出する方法です。
鼻や咽頭をスワブ(綿棒)でぬぐって細胞を採取して検査を行います。
発症から9日以内であれば唾液からの検査も可能です。
ウイルスが下気道にいることが多いため、痰がからむなどの症状が見られている方には痰を検体にして検査を行います。
PCR検査は新型コロナウイルス感染症の確定診断に用いられており、この検査で陽性判定が出た場合には新型コロナウイルスに感染しているということになります。
新型コロナウイルスに感染しているかどうかを知るためのPCR検査は3月より保険適用となり公費負担ですので自己負担はかかりません。
陰性証明をもらいたいだけのPCR検査は自費となり、当院では行っておりません。
下記で紹介したような検査を使うと簡単です。
また、公費負担となるのはPCR検査だけで初診料などは費用負担が必要です。
抗原検査とは
抗原検査とはウイルスに感染した細胞が特異的に産生する抗原を検知して診断に導く検査のことを言います。
PCR検査とともに、新型コロナウイルス感染症の確定診断に用いることができます。
ただしPCR検査と異なり、発症2日目~9日目の間までしか判定に使うことができません。
これは診断をつけるためには一定のウイルス量が必要となるためです。
PCR検査では陽性となったものの無症状の方や、新型コロナウイルス感染症に無症状で感染している方がいるかどうかのスクリーニング検査の用途では使えません。
新型コロナウイルスの抗原検査をするキットは30分ほどと非常に最短で検査ができること、特別な検査機器を使わずに検査ができるというメリットがあります。
インフルエンザの検査と同じです。
これも自宅でできるキットが売られています。
抗体検査とは
PCR検査と抗原検査がウイルスそのものをつかまえる検査なのに対し、抗体検査はウイルスに感染した人の体内で作られた抗体を検出するというで大きく異なります。
つまり、抗体検査はその人が過去に感染した痕跡を探す検査であって、今感染しているかどうかを調べる検査ではありません。
体内に抗体ができるまでには時間がかかり、現在そのウイルスに感染していないことの検査に用いることは難しいとされています。
ウイルスに感染した場合だけでなく、(今後使用される)ワクチンを打ったことによって抗体ができた場合にも陽性となります。
抗体検査は自治体の公表する新型コロナウイルスの検査実施数にカウントされません。
では、感染からどのくらい経ったら抗体検査で検出できるのでしょうか?
抗体検査は新型コロナウイルスに感染後13日以降では、96.9%の陽性率ですが、感染後9~12日目の陽性率は約50%とまだ、期待されるほどの精度が出ていません。
抗体検査キットでは、「IgM抗体」、「IgG抗体」という2種類の抗体を一度に調べることができ、IgM抗体は感染からおよそ1週間、IgG抗体はおよそ2週間後に検出されるようになるため、血液中に抗体が存在すれば判定が可能です。
IgM陽性は、過去数週間以内の感染を示す。
IgG陽性は、過去数年以内の感染を示す。
以上です。
まとめ
新型コロナウイルスのPCR検査、抗原検査、抗体検査についてまとめました。
簡単に言うと、
- 今現在の新型コロナウイルス感染を疑ったらまずはPCR検査。
- 抗原検査は簡便だが精度が劣り、PCRの補助的な位置づけ。
- PCR検査も抗原検査も保険認可されており、原則医師の判断で行う。
- PCR検査のサンプルは鼻咽頭ぬぐい液と唾液の2種類の取り方がある。
- 唾液のPCR検査は無症状の人を対象に自費で行う医療機関が増加中。
- 抗体検査は完全自費で、過去の感染を知りたい無症状の方向け。
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