脂肪肝と言われて放置していませんか? 糖尿病がある方は特に要注意です!
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お医者さんに「脂肪肝ですね」と言われて、「もう少し運動するようにします」や「食べ過ぎないようにします」と言ってそのまま放置していませんか?
脂肪肝になる理由はいろいろ思い当っても、深刻感が乏しい方が多いです。
実は脂肪肝は侮ってはいけない病気です。
脂肪肝自体が食べ過ぎや運動不足を反映した状態であり、進行すると肝硬変や肝がんにつながる病気であることはあまり知られていません。
「脂肪肝です」と言われたら、本気で治療に向き合わないといけません。
ただし、脂肪肝の治療薬は現在なく、「生活習慣の改善」が治療法となってしまうため、なかなか治療に向き合えない方が多いのも現実です。
脂肪肝由来の肝がん患者は増えている
脂肪肝の中でも、アルコールを原因としないNAFLD/NASH(非アルコール性脂肪性肝疾患/非アルコール性肝炎)は生活習慣病の増加とともに増えていて、潜在患者数は2千万人ともいわれています。
ウイルス性肝疾患による肝がんはよく効く内服薬が出現したこともあり、減りました。
しかしウイルスが原因でない肝がんは増えています。
その原因としてNAFLD/NASHが挙げられます。
脂肪肝は症状がないため、積極的に腹部エコーを受けましょう
NAFLD/NASHは自覚症状がありません。
脂肪肝は腹部に超音波を当てれば簡単にわかりますが、肝機能が正常だと腹部超音波検査も行われず放置されることが多いです。
職場の健診などではAST・ALT(以前のGOT・GPT)の基準値が40IU/Lとなっていることが多いですが、40IU/L未満のNAFLD/NASHは少なくありません。
実際、AST・ALTはNAFLD/NASHのリスク評価として当てにならないと結論付けている研究報告も多数あります。
AST・ALTが正常だからと安心せず、生活習慣病を持っている方は一度は腹部超音波検査を受けましょう!
糖尿病がある方は特に注意が必要です!
2型糖尿病にNAFLD/NASHを合併することは非常に多いです。
専門の先生によると男性で8割、女性で5割程度がNAFLD/NASHを併発しているとのことです。
肝臓は糖の吸収と産生を担っており、実は最大の糖産生臓器です。
健常な方では、摂食時にはグルコースは肝臓でグリコーゲンとして貯蔵されたり、エネルギー産生に使われます。
空腹時には貯蔵されたグリコーゲンが分解されたり、骨格筋由来のクエン酸やアミノ酸を使ってグルコースを産生し血糖を維持しようとします。
しかし、2型糖尿病では高血糖や高インスリン血症があることで脂肪合成が促進されます。
その一方でインスリン抵抗性も引き起こされるため、肝臓は脂肪を蓄積しつつ糖を供給することになります。
そしてこの高血糖が肝臓に炎症や線維化をもたらす(つまり肝炎や肝硬変になる)と考えられています。
肝臓が脂肪を蓄積していると、インスリン抵抗性や糖尿病が増悪しやすくなります。
肝臓は体脂肪や内臓脂肪が蓄積する前に脂肪が蓄積し、逆に脂肪組織より先に脂肪が減る臓器です。
つまり肝臓は体内のエネルギー状態を敏感に感知する臓器なのです。
脂肪肝と言われたら 治療法について
最初にも書きましたが、NAFLD/NASHを適応とした治療薬は今のところありません。
先ずは食事・運動療法による減量が必要です!
減量により肝機能や肝組織が改善することが明らかになっています。
血液検査では、ALTが最も早く減量による肝機能改善を表します。
2型糖尿病がある場合
上の図でも示している、GLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬は肝脂肪を減らす効果が期待できます。
また、上の図には載っていませんがメトホルミンも副作用として食欲低下効果があり、結果的に体重減少が期待できます。
肝炎体操もあります
最後に
糖尿病を始めとする生活習慣病で通院していて、腹部超音波検査を受けたことがない人は次回の診察の際に主治医の先生に検査を受けたい旨を伝えましょう。
すでに脂肪肝と言われている人は、少しでも減量するようにしましょう!
いきなり過度の運動や極端な食事制限は長続きしません。
いつもより少しご飯の量を減らすといったことから始めるのが、続けられるコツですよ。
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