高齢者貧血を放置すると心不全に。高齢者貧血の症状と治療方法。
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貧血は誰でも起こりえます
貧血といえば若い女性というイメージがありますが、高齢者にも貧血はよくあります。
しかもゆっくり進行する上に高齢で活動量が低下するため、自覚症状が乏しく発見が遅れることもままあります。
高齢者貧血の自覚症状
自覚症状としては労作時息切れ、易疲労感、微熱などですが、元々の持病や年齢によるものと考えて見過ごされがちです。
最近経験した貧血の高齢者の一例
最近経験した例では在宅療養中で外出せずにずっと寝たきりの方を採血したらHb3.3(!)だったこと(正常の1/4しかありません。即入院し輸血です。)もありました。
寝たきりなので貧血でも自覚症状に乏しかったのでしょう。
高齢者の貧血の原因
貧血といえば鉄不足というイメージになりがちですが、高齢者の貧血の原因は
- 鉄不足
- ビタミンB12,葉酸不足
- 慢性炎症
- 腎不全
- その他
が多いです。
原因に応じた治療を行わないと貧血は改善しません。
鉄欠乏製貧血
鉄不足は若い人と原因は同じですが、高齢になるにつれて鉄分の吸収が悪くなる栄養障害性と、意外に多いのは心筋梗塞や脳梗塞予防に服用している抗血小板薬による副作用での微小消化管出血によるものです。
治療の原則は鉄剤の内服になります。
ビタミンB12・葉酸不足
ビタミンB12・葉酸不足は胃切除術後の方に多く発症します。
現在は胃潰瘍で胃を切ることはまずありませんが、H2ブロッカーが発売されるまでは胃潰瘍は胃を切って治すものでした。
その当時胃切除術を受けた方が高齢となり胃で吸収されるはずのビタミンB12・葉酸が吸収されずに不足し貧血を来たします。
この場合は内服しても胃が無いため吸収できないので注射により治療となります。
慢性炎症
慢性炎症は感染症や悪性腫瘍、自己免疫疾患により炎症が続くと消耗性の貧血を来たします。
この場合原因となる疾患を治さないといけません。
腎不全
腎不全になると腎臓で産生されるエリスロポエチンという赤血球産生のために必要なホルモン分泌が悪くなり貧血を来たします。
この場合はエリスロポエチンの注射により改善することが多いです。
(余談ですがエリスロポエチンはドーピングでも使われました。赤血球を増やすと体内で運ばれる酸素量が増え、持久系スポーツでは優位に立つことができます。ただし、健常人が使用すると多血症となり血栓塞栓症をきたす可能性があります。)
参照⇒貧血と心不全の関係
その他の原因
その他は甲状腺機能低下症や老人性の慢性貧血(加齢により造血機能が低下したため)などがあります。
まとめ
貧血は放置すると体の末梢へ酸素を送るためにより心臓を働かせるようとして負荷がかかった状態が続き、心不全の原因ともなります。
貧血の原因は様々であり、原因に応じた治療が必要です。
定期的に健診を受けるなどして早期発見早期治療に努めましょう。
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