定期健康診断の検査項目まとめ
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
前回のブログでは定期健診の必要性について書きました。
今回は定期健診の検査項目についてです。
定期健診の検査項目は業務上疾病との関連性の有無が大きいと考えられるものが選ばれています。
業務上疾病は場合によっては労働災害にも繋がります。
しかし、検査費用は会社側の負担となるので検査項目は必要最小限にしたいという会社側の都合もあります。
その結果人間ドックと比べるとわずかな項目しか検査しません。
わずかな項目ですが何を調べているか解説します。
定期健康診断の検査項目
① 問診:既往歴及び業務歴の調査、喫煙歴、服薬歴などの調査
既往歴:診察や検査時の異常数値が過去の病気由来のものかどうか。
業務歴:業務により誘発された業務上疾病の有無。
喫煙歴:高血圧や胸部レントゲン異常との関係性。
服薬歴:薬剤による検査値異常との関係性がないかどうか。
② 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
自他覚症状と仕事内容との関連性を見ます。
例えば騒音作業による難聴や振動によるしびれなど、作業により生じる病気は多いです。
③ 身長、体重、視力及び聴力、腹囲の検査
身長・体重・腹囲:痩せすぎたり、太りすぎたりしていないかをみます。
腹囲測定は平成25年に追加されてメタボリックシンドロームという言葉が一般的になりました。
視力:労働者の視力確認。
聴力:騒音による難聴の合併等がないか。
などを調べます。
異常があれば作業環境との関係性の有無や現在従事している業務に引き続き従事可能かどうかの判断に必要です。
④ 胸部エックス線検査及び喀痰検査
実は肺がんを調べるためではありません。
肺結核の感染兆候がないかどうかです。
健診が義務付けされた当時は結核がまだまだ多かったためです。
ちなみに胸部エックス線検査の服装は黒色無地の肌着がお勧めです。
透けませんし、着替える手間も減ります。
⑤ 血圧の測定
高血圧は脳卒中や心筋梗塞、腎障害など様々な病気の原因ともなります。
また過度に高い血圧は労務中に倒れるリスクもあり、就業可能かどうかの判断にもなります。
⑥ 貧血検査(赤血球数・血色素量)
有害物質による貧血(ベンゼンによる再生不良性貧血など)の有無や貧血の程度によっては労務への従事を控えさせる必要性があります。
ゆっくりと進行する貧血は自覚症状が乏しいため検査が必要なのです。
⑦ 肝機能検査(GOT(AST)・GPT(ALT)・γ-GTP)
有害物質に長期間曝露することで肝機能障害を生じることもあります。
肝臓は沈黙の臓器ともいわれ、少々悪化しても自覚症状がありません。
肝硬変となって初めて症状がでます。
そのため、定期的な検査で肝機能を調べないといけません。
飲酒量が多く、健診の時にγ-GTPの高値を指摘された人もいると思います。
⑧ 血中脂質検査(LDLコレステロール・HDLコレステロール・トリグリセリド(中性脂肪))
脂質異常は心臓や脳の血管の病気と密接な関係があります。
また脂肪肝とも関係があるため生活習慣の改善を指摘されやすい項目です。
⑨ 血糖値又はHbA1c
糖尿病を発症していないかどうかが目的です。
糖尿病は様々な合併症も引き起こしてくるため、労働者の体調管理という意味でも重要です。
⑩ 心電図検査
35歳と40歳以上で検査をします。
なぜ中高年に行うかというと、加齢とともに不整脈が出現しやすくなります。
(生まれつきの不整脈は小中学校の健康診断で診断されます)
不整脈はストレスとも関連しますし、不整脈の種類によっては作業中に倒れることもあり得ます。
⑪ 尿検査:尿糖と尿蛋白
尿糖:糖尿病の合併を調べます。
尿蛋白:腎臓病を調べています。
どちらも進行するまで無症状のため健康診断で早期発見が必要です。
定期健診で異常値があった時
正常値は健康成人の95%をカバーするように決められています。
そのため正常な人の5%くらいは多少正常値を超える人もいます。
この場合は最終的に医師のコメントで「要経過観察」とする場合があります。
その反対に正常値からかけ離れて精査や治療が必要な場合は「要精査」や「要治療」といった判定を出します。
「要精査」や「要治療」と判定された時は速やかに医療機関を受診しましょう。
定期健康診断を受ける意識付けに遺伝子検査
遺伝子検査は定期的に健康診断で健康状態をチェックする意識付けにもなります。
がんについては日本人の死亡原因として上位に挙げられていますが、現在は早期発見・早期治療を行うことで上手につきあっていくことも可能な時代となりました。
大切なことは、どんな病気にかかりやすいのかを知り、日頃から適切な生活習慣を身につけ、病気にかかる可能性を下げることを目指すことです。
遺伝子検査が、ご自身の現在の健康状態と向き合い、未来の健康を考えるひとつのきっかけになれば幸いです。
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