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冬になる前にHbA1cを8%未満にして新型コロナの重症化リスクを減らしましょう!

 
この記事を書いている人 - WRITER -
1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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既に新型コロナウイルスの第2波が拡がっています。

しかし、もっと恐ろしいのは、今冬です。

コロナウイルスもインフルエンザも冬に流行が拡大するウイルスです。

更に今冬は今までのように発熱の方に咽頭ぬぐいをしてインフルエンザ検査ということが難しくなります。

 

冬前にはHbA1cが8.0%未満が必要な理由

この冬、流行するであろう新型コロナウイルス、インフルエンザ予防のために、血糖コントロールを良くしておくことは重要です。

新型コロナウイルスやインフルエンザに感染しても発症しない、もし発症しても重症化しないように準備をしておく必要があります。

院長
インフルエンザワクチン接種をしておくことが必要なのは言うまでもありません。

 

血糖コントロールはすぐには改善されません。

夏の今から行動に移す必要があります。

 

通常、夏は暑さによる血管の拡張で血圧が下がったり、活動量が増大したりすることで血糖の状態は他の季節より改善する傾向にあります。

しかし、今夏は新型コロナが要因による活動自粛により逆に少し悪化している患者が多いです。

 

HbA1cは過去1~2カ月間の血糖コントロールを示すので、継続的に生活習慣を改めなければ、この数値は下がりません。

健診前に食生活を改めて空腹時血糖値は基準値以内に収めても、HbA1cは改善できません。

HbA1cを8%未満としましょうというのは、高齢者などでシビアなコントロールが難しい場合です。

そうでなければ、HbA1cは7.0%未満を今から目指していきましょう!

血糖コントロールの目標
目標血糖正常化を注1)
目指す際の目標
合併症予防注2)
のための目標
治療強化が注3)
困難な際の目標
HbA1c
(%)
6.0未満7.0未満8.0未満
治療の目標は、年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定する。

  • 注1)適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合の目標とする。
  • 注2)合併症予防の観点からHbA1cの目標を7%未満とする。対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間の血糖値が180mg/dL未満をおおよその目安とする。
  • 注3)低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標とする。
  • 注4)いずれも成人に対しての目標値であり、また妊娠例は除くものとする。

日本糖尿病学会 編・著 糖尿病治療ガイド2016-2017 27頁 文光堂 2016 より改変

 

糖尿病患者は新型コロナウイルスで重症化・死亡率ともに高い

糖尿病の人は新型コロナウイルスやインフルエンザをはじめとする感染症に罹りやすく、悪化しやすいです。

色々な報道で「亡くなった方は持病に糖尿病がありました。」というのを聞いたことがあると思います。

米疾病対策センター(CDC)の報告では、糖尿病患者が新型コロナウイルスに感染すると、基礎疾患のない健康人より入院が必要となる確率が6倍、死亡する確率が12倍高くなるとのことでした。

 

糖尿病患者が感染症にかかりやすく、重症化しやすい5つの理由

  1. 体内に侵入したウイルスや細菌を食い殺す好中球(白血球の成分のひとつ)の機能低下
  2. 免疫反応の低下
  3. 動脈硬化による血流の滞りで、細胞の働きが悪くなったり白血球が感染部位に到達しにくくなる
  4. 糖尿病の合併症の神経障害
  5. ウイルス感染で血糖値がより高くなり、糖尿病の状態が悪くなって感染症をさらに進行させる

 

今からすべき血糖値対策

処方された糖尿病薬は自己判断で服薬量を減らしたり、飲むのをやめたりせず、指示通りに服用しましょう。

院長
血糖コントロールの悪い人に限って残薬が多かったり、薬が切れてもしばらく来院しないことがよくあります。

 

血糖コントロールには定期的な血糖値測定が大事です。

インスリン治療をしている方は、自己血糖測定もしているはずです。

内服治療のみの場合自己血糖測定は自費となりますが、血糖コントロールが悪い人は行う価値は十分にあります。

食べた物の内容や運動量で血糖値が驚くほど変化することが分かるかと思います。

 

新型コロナウイルスの影響で医療機関へ受診することが難しい状況が再び来ることも考えておくことは大事です。

主治医と相談の上、可能ならば予備の薬を1月分程度に手元に置いておくとか、主治医がオンライン診療を行っていればオンライン診療を普段の診察に組み込んでおくのもよいでしょう。

 

糖尿病の方は高血圧や高脂血症なども合併していることが多いです。

一緒に加療が必要です。

 

血糖コントロールが良好で、他の危険因子をもたない糖尿病患者は、新型コロナウイルス感染症による死亡のリスクは決して高くないと考えられています。

血糖値が適正に管理されていれば、重症化リスクは糖尿病でない人と同等で、死亡リスクも低いという報告もあります。

糖尿病だからといって過剰に恐れず、「普段から良好な血糖コントロールを保ち、手洗いや消毒、換気、マスクや身体距離の確保などの感染予防をしっかり行うこと」が感染予防・重症化予防に大切です。

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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