不眠症治療薬との上手な付き合い方 ~お薬はやめることもできます~
スポンサーリンク
こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
不眠症の薬というと飲み始めるとやめられない、依存してしまうといった悪いイメージがあります。
今回は不眠症治療で聞かれることを一問一答形式で書いてみました。
Q1. 不眠症の治療の流れについて教えてください
不眠症の治療は、不眠の原因となる生活習慣を見直した上で、必要に応じて不眠症治療薬を使用します。
不眠の症状が改善して状態が落ち着いたら量を減らし、最終的に服用を止めて治療を終了することも可能です。
不眠症治療の流れ
不眠の症状や生活習慣について、医師に状況を伝え、治療の流れについて相談しましょう。
1. 日常生活を見直し、不眠の原因となる生活習慣を改善する。
2. 症状に合わせてお薬を処方します。
3. 生活習慣が改善して、症状が改善したらお薬を減らしていきます。
4. お薬を減らしても状態が安定していることを確認し、治療を終了します。
スポンサーリンク
Q2. 不眠症治療薬をやめる理由はなぜですか?
不眠症治療薬は、薬によっては下記のような問題が現れる可能性があります。
症状が改善した後は、漫然と長期間の服薬を続けずに、治療をどのように終了させるか医師と相談しましょう。
症状によっては治療を継続する必要もあります。
自己判断で中止せず、医師の指示に従いましょう。
不眠症治療薬によって現われる可能性のある問題点
- 一時的な物忘れ
- お薬をやめられなくなる
- 服用をやめると強い不眠症状が再発
- 日中の強い眠気
- ふらつき・転倒・骨折
Q3. 不眠症状にはどのようなものがありますか?
不眠症状は大きく4つのタイプがあります。
タイプによって対処法や治療方法が異なります。
自分自身の不眠の症状を知ることが大切です。
1. 入眠障害(なかなか寝付けない)
- 床に入って寝つくまでに、30分以上かかるタイプ。
- 不安や緊張が強い時に起こりやすいといわれます。
2. 中途覚醒(夜中によく目が覚める)
- 睡眠中に何度も目が覚めたり、一度起きたらなかなか寝付けないタイプ。
- 不眠の訴えの中で最も多いです。
- 中高年で頻度が高いです。
3. 早朝覚醒(朝早く目が覚める)
- 朝、予定時間より2時間以上前に目が覚めてしまい、その後眠れなくなってしまうタイプ。
- 高齢者に多く見られます。
4. 熟眠障害(ぐっすり眠った気がしない)
- 睡眠時間を十分にとったのに、熟眠感が得られないタイプ。
- 他のタイプの不眠症を伴っている場合も多く見られます。
スポンサーリンク
Q4. よい睡眠をとるための生活習慣って何?
よい睡眠をとるためには不眠の原因となる生活習慣を改善すること重要です。
上の一日の流れを参考にして、生活習慣を見直してみましょう。
就寝前の注意
- 就寝前はカフェイン、アルコール、タバコは控える。また、激しい運動は避ける。
- 熱めの入浴は避ける。
- 寝る前にスマホなどの明るい光を見ない。
Q5. どのような不眠治療薬がありますか?
これまでに使われてきた「GABA受容体作動薬」に加え、「メラトニン受容体作動薬」や「オレキシン受容体拮抗薬」なども登場しました。
お薬による治療の選択肢が広がっています。
不眠症状に合ったお薬について医師と相談してみましょう。
オレキシン受容体拮抗薬(過剰な覚醒を抑えて眠りをもたらす)オレキシンは起きている状態を保たせる働きがあります。
この働きが夜眠る時に過剰だと不眠になります。
このお薬は、オレキシンの働きを抑えて眠りを導きます。
メラトニン受容体作動薬メラトニンは、体内時計の調節に関係する働きがあります。
このお薬は、メラトニンの働きを高め、睡眠リズムを整えて、眠りを導きます。
GABA受容体作動薬(脳全体を鎮静させて眠りをもたらす)GABA(ガンマアミノ酪酸)は、脳の活動を抑える働きがあります。
このお薬は、GABAの働きを促して眠りを導きます。
スポンサーリンク
Q6. みんなはどれくらい寝ていますか?
平均睡眠時間は6時間以上7時間未満と言われています。
しかし必要な睡眠時間には個人差があります。
また、高齢になると睡眠時間は短くなります。
日中に快適に活動できる程度を目安にとし、あまり睡眠時間にこだわらないようにしましょう。
Q7. どうして不眠になるのですか?
不眠の原因はさまざまですが、その一つとして「睡眠」と「覚醒」のバランスの乱れが考えられます。
ストレスや睡眠障害・睡眠リズムの乱れなどによって、眠りたい時に身体を「覚醒」させる機能が、「睡眠」を誘う機能よりも上回ってしまった場合、不眠が起こると考えられています。
不眠の原因の例(覚醒>睡眠となるもの)
- 睡眠習慣の問題・睡眠リズムの乱れ
- ストレスなど
- うつ病などの精神疾患
- アルコールや薬の影響
- 生活習慣病・脳神経疾患・呼吸器疾患
スポンサーリンク
Q8. 「眠れない」とどんな問題がありますか?
不眠は、「眠れない」という夜間の苦痛だけでなく、日中の眠気、だるさ、集中困難など、心身に様々な影響を及ぼします。
また、不眠症が続くことで、うつ病になるリスクが高まると言われています。
さらに、不眠症は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病と関連していることが分かって来ました。
「最近あまりよく眠れない」と感じたら、早めに医療機関を受診して、適切な治療を受けましょう。
Q9. 不眠症治療薬は飲み始めるとやめられなくなりませんか?
不眠症治療薬は、服用を始めるとずっと飲み続けるものだとか依存してやめられなくなると思っている方が多いかと思います。
そうではありません。
確かに症状によってはなかなか改善しない場合もあります。
しかし医師の指示にしたがって正しく服用し、生活習慣を改善すれば、症状の改善にともない服用をやめることも可能です。
不眠症の治療についてお医者さんに相談してみませんか?
動画で解説:不眠症治療薬との上手な付き合い方
スポンサーリンク