総合防災訓練の講師をしました。「避難所での健康管理」についてです。
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9月2日の日曜日に隣町である多気町より依頼を受けて、「多気町民総合防災訓練」に講師として参加しました。
その数日後に関西を中心とする巨大台風と北海道での大地震があり、被災者の皆さんのことを思うと心が痛みます。
そこで、今日は講師として参加した時の資料を紹介します。
「どう守る?避難生活の健康」
NHK解説アーカイブスより引用・一部改訂させて頂いて講演に使用しています。
避難生活が長期化することで、様々な健康問題が懸念されます。
まず最初に直面するのが「食事や栄養の問題」です。
現在はまだ支援物資が十分届かず、食事が満足に摂れていない方が多い状況です。
今後、支援物資が届くようになっても、東日本大震災の避難所で見られたことですが、特定の物資だけが大量に届くなどして、同じものを食べ続けたり、栄養バランスの偏った食事しか出来ない状況になりがちです。
また、高齢者では乾パンなど硬い食品が配給されても咀嚼できないので、栄養が摂れなかったり、赤ちゃんの粉ミルクなども不足しがちです。
さらに、深刻な問題の一つに食物アレルギーもあります。
普通の食品が命に関わることもあります。
小麦や卵を使わない食べ物の支援も一部で始まっていますが、避難所でも、食物アレルギーの人や、高齢者などに、食べられるものと交換してあげるなど、周りの方の配慮もお願いしたいと思います。
次に、気をつけなくてはいけないのが、「風邪をはじめとする感染症」です。
狭い空間に大勢の人が寝泊まりすることで、感染症が非常に広がりやすい環境になっています。
食中毒で嘔吐や下痢を訴える人もいますでしょうし、高齢者の肺炎等も心配されます。
ちょっとした風邪だろうと軽く考えず、周りの方もぜひ注意して下さい。
「エコノミークラス症候群」の発症にも注意してください。
避難所や車の中で、長時間同じ姿勢でいると、静脈に血の塊が出来やすくなります。
肺の血管が詰まったりして命に関わることもありますので、これも注意が必要です。
エコノミークラス症候群は、水分不足と運動不足が大きな原因です。
運動不足は「ロコモティブ シンドローム」と呼ばれるものの原因にもなります。
これは、腰やヒザなどに痛みがある方が運動しなくなることで体の機能が落ちて、さらに痛みが悪化したり、転倒・骨折をしたりして、寝たきりにもつながってしまう、というものです。
「生活習慣病など持病の悪化」にも注意しましょう。
高血圧や糖尿病、腎臓病など持病のある方は、運動不足に加えて、食事の偏りや環境の変化もあって、悪化することが多いです。
普段のんでいる薬が持ち出せなかった方は、ぜひ申し出て支援を受けていただきましょう。
薬がある方は、きちんとのみ続けて下さい。
「ストレス障害」などもあります。
身近な方を亡くしたり家を失ったショックや、相次ぐ余震への不安などから、心身の状態を崩す方も大勢います。
今回のような災害に遭われて、落ち込んだり、涙が出て止まらないのは、ごく自然なことです。
無理にこらえようとか、お一人で抱え込まず、周りの人に伝えるようにほしいと思います。
避難生活を送っている人が自分で出来ることは?
心がけておきたいこと
まだ、断水している所が多いので水の支援が届くことが前提ですが、とにかく「水分」を十分摂ることを心がけてほしいと思います。
エコノミー症候群対策をはじめ、健康維持のために特に大切な点です。
こういう時、「トイレ」が使いにくかったり衛生的で無いなどの理由で水分摂取を控えがちです。
むしろ意識的に水分を摂って、定期的にトイレに行くことを心がけてほしいと思います。
これが、体を動かすきっかけにもなります。
そのためにも、行政には一刻も早く給水の体制を整えて欲しいと思います。
水が使えるようになったら、ぜひ「手洗い」「うがい」をいつも以上に心がけて下さい。
感染症予防や、怪我をしている人の悪化防止のためにも衛生的にすることが大切です。
また、「マスク」があれば、悪いものを吸わないためにも、人にうつさないためにも役立ちます。
避難所での健康運動のすすめ
狭い避難所では十分に体を動かすこともできないと思いがちです。
しかし、狭い空間でもエコノミークラス症候群やロコモティブシンドロームを予防するための運動はできるので紹介します。
下記のPDFを開くと健康運動のテキストが開きます。
しばらくの間避難生活が大変とは思いますが頑張ってください。
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