治る(可能性がある)認知症を知ってますか? 甲状腺機能低下症
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
これまで、3回にわたって治る(可能性がある)認知症として「慢性硬膜下血腫」、「正常圧水頭症」、「薬物性認知症」について解説してきました。
最後は甲状腺機能低下症による認知症についてです。
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甲状腺とは
甲状腺機能低下症について説明する前に、甲状腺について解説します。
甲状腺は、重さが15~20 g程度、上下方向に3~5 cm程度の長さがあり、H型(あるいは蝶が翅を広げたような形)をしています。
のどの部分で、甲状軟骨のやや下方に位置し、気管を前面から囲むように存在します。
H型とは、甲状腺の左右の部分(右葉、左葉と呼ばれる)が上下にのびて発達しており、それらは、幅の狭い中央部(峡部)でつながっており「H」の形に似ているからです。
甲状腺は、身体の新陳代謝を調節する「甲状腺ホルモン」というホルモンをつくっています。
新陳代謝とは脂肪などを燃やして活動するために必要なエネルギーをつくり出したり、古くなった細胞を新しい細胞につくりかえたりして、からだを成長させたり機能を維持したりすることです。
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甲状腺機能低下症とは
何らかの原因で甲状腺ホルモンの分泌が減ってしまい、その結果として新陳代謝が落ちたことで出現する病状です。
甲状腺機能低下症の症状
- 皮膚のかさつき
- 体重の増加
- 寒がり
- だるさ
- 物忘れ
- 集中力のなさ
- うつ症状
- 抜け毛 など
甲状腺機能低下症の検査
血液検査で甲状腺刺激ホルモン(TSH)と遊離サイロキシン(FT4)の値を調べるだけで甲状腺機能が低下しているかどうか診断できます。
認知症の患者さんでは甲状腺疾患の合併が無いか疑わないといけません。
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甲状腺機能低下症の治療
甲状腺ホルモンの補充療法を行います。
甲状腺ホルモンの投与量は徐々に増やして2~3ヶ月をかけて正常に戻すようにします。
特に高齢者では、慎重に治療必要性の検討および投与量の調節を行います。
なお、薬で治癒するのではなくホルモンを補充する治療です。
内服を中止すれば再発します。
一旦治療を開始したら、甲状腺ホルモン薬を飲み続けることが必要です。
最後に
甲状腺機能低下症による認知機能低下は、発症早期に見つけられれば、甲状腺ホルモンの補充により治療が可能です。
しかし一定期間を過ぎると脳の萎縮が進んでしまい、認知機能の回復は困難になります。
今回で「治る(可能性がある)認知症」シリーズはいったん終了です。
物忘れは年齢のせいにしないで医師に相談してみましょう。
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