先天性風疹症候群の予防のために風疹の抗体検査が無料で受けられます
スポンサーリンク
風疹とは
風疹は、風疹ウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症です。
風疹は感染力が強く、1人の患者から免疫がない 5~7人に感染させる可能性があります。
(ちなみにインフルエンザでは 1~2人)
風疹ウイルスの感染経路は、飛沫感染(ひまつかんせん)で、ヒトからヒトへ感染が伝播します。
そのため風疹にかかった人が知らないうちに、同居の家族や職場などの周囲の方に風疹ウイルスをうつしてしまう可能性があります。
飛沫感染とはせきやくしゃみなどによって飛び散る飛沫に含まれる病原体が、口や鼻などの粘膜に直接触れて感染することです。通常は1~2メートル以内の至近距離で感染します。
風疹の潜伏期間は2~3週間(平均16~18日)です。
症状は何もない場合から、重篤な合併症を併発することまであります。
大人になって発症すると、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛が出現するなど、小児より重症化することがあります。
また、脳炎や血小板減少性紫斑病(けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)を合併するなど、入院加療を要することもあります。
風疹に感受性のある妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、出生児が先天性風疹症候群を発症する可能性があります。
先天性風疹症候群(CRS)とは
風疹ウイルスの胎内感染によって先天異常を起こす感染症です。
先天異常の発生は妊娠週齢と明らかに相関し、妊娠12週までの妊娠初期の初感染に最も多くみられます。
20週を過ぎるとほとんどなくなります。
先天性風疹症候群の3大特徴は、白内障、先天性心疾患、難聴です。
その他先天性緑内障、色素性網膜症、紫斑、脾腫、小頭症、精神発達遅滞、髄膜脳炎、生後24時間以内に出現する黄疸などを来すことがあります。
※CRSはCongenital rubella syndrome(先天性風疹症候群)の略です。
先天性風疹症候群の予防のために風疹抗体価を調べましょう
先天性風疹症候群の治療方法はありません。
母親が妊娠前に風疹の免疫を持つことが唯一の予防方法となります。
(※妊娠中は風疹ワクチンは接種できません。)
これから妊娠を希望する女性の方で、風疹ワクチンを受けているか分からない、あるいは風疹にかかったことが確実でないという方は、先ず自分自身の風疹抗体価を検査しましょう。
最近、多くの自治体が風疹の抗体検査を無料で行うようになっています。
※風しんの抗体検査の実施状況については、自治体によって異なります。
抗体検査を希望される方はお住まいの地域の保健所までご相談ください。
風疹の抗体価検査は、採血をするだけです。
そして、その結果に応じて、医師と相談のうえ、ワクチンの接種を検討しましょう。
予防接種が推奨される抗体値はこちら⇒厚生労働省のHP
風疹の予防接種は、はしか(麻疹)も一緒に予防できる「麻疹風疹混合(MR)ワクチン」を受けることをお奨めです。
風疹ワクチン接種の重要性
風疹ウイルスは非常に感染力が強いウイルスです。
最近海外に行き風疹にかかり、日本に戻ってきてから発症する人が増えています。
風疹にかかった場合、妊婦さんにうつさないようにすることが先天性風疹症候群の予防にもなります。
風疹は一度自然に感染すれば、生涯免疫を持ち風疹にかかりません。
この免疫は風疹ワクチンを接種することでも得られます。
風疹にかからないためにも風疹ワクチンを打つことが重要です。
ある年齢より上の世代では風疹ワクチンを接種していません
平成25年度の国の調査では、20~40代の男性の約12.3%(20代 約6.1%、30代 約15.8%、40代 約16.3%)が風疹への抗体を持っていませんでした。
この約12.3%という数は他の年代よりも高い割合であり、風疹の抗体を持っていない女性よりも多い数字になります。
平成2年4月2日以降に生まれた人は2回、ワクチンを受ける機会がありましたが、それより年齢が上の人は受けていても1回。
そして、昭和54年4月1日以前に生まれた男性は1回もその機会がありませんでした。
生年月日 | ワクチン接種の状況 |
昭和37年4月1日以前生まれの男女 | 定期接種が行われていませんでしたが、大半の人が自然に風疹に感染することで免疫があります。 |
昭和37年4月2日~ 昭和54年4月1日以前生まれの男性 | 中学生の時に女性のみを対象として、学校で集団接種が行われていたため、自然に風疹に感染する機会が減少しましたが、男性は定期接種制度が行われていないので、風疹の免疫がない人が多い世代です。 |
昭和54年4月2日~ 昭和62年10月1日生まれの男女 | 男女とも中学生の時に予防接種を受ける対象になっていましたが、中学生のときに個別に医療機関で予防接種を受ける制度であったため、接種率が低く、風疹の免疫がない人が多い世代です。 |
昭和62年10月2日~ 平成2年4月1日生まれの男女 | 男女とも幼児のときに予防接種を受ける対象となり接種率は比較的高いのですが、自然に風疹に感染する機会がさらに減少したため、接種を受けていない人には風疹の免疫がない人が比較的多い世代です。 |
成人の男性が風疹流行の主要因です
成人男性は渡航の機会も多く、職場でも活動していることから、風疹流行の重要な要因とです。
実際に、2013年の流行における20~60歳代女性の感染経路のうち、記載があった中で1位は夫、2位は職場の同僚でした。
30〜50歳代の男性の風疹抗体保有率が上がらないと、風疹の流行が再び起こります。
日本産婦人科医会では『“風疹ゼロ”プロジェクト』を立ち上げています
風疹ゼロプロジェクト①わが国の風疹のリスクはいまだ消えていない
②妊娠20週までに風疹ウイルスに感染すると胎児が先天性風疹症候群になる恐れが生じる
③30〜50歳代の男性は風疹に対する免疫がない人が多く流行の要因となっている
④海外への渡航は風疹ウイルスの感染リスクを上げるため対策が必要
参照:日本産婦人科医会
39~56歳男性の男性が無料で風疹ワクチンが打てるようになります
首都圏などで感染が拡大している風疹について、厚生労働省は2018年12月11日、定期予防接種の機会がなかった現在39~56歳の男性を対象に、2019年から21年度末までの約3年間、全国で原則無料でワクチン接種を実施する方針を発表した。
無料接種の対象は1962年4月2日~79年4月1日に生まれた男性。これらの男性は抗体保有率が約80%と他の世代より低く、予防接種法上の定期接種に位置付けて原則無料化し、東京五輪が開幕する20年7月までに85%以上へ引き上げることをめざす。
ワクチンを効率的に活用するため、対象者はまず抗体検査を受け、結果が陰性だった場合に限って予防接種を受ける。18年度第2次補正予算などにより、抗体検査も原則無料にする。
対象者は居住地の市区町村内の医療機関で抗体検査や予防接種を受けるが、企業の勤務者は、職場の健診の際に抗体検査を受けられるようにする。既に先行して無料の抗体検査を実施している自治体もあることを踏まえた公明党の主張を受け、厚労省は、統一して対策を進めるためのガイドラインを作成する。
まとめ
これから、結婚・妊娠等をお考えの方・現在妊娠をご希望されている方は、風疹の抗体検査や風疹の予防接種を受けることをお勧めします。
また、結婚・妊娠を考えている方の同居人も風疹の感染歴やワクチンの接種歴が無ければ風疹ワクチンを接種しておきましょう。
スポンサーリンク