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膀胱炎の症状と治療と検査について。膀胱炎を放置するとどうなる?

 
この記事を書いている人 - WRITER -
1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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膀胱炎は若い女性以外にもみられます

膀胱炎というと、比較的若い女性に多くみられる病気のイメージです。

しかし、前立腺肥大症などの排尿障害をもつ高齢男性にも多いのです。

 

こんな症状が見られたら膀胱炎かも?

排尿時の不快感が気になりませんか?

  • 排尿時の痛みがある。
  • トイレに行く回数が増えた。
  • 排尿後もすぐにトイレに行きたくなる。
  • 尿がにごる。
  • 尿に血が混じる。
  • 排尿後もさっぱりした感じがしない。

 

症状がある時は何科に行けばいい?

たまに起こる程度の膀胱炎であればかかりつけの内科の先生で大丈夫です。

治ってもすぐに再発したり、抗生剤を服用してもなかなか治らない場合は泌尿器科を受診しましょう。

 

膀胱炎の検査

まず尿検査を行います。

尿の中に白血球や赤血球が正常より多く出ていないか調べます。

同時に尿の培養の検査を行い、どんなばい菌が原因か調べます。

培養の検査結果が出るまでには5~7日間かかります。

最近では大腸菌でも、膀胱炎によく使われる抗生物質に抵抗力を持つもの(耐性菌)が出現することがあります

そのため同時に薬剤感受性検査を行います。

薬剤感受性検査とは抗生物質に対する細菌の感受性を調べるために行われる検査です。

簡単にいうとばい菌に対してどの薬が効くか、効かないか確認するための検査です。

最初に投与された抗生物質で症状が良くなっても、再度診療を受けて原因菌を確認し、尿が完全に良くなるまで診療を受けましょう。

院長
受診前に手持ちの抗生剤を服用してしまうと培養検査・薬剤感受性を調べることができないので注意しましょう。

 

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膀胱炎とはどんな病気?

膀胱炎は、尿道から侵入したばい菌により膀胱の粘膜に炎症が起こる病気です。

膀胱炎は他の人からうつるわけではありません。

自分の大便に含まれている大腸菌などが、肛門から尿道を経て、膀胱に入り炎症を起こします。

発熱することはなく、抵抗力が落ちているときに起こりやすいです。

発熱して寒気がする場合は、膀胱炎だけでなく、腎臓へばい菌が伝って腎盂腎炎を起こしたり前立腺炎を起こしていることが考えられます。

引用:https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100020/032200020/

 

女性に多いのは急性の膀胱炎

膀胱炎は、急性膀胱炎と慢性膀胱炎に大きく分けられます。

女性に多いのは急性の膀胱炎です。

女性の体は構造上、尿道が男性に比べて短く、尿道の出口が肛門に近いために膀胱炎にかかりやすくなります。

また、膣と尿道の出口が近いため、性行為によりばい菌が膀胱に入りやすくなります。

院長
寝る前には必ずトイレに行きましょう。膀胱炎をおこす細菌は寝ている間に増えていきます。特に性交渉のあとは膀胱炎になりやすいので気をつけてください。

 

高齢の男性に多いのは慢性の膀胱炎

慢性の膀胱炎は、男性の高齢者によくみられます。

その原因の多くは前立腺の病気(前立腺肥大症や前立腺がん)や膀胱腫瘍、尿路結石です。

60歳以上の男性に多い前立腺肥大症では、残尿のために慢性膀胱炎が起こりやすくなります。

 

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膀胱炎の治療で注意すること

急性膀胱炎では

抗生剤による治療でたいていは数日で治ります。

院長
時々処方された抗生剤を飲み切らず次回の発症のために残す人がいます。耐性菌を発生させるリスクがあり、指示どうり飲み切りましょう。

薬を服用しても症状が改善しない場合や、発熱を生じて寒気がしたり腰痛が取れない場合は泌尿器科で詳しい検査が必要です。

また、膀胱炎を繰り返さないために水分をしっかり摂る、陰部を清潔にする、排尿を我慢しない、過労を避けるなどが大切です。

 

慢性膀胱炎では

原因となっている前立腺肥大症などの病気の治療が必要です。

無症状での細菌性慢性膀胱炎では基本的には抗生剤は使いません。

高熱などいざというときに耐性菌で薬が効かなくなるからです。

原疾患(前立腺肥大症や結石)の治療が優先されます。

 

急性膀胱炎は市販薬での治療はできるの?

膀胱炎に対しては現在は抗生剤の一般用医薬品が存在しません。

漢方薬を使用しつつ水分を摂って尿量を増やし、雑菌を洗い流すなどの工夫をして治療します。

 

急性膀胱炎を放っておくとどうなるか?

腎臓まで進むと腎盂腎炎という病気になり、発熱や腰痛を伴います。

更に放置するとばい菌が血液中に入り菌血症となり、時に命に関わることもあります。

腎盂腎炎では長期間の抗生剤の服用が必要です。

菌血症になると絶対に入院加療が必要です。

ネットで検索すると多量の水を飲んで治したという記事が散見されますが、重症化させないために早めの医療機関への受診をお勧めします。

 

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膀胱炎を繰り返さないために

クランベリージュースで膀胱炎予防できるの?

クランベリーが膀胱炎予防に効くということが言われたことがあります。

実際にはどうなのでしょうか?

出典:https://www.cochrane.org/ja/CD001321/niao-lu-gan-ran-zheng-yu-fang-niokerukuranberi

クランベリー(通常はクランベリージュース)は、尿路感染症(UTI)の予防に用いられている。クランベリーには、細菌が膀胱壁に付着するのを防ぐ物質が含まれている。このため、膀胱や他の部位のUTIを予防するのに役立つ。このレビューでは、クランベリー製品とコントロールまたは他の治療法を比較した24件の研究(参加者4473人)を同定した。クランベリー製品を摂取した場合、プラセボまたは無治療と比較してUTIが減少する傾向がわずかに認められたが、有意な結果ではなかった。多数の参加者がジュースの飲用を中止したため、この介入は許容できるものではないことが示唆される。クランベリージュースはUTI予防に大きな利益をもたらさないと考えられ、長期間の摂取は許容されない可能性がある。クランベリー製品(錠剤やカプセルなど)も、おそらく「有効成分」の効力が十分ではなかったため、(抗菌薬服用時と同様の効果が得られたものの)有効性は示されなかった。

つまり、クランベリーは細菌が膀胱壁に付着するのを防ぐ物質が含まれているが、クランベリージュースを長期間飲むことは難しく、治験でも飲むのを中止した人が多く有効性が示されなかったとのことです。

 

日常生活でできる膀胱炎予防

  • 水をしっかり飲む(排尿回数が増えると、ばい菌を体外に出しやすくなります。)
  • お風呂に入って陰部を清潔にする。
  • 排尿を我慢しない。
  • 体を冷やさない。
  • 過労は避ける。
  • 栄養のある食事を摂る。
  • 処方された薬はきちんと飲む。

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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