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糖尿病はなぜ免疫力が低下し感染症のハイリスクか? その5つの理由

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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こんにちは!

三重県松阪市の医療と介護の専門家、

西井医院の院長(  @nishii.hospital)です。

 

連日新型コロナウイルスのニュースが続き不安な日々が続きます。

ところで糖尿病がある方はハイリスク群となっていますが、なぜハイリスクなのか知っている人は少ないと思います。

今回はなぜ糖尿病は感染症に対してハイリスクなのかを解説です。

 

1.血糖値がより上昇する

一度細菌やウイルスに感染すると、インスリンを効きにくくする物質(サイトカインなど)が多く分泌されます。

サイトカインの増加により血糖値は普段よりも高くなります。

これが糖尿病の状態をより悪くしてしまい、感染症をさらに進行させてしまうという悪循環が生まれます。

 

2.好中球の貪食機能の低下

好中球は白血球の成分の一つです。

体内にウイルスや細菌が侵入すると、それを取り囲んで食い殺します(貪食〈どんしょく〉)。

血糖値が高くなると、この機能が低下します。

 

3.免疫反応の低下

免疫反応とは、一度感染した病原体に対し、体内でそれに対する抗体が作られ、次に同じ病原体が身体に侵入しようとした時に、それを防ぐように働く仕組みのことです。

高血糖では、この免疫反応も弱くなっています。

 

4.血流が悪くなる

高血糖では、細い血管の血液の流れが悪くなります。

このような状態では、酸素や栄養が十分に行き渡りません。

そして細胞の働きが低下したり、白血球が感染部位に到達しにくくなって、感染しやすくなります。

 

感染で受けたダメージの回復にも時間がかかり、抗生物質などの薬物治療でも薬が感染部位に到達しにくいため、薬の効果が弱くなります。

 

5.神経障害が感染・悪化の一因になる

糖尿病の合併症の神経障害があると、内臓の活動が乱れやすく、感染症の原因になります。

また、痛みを感じる神経も障害されるので、症状が現れにくく、感染症に気付くのが遅れ、その間に病気が進行してしまいます。

 

糖尿病の方がかかりやすい感染症

1.尿路感染症

頻度が一番多く、膀胱炎、急性腎盂腎炎がその代表です。

糖尿病性神経障害があると「神経因性膀胱」といって排尿がうまくいかず、膀胱に尿が溜まりやすくなり、感染リスクが上昇します。

尿路感染症では、頻尿・残尿感・高熱・寒気の症状がみられることが多いです。

 

2.呼吸器感染症

肺炎、肺膿瘍、肺ノカルジア症などがあります。

高齢者であれば誤嚥性肺炎も生じやすくなります。

糖尿病の方は結核にかかる割合も高いと言われます。

結核と診断された人の約15%が糖尿病だったという報告もあります。

 

3.皮膚感染症

糖尿病性神経障害があると感覚が鈍くなったり、血管障害で血流が滞ります。

そして身体の隅々に栄養が行き渡らなると、皮膚組織の感染症が増えます。

 

また、糖尿病では皮膚が乾燥する場合があり、痒みによる引っ掻き傷から感染を生じやすいです。

また、陰部や爪、趾間のカンジダ症や、足白癬(水虫)にもなりやすいです。

このように、糖尿病の方は足の感染症にかかりやすいので、フットケアが大切です。

 

4.歯周病

歯周病は、細菌の感染による歯周組織の慢性的な炎症です。

糖尿病では歯周病が重症化になりやすいです。

 

歯周病では、歯肉が腫れて出血しやすくなります。

進行すると歯茎が下がって、歯が長くなったようにみえます。

歯周ポケットが深くなると、血や膿が出てくることもあります。

最終的には歯が抜ける場合もあります。

歯周病が重症だと血糖値も悪くなり、逆に歯周病を治療して慢性炎症が改善すると、血糖値はよくなる傾向にあります。

 

感染リスクを下げるには

感染症のかかりやすさは、血糖値の高さと、血糖値が高かった期間の長さに影響されます

血糖値が高かった期間は今更減らせないため、血糖値は今後下げていくことが感染リスクを下げるために重要です。

院長
タバコを吸っている人は新型コロナウイルス感染による重症化リスクが高いです。

タバコを吸っている人はついでに止めましょう!

 

また、ワクチンで予防をしておくことも大切です。

  • インフルエンザワクチン

糖尿病がある方は、インフルエンザワクチンの接種が推奨されています。
特に、65歳以上の方、60~64歳で心臓や腎臓、呼吸器などの持病がある方、免疫力が低下する病気や免疫抑制剤による治療を行なっている方はインフルエンザワクチンの定期予防接種が推奨されています。

  • 肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌は高齢者の市中肺炎やインフルエンザ感染後の肺炎の主な起因菌の一つです。

血糖コントロールが不良だと、肺炎球菌による肺炎治療のため入院が増加するといわれています。

肺炎球菌による感染症や肺炎の発症リスクを低下させる肺炎球菌ワクチンの接種が可能です。

65歳以上の方や、60~65歳未満でも心臓・腎臓・呼吸器などのご病気をお持ちの方は肺炎球菌ワクチンが公費で受けられる場合があります。

主治医と予防接種の必要性についてよく相談しましょう。

 

より良い血糖コントロールを続けることが、感染症予防と重症化予防に一番効果があります

新型コロナウイルス感染の原因となる人混みは避けつつ、人通りの少ない道を選んでの散歩などの運動療法は続けるようにしましょう!

 

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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