家でもできる(?)認知症検査・長谷川式認知症スケールとMMSE
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
もうすぐ平成30年度の診療報酬改定が実施されます。
実は平成30年度の診療報酬改定で簡易な認知症検査が診療報酬として評価(80点)されるようになりました。
これまでも外来診療等で使っていましたが、診療報酬として評価されることはありがたいです。
簡易な認知症検査とは
- 長谷川式認知症スケール
- MMSE
の二つは実は家庭でも出来る簡単な検査です。
長谷川式認知症スケール
精神科医の長谷川和夫先生によって開発されました。
限られた時間と限られたスペースで、医師が効率的かつ公平に認知機能の低下を診断するために1974年に開発され、1991年に一部改定を経て今に至るまで利用されています。
かつては「長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」と呼ばれていましたが、2004年に「痴呆症」から「認知症」に名称変更されたことに伴い、現在では「長谷川式認知症スケール」と呼ばれています。
30点満点で、20点以下だった場合、認知症の疑いが高いと言われますが、この診断結果はあくまでも参考です。
このテストの点数が悪かったからといって、即「認知症」と診断されるものではありません。
ですが、気になる場合は、病院に行って検査・診断をおすすめします。
長谷川式認知症スケールの特徴
●所要時間が約5〜10分と短時間でテストができる
●認知症のスクリーニングテストとして日本で主流となっている
●認知機能の中でも記憶力に関する項目で構成されている
●20点以下/30点満点で認知症の疑いがあるとされる
●テストの妥当性が高い
●物品は、日用物品だけ簡単に準備できる
テスト用紙はこちらからダウンロードできます。
点数と重症度
認知症の重症度別の平均得点
・非認知症 :24.45±3.60点
・軽度認知症 :17.85±4.00点
・中等度認知症 :14.10±2.83点
・やや高度認知症:9.23±4.46点
・高度認知症 :4.75±2.95点
図解理学療法検査・測定ガイドより
検査における注意事項
難聴や視力障害があると正確な評価が難しいことがあります。
MMSE
Mini Mental State Examination(ミニメンタルステート検査)の略語で、日本語では「精神状態短時間検査」と呼ばれる認知症のスクリーニングテストです。
もともと世界的に最も広く使用されている認知症のスクリーニング検査で、2006年に新たに日本版であるMMSE-J(翻訳、翻案、杉下守弘)が作成され、日本においても認知症の検査として広まりました。
MMSEの評価項目は11問で、所要時間は10〜15分程度で認知症の疑いを判断することができます。
MMSEの特徴
・認知症の疑いを判断するスクリーニング検査
・国際的に使用されている
・採点のカットオフ値は、30点満点中21点以下
・認知機能の検査は、質問形式の11項目
(時間の見当識、場所の見当識、即時想起、注意と計算能力、遅延再生(短期記憶)、言語的能力、図形的能力(空間認知))
テスト用紙はこちらからダウンロードできます。
MMSEの注意事項
麻痺や失語によって検査できない項目は省略する。
※文字が書けない場合は、長谷川式の検査をした方がよいでしょう。
長谷川式認知症スケールとMMSEの違い
テストの内容は似ているところがありますが、口頭で答えるだけの長谷川式に対し、MMSE検査は、紙を使用して、
「右手にこの紙を持ってください」
「それを半分に折りたたんで下さい」
「それを私に渡してください」という指示や、
「何か文章を書いてください」
「次の図形を描いて下さい」といった、
動作を必要とする項目が4問ほどあります。
検査が正常でも認知症の場合もあります
長谷川式認知症スケールもMMSEもアルツハイマー型認知症には診断率が高いと思いますが、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症では検査をしても初期では正常と判断されてしまうことがあります。
なんだか家族がおかしいと思ったら、かかりつけ医に相談したり、お住まいの市区町村の役所や地域包括支援センターに相談して、認知症に詳しい医師に受診をさせましょう。
家庭で行うときは
なお、家庭でするときは家族が上手く答えられないからといってイライラしたり、ヒントが出せる項目以外でヒントを出したりしないでください。
外来で検査をしていると、答えられない家族に対してもどかしく上記のようなことをされる付き添いの方が時々みえます。
気持ちは分かりますが、見守って検査をしてください。
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