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痩せた若年女性でも糖尿病リスクが高い 

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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痩せた女性の多くは「エネルギー低回転タイプ」

順天堂大学の研究グループによると、体格指数(BMI)が18.5未満の、日本人の痩せた若年女性で、食後に高血糖となる「耐糖能異常」が多く、その原因として、「インスリン抵抗性」や「脂肪組織の異常」が関連することを、世界ではじめて明らかにしました。

この研究で日本人の痩せた若年女性は、標準体重の女性に比べて、耐糖能異常の割合が約7倍高いことが分かりました。

また、痩せた若年女性の多くは、食事量が少なく、運動量も少ないという、「エネルギー低回転タイプ」になっており、骨格筋量も減少していました。

 

なぜ痩せていても2型糖尿病のリスクが高いのか

「耐糖能異常」とは、75g経口ブドウ糖負荷試験で2時間後の血糖値が140md/dL以上、200mg/dL未満となり、食後に高血糖になっている状態のことです。

インスリン分泌量の低下やインスリンが効きにくいこと(インスリン抵抗性)により生じます。

インスリン抵抗性とは「インスリン抵抗性」は、膵臓から分泌され、肝臓や骨格筋に作用して血糖を下げるホルモンであるインスリンの感受性が低下して、効きにくい状態になっていることです。

主に肥満にともない肝臓・骨格筋でインスリン抵抗性があらわれ、2型糖尿病やメタボリックシンドロームの重要な原因となります。

 

耐糖能異常は、主に肥満が原因で生じ、糖尿病や心血管障害のリスクとなることが知られています。

最近の研究では、痩せていても肥満と同じように2型糖尿病のリスクが高いことが分かってきました。

しかし、あくまでも中年以降を対象としたデータでした。

痩せた若年女性でも糖尿病のリスクが高いのか、高いとすると、なぜ痩せているのに、そのような異常が生じるのかはこれまでよく分かっていませんでした。

 

痩せ型の女性では耐糖能異常の割合が7倍高い

この研究では、18~29歳の痩せ型のBMI 16.0~18.49の若年女性98人と、標準体重のBMI 18.5~23.0の56人を対象に、耐糖能異常かどうか判定するための検査である75g経口糖負荷試験を行い、耐糖能異常(糖負荷2時間後140mg/dL以上)の割合を調査しました。

また、体組成測定(DXA法)、体力測定、食事内容や身体活動量に関するアンケートを実施しています。 

その結果、標準体重に比べて、痩せ型の女性では耐糖能異常の割合が約7倍高いことが明らかになりました(13.3% 対 1.8%)。

また、痩せ型の若年女性の特徴に、「エネルギー摂取量が少ない」「身体活動量が低い」「筋肉量が少ない」がありました。

 

痩せ型の若年女性の耐糖能異常の特徴

次に、痩せ型の若年女性の耐糖能異常の特徴は、インスリン分泌が低下しているだけでなく、主に肥満者の特徴とされてきたインスリン抵抗性も中年肥満者と同程度生じていることが明らかになりました。

さらに、痩せているのにもかかわらず、脂肪組織から「遊離脂肪酸」が溢れ出て、全身にばら撒かれている状態をきたしているという予想外の結果も得られました。

院長
院長
遊離脂肪酸とは、脂肪組織から血液に放出され、エネルギーの源として活用される脂肪分のことです。

そして、体力レベルが低く、糖質からのエネルギーの摂取割合が低い一方で、脂質からの摂取割合が高いことも分かりました。

 

リピッドスピルオーバーについて

人の体では、脂肪は主に中性脂肪として皮下脂肪や内臓脂肪といった脂肪組織に蓄えられています。

主に空腹時などに脂肪をエネルギーとして利用するために、脂肪組織に蓄えられた中性脂肪は分解され、遊離脂肪酸となって放出されます。

この遊離脂肪酸の放出や貯蔵をコントロールしているホルモンがインスリンです。

インスリンは脂肪組織にも作用し、脂質を脂肪細胞に貯蔵させる作用があります。

しかし、肥満者では脂質を貯蔵する脂肪細胞が容量オーバーとなり、十分にインスリンが作用しなくなります(脂肪組織インスリン抵抗性)。

すると、脂肪細胞から脂質が遊離脂肪酸として溢れ出ます。

この状態を「リピッドスピルオーバー」と呼びます。 

放出された遊離脂肪酸は、肝臓や骨格筋といったインスリンが作用する臓器に到達すると、細胞内で毒性を発揮し、インスリン抵抗性が生じると考えられています。

 

従来は、インスリン抵抗性は肥満に伴って起こり、痩せ型の糖代謝異常はインスリン分泌障害が主体で、インスリン抵抗性はあまり関係していないと考えられていました。

しかし今回の研究では、痩せた若年女性の耐糖能異常者は、痩せているにも関わらず、肥満者にみられるような脂肪組織インスリン抵抗性とリピッドスピルオーバーが生じていることが、世界ではじめて発見されました。

 

痩せた若年女性でもインスリン抵抗性や脂肪組織障害が生じる

痩せ型の若年女性の耐糖能異常の特徴として、インスリン分泌が低下しているだけでなく、主に肥満者の特徴とされてきたインスリン抵抗性も中年肥満者と同程度に生じていることが分かりました。

この研究により、痩せた若年女性の耐糖能異常にも「代謝的肥満」があり、肥満者と同様にインスリン抵抗性や脂肪組織障害が生じていることが世界ではじめて示されました。

 

十分な栄養と運動により筋肉量を増やすことが重要

痩せた若年女性の多くは食事量が少なく、運動量も少ないという”エネルギー低回転タイプ”となっています。

それとともに骨格筋量も減少していることが多いです。

痩せた若年女性に対する取組みとしては、十分な栄養と運動により筋肉量を増やすような生活習慣の改善が重要と考えられます。

 

耐糖能異常の病態に、インスリン抵抗性も関与する可能性が明らかになりました。

昨今の研究でインスリン抵抗性は運動をしたり、食事の脂質摂取割合を減らすことで改善する可能性が示唆されています。

糖尿病の予防のためにそのような生活習慣の見直しが必要かもしれません。

院長
院長
痩せた若年女性のインスリン抵抗性や脂肪組織異常が生じるメカニズムについては、まだ明らかになっていないため、さらなる研究が必要です。

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