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最期のお別れの言葉

 
この記事を書いている人 - WRITER -
1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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昨日は当院の冬のボーナスの支給日でした。医療・介護業態全体が苦しい経営環境の中で何とかボーナスを出すことが出来たこと、そのために頑張ってもらった職員の皆さんに感謝です。また、ボーナス支給をきっかけに退職される方も毎年いますが、これまでの働きに感謝と次の職場での活躍に期待です。

さて、退職の際にはお世話になった方々にお別れの挨拶をするかと思います。別れといえば「永遠の別れ」があります。この仕事をしていると今まで沢山の人を看取って永遠の別れをしてきました。

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つい先日は私にとって印象的なお別れがありました。当院併設の有料老人ホームに入居しておられ、癌が判明する以前から診察していて糖尿病が急に悪化してきたため調べると末期の膵癌です。通常なら余命3か月ぐらいですが、胆汁排泄のための胆管ステント留置をしただけで他は特に積極的な加療も行わず、結局判明してから14か月ほど生きられました。

内科医として看取りをたくさん経験しているとそろそろもう亡くなるなというのは分かります。今回は亡くなる6時間ほど前にその方に呼ばれてお部屋に行くと「先生、長い間お世話になり有難うございました。」と手を出して握手を求められました。血圧も触知できず、尿ももう出ていない状態なのでもう長くはないということは分かります。おそらく意識も血圧が低下して朦朧としているはずです。ですが、そのような状態でわざわざ主治医を呼んで最期のお別れの言葉を伝えてくれるのは嬉しいとともに寂しいものです。どう言葉をかけていいのやらとも悩みましたが「長い間頑張りましたね」と言って握手を交わしました。

これまでも沢山の方を看取ってきましたが、実際にはなかなか死の直前にお別れの挨拶を交わすことはデレビドラマと違いありません。今回のケースは緩和ケアを行うとなってから1年ほど生きられましたが、我々が提供したケアで満足してもらえたのかどうかというのはいつも気になるものです。亡くなった後に家族様から感謝の言葉を頂くことはあっても、亡くなる前の患者さん本人は意識がはっきりとしていないことが多く、感謝の言葉を伝えてもらうことは滅多にありません。印象的な最期のお別れの言葉でした。

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