インフルエンザや風邪は解熱剤より麻黄含有漢方薬の方が早く治ります
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
風邪をひいて少しでも熱が出るとすぐに解熱鎮痛剤を希望する方はよくいます。
しかし37℃台の微熱ならむしろ下げないほうが早く治ります。
「熱が出たら解熱剤」は間違いです
風邪やインフルエンザでの発熱は身体の防御反応により生じます。
解熱剤の安易な使用は、身体の防御反応が収まる前に無理やり体温を下げるだけで治療にはなりません。
そのことを知った上で、解熱剤の使用方法を考えましょう。
冷やすのが必要な発熱とは
体温調節中枢が正常に機能している場合
高体温症と発熱の2種類の発熱のタイプがあります。
高体温症は熱中症などの熱産生と熱放散のバランスが崩れたことで生じる状態です。
発熱は細菌・ウイルス感染や手術創、腫瘍などの異物に対する防御反応が原因です。
免疫反応により脳の体温中枢が働き、脳が認識する身体のベストな状態にしようとして体温が上昇します。
解熱が必要なのは高体温症
高体温症は、溜まり過ぎた熱を解熱してやれば、体温中枢の設定温度は正常なので平熱になります。
自宅で解熱するときは動脈が身体の表面近くを走る部位(首、脇の下、鼠径部)を冷却材などで冷やすとよいでしょう。
おでこを冷やすのは気持ちがいいですが、熱を下げるには無効です。
風邪やインフルエンザへの解熱は治りを遅くします
先ほども説明しましたが、免疫反応により脳の体温中枢が働き、脳が認識する身体のベストな状態にしようとして体温が上昇しているので、熱を下げても脳が設定した最適体温は変わりません。
しかも、熱を無理やり下げることで余計に体は発熱しようとして体力を消耗します。
ここでは、自然な解熱を待つという姿勢を取ることが大切です。
また、解熱剤の使用に関しても、「防御反応が収まる前に解熱剤を用いても解決にはならない」ということを知った上で、使用方法を考えましょう。
体温調整中枢が機能していない場合
この場合、中枢性高体温症と言う大変危険な状態になります。
脳が身体を何度に保てばよいか分からず、調節をしなくなる状態です。
熱を調節出来なくなると、熱はたまる一方なので、中枢性高体温症の場合も冷却が必要です。
風邪やインフルエンザであえて熱を上げて早く治す
免疫反応により熱を上げて、菌やウイルスの活動を低下させようと身体は働いています。
それならば、敢えて熱を上げれば更に菌やウイルスの活動性が低下して早く治るのではと思いませんか?
それを利用したのが漢方薬による風邪治療です。
風邪の急性期に使う漢方薬
風邪の急性期に使う漢方薬にはいずれも「麻黄(まおう)」が含有量の違いはありますが、入っています。
麻黄の含有量により体温の上昇効果が変わります。
麻黄湯(まおうとう)
体力がありがっちりした体格の人の寒気、発熱、関節痛、筋肉痛などを伴う初期の風邪に使います。
この種の風邪は汗が出にくいのですが、麻黄や桂枝(けいし)などによる発汗作用で、体の熱を取り去ります。
インフルエンザ時に使う薬としても有名です。
麻黄湯は効果が強い分、副作用にも注意が必要な薬です。
特に強い発汗作用があるので、解熱後もダラダラと投与を続けると簡単に脱水に陥ります。
葛根湯(かっこんとう)
体力のある人に向きの薬です。
寒気や肩凝りを、体を温めて汗と一緒に体から取り去ります。
麻黄湯よりも穏やかな薬で、頭痛や肩凝りの改善にも用います。
何にでも葛根湯を出すヤブ医者を「葛根湯医者」と呼ぶ落語もあるほど、応用範囲は広い薬です。
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)
風邪によって働きが低下した“肺”を、温めることで回復させ、体内の水分代謝を調整することで、多量の鼻水や痰、咳を止めます。
成分の麻黄、桂枝が寒さを取り、乾姜(かん きょう)、細辛(さいしん)などが水分代謝を改善します。
薬の副作用の眠気で抗アレルギー薬が使いにくい人のアレルギー性鼻炎にも使われます。
参考⇒眠気の来ない花粉症の治療
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)
老人など体力の弱った人の初期の風邪薬です。
麻黄の副作用
麻黄含有している漢方薬と一般的な咳止めを併用すると、どちらも主成分にエフェドリンを含むためエフェドリンの過剰摂取となることがあります。
エフェドリンは交感神経刺激作用を持ち、過剰摂取すると心悸亢進(心臓がドキドキする)、血圧上昇、頭痛、手指の震え、発汗、排尿困難、不安・幻覚などを生じます。
まとめ
・風邪の時に安易に解熱剤を使うと治りが遅くなります。
・風邪やインフルエンザを早く治したい時は麻黄含有の漢方薬を使う方がお勧めです。
・麻黄含有製剤は過量服用すると副作用が出るので漢方薬と言っても注意が必要です。
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