睡眠時無呼吸症候群(SAS)と認知症 ~無呼吸を治して認知症予防~
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)と認知症の関係性
閉塞性睡眠時無呼吸と認知症は実は合併していることが多いです。
認知症発症に対して閉塞性睡眠時無呼吸が影響を及ぼしていることがいくつかの大きな研究で示されています。
閉塞性睡眠時無呼吸とは⇒
「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療 STOP!いびき」
認知症の無い65歳以上の高齢女性を対象としたある研究で、無呼吸低呼吸指数(AHI)15以上の閉塞性睡眠時無呼吸があると認知症や軽度認知障害を1.85倍発症しやすくなるとの報告があります*1。
*1 Yaffe K, et al: Sleep-Disordered Breathing, Hypoxia, and Risk of Mild Cognitive Impairment and Dementia in Older Women. JAMA 2011;306:613-619.
認知症患者さんが睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併することは多い
認知症患者におけるSASの罹患率は89.2%*2と高く、更にSASの重症度と認知機能の低下には相関関係があることが報告されています。
*2 山田尚登:睡眠医療6巻2号 357-360, 2012
また、認知症では正常の方に比べ睡眠障害にかかっている人が高いことも知られています。
2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症
厚生労働省の推計値では、認知症高齢者が2025年には700万人にも及ぶとされています。
つまり、65歳以上の5人に1人が認知症発症者となります。
主な要因として軽度認知障害(MCI)の症状の進行が考えられています。
軽度認知障害(MCI)認知症とも知的に正常とも言えない中間状態のこと。
有酸素運動や認知訓練などのリハビリにより、健康な状態への改善が見込める段階です。
日本人は睡眠不足になっています
日本人の生活スタイルは夜型となり、睡眠時間は確実に減少しています。
平成27年国民健康・栄養調査において39.5%の人が睡眠時間が6時間未満です。
睡眠時間が6時間以下の群では睡眠における様々な問題(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害)が明らかに多くなります。
睡眠の役割と認知機能
睡眠の役割
・脳の休養、メンテナンス
・記憶の整理・定着
・ホルモンバランスの調整
・免疫力向上
などの翌日の活動に備える目的があります。
睡眠不足はこれらの機能を低下させてしまいます。
その結果、脳内に老廃物(アミロイドβ)が蓄積したり、障害を受けた神経が十分に修復されないなどといったことが生じます。
そして認知症の発症リスクを高めます。
睡眠時無呼吸症候群の治療をして認知症予防
認知症で最も多いアルツハイマー型認知症は長い時間をかけて、脳にアミロイドβを沈着して発病します。
睡眠不足や睡眠時無呼吸はアミロイドβの沈着を促進させて、認知症の発病リスクを高めます。
認知症予防の観点からも睡眠時無呼吸の治療を行うことが重要です。
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