点滴を打つと元気になる? 点滴の意味と必要性について
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診察をしていると時々ビックリする理由で、点滴を希望されることがあります。
点滴は魔法の注射?
これまでに点滴を希望された方のビックリする理由は
- 夏のゴルフで脱水気味で疲れたから点滴してほしい
- 明日の試合(何の競技かは忘れました)で頑張れるようにニンニク点滴をしてほしい
- インフルエンザに罹り治りつつあるが、明日結婚式があるので点滴をしてほしい
- 疲れたから元気になる点滴をしてほしい
- 祖父母が元気が無いので点滴をしてほしい
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点滴の成分とは
一般的な点滴の成分はほとんどが水です。
そこへ塩分やカロリーの元となるブドウ糖を必要に応じて混ぜて作られます。
ですので、栄養補給を(外来で行う)点滴に期待してはいけません。
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点滴をすると元気になったような気がするのはなぜ?
プラセボ効果が大きいと思います。
プラセボ効果とは
効き目のあるくすりを服用していると本人が思い込むことによって、病気がよくなることがあります。
プラセボ(偽薬)と言う、効き目ある成分が何も入っていないくすりを服用しても、患者さん自身が、自分が飲んでいるくすりは効き目があると思い込むことで、病気の症状が改善することがあります。
これをプラセボ効果と呼んでいます。治験ではこれを科学的に証明するために、場合によっては有効成分を含まないプラセボ(偽薬)を服用していただくことがあります。
効き目のないものを服用して症状が悪化したらと不安に思われるかも知れませんが、医師や治験に関わる人が慎重に患者さんの様子を確認しており、変化が見られたら直ぐに適切な処置することになっています。
引用:http://www.jpma.or.jp/medicine/shinyaku/tiken/allotment/tiken/tiken20.html
点滴が効いたと思うようになる理由
下痢・嘔吐で食事も摂れずフラフラの状態の時に点滴をすると楽になることはあります。
これは下痢・嘔吐で脱水状態となり、水分を経口摂取しようとしても吐いて受け付けない場合は点滴による水分補給がなされることで脱水が改善します。
また、高齢者の脱水は症状が乏しく「何となく元気がない」といったことがあり、こんな時も点滴をすると脱水が改善して多少元気になることはあります。
こういった状態を経験したり、見たりすると「点滴=元気になるもの」と思い込むようになるのだと思います。
点滴バイキング・美容点滴とは
美容クリニックなどで「点滴バイキング・美容点滴」といった自費治療を目にすることがあります。
よく使われるれる成分を書きだしてみます。
注:記載した効能は美容クリニックが謳っている効能です。薬の添付文書に書いてあるものとは違います。
マルチビタミン
効能は美肌、シミ、アンチエイジング、ニキビ、肌荒れ、疲労回復
(配合:ビタミンA・B1・B2・B6・B12・C・D・E・H・K・ニコチン酸アミド・パントテン酸・葉酸)
プラセンタ
効能は美肌、シミ、疲労回復、肩こり、眼精疲労、更年期症状
ビタミンB1・B6・B12配合剤
効能はニキビ、肌荒れ、疲労回復
ビタミンB1・B2・C配合剤
効能はニキビ、美白、たるみ、疲労回復、肝機能向上
強力ミノファーゲンシー
効能は皮膚炎、肝機能改善、免疫調節
L-カルニチン
効能はダイエット、糖分解、脂質分解
α-リポ酸
効能は抗酸化作用、代謝向上、ダイエット
トランサミン(トラネキサム酸)
効能は美肌、シミ、肝斑
ビタミンC
効能は美白、アンチエイジング、たるみ、アトピー、肝斑
ビタミンH(ビオチン)
効能は肌荒れ
ビタミンB12
効能はニキビ、ストレス、貧血
CoQ10(ビタミンK)
効能は抗酸化作用、ニキビ、シミ予防、アンチエイジング
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本来の点滴の目的
点滴の投与方法には2種類あります。
一つは外来でも行える末梢点滴(主に腕から点滴)です。
もう一つは中心静脈点滴です。
これは入院中や口から食事がとれない人の栄養補給として首などの太い静脈へカテーテルを入れて行う点滴です。
末梢点滴では栄養補給できない高栄養の点滴をするときなどにします。
末梢点滴が必要な時
・熱中症や脱水で口から水分を摂ることができない時
・検査時の急変時に備えすぐに薬を投与できるように血管を確保するため
・細菌感染により抗生剤を点滴に混ぜて投与する必要がある時
・投与方法が点滴しかない薬(インフルエンザ薬のラピアクタや骨粗鬆症治療薬のリクラストなど)を使うとき
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まとめ
- 点滴には元気になる成分は入っていません。
- 点滴の成分は基本的に塩と砂糖、水だけです。
- 美容点滴の成分は大部分が経口摂取でまかなえます。
- 点滴が本当に必要かは医師が判断します。
YouTube動画でも解説してます
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