夏の4大体調不良(夏バテ・熱中症・胃腸障害・冷房病)に有効な漢方
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
暑い日が続いています。
天気予報は高温注意情報を出して熱中症に注意を呼びかけています。
でも、夏に起こりやすい体調不良は熱中症だけではありません。
夏の4大体調不良(夏バテ・熱中症・胃腸障害・冷房病)の仕組みと夏の体調不良に効く漢方薬を伝えます。
1.夏バテ
夏バテ予防の漢方薬:清暑益気湯(せいしょえっきとう)
昔から夏バテ、暑気あたりの漢方薬として知られています。
「清暑」は名前の通り、暑さの原因を涼しくする。
「益気」は「気」※1を増すといった意味があります。
暑さで弱った胃腸を元気にし、低下した体力を回復させる効果があります。
※1 「気」とは漢方では生命エネルギーのことを示します。
夏バテとは
Wikipediaによると
夏バテ(なつバテ)とは夏の暑さによる自律神経系の乱れに起因して現れる様々な症状。暑気中り(しょきあたり)、暑さ負け、夏負けと呼ばれることもある。本来は秋口に体調を崩した際、夏に体力が弱った影響で体調を崩したという意味であり、夏の時期で体調の悪さを表すのは誤用である。
とのことです。
夏の暑さで体調を崩すことを表すのは誤用とは知りませんでした。
しかし今では「夏バテ=夏の暑さ負け」としても問題ないと思いますので、「夏バテ」を敢えて使います。
夏バテの原因
人間の体は高温多湿の状態では汗をかいて気化熱により体温を下げようとします。
しかし、汗をかくことは身体に負担をかけます。
通常は負担に耐えられますが、負担が過度になると身体に熱がこもりだします。
熱が身体にこもった状態が長く続き色々な症状が出てくるのが夏バテです。
夏バテの症状
全身倦怠感・思考力の低下・食欲不振・下痢・便秘などです。
時に頭痛・発熱・めまいなどを伴うこともあります。
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2.熱中症
熱中症予防の漢方薬:五苓散(ごれいさん)
主に熱中症の重症度(下記参照)Ⅰ~Ⅱで使います。
「五苓散」は、「水滞(すいたい)※2」を改善する代表的な処方です。
口の渇きや尿量の減少やめまいなどのある方のむくみ、頭痛、下痢などに使用されます。
※2 水滞とは漢方で体液の分布がアンバランスで滞っている状態のことです。
熱中症とは
熱中症とは気温の高い環境で生じる健康障害の総称です。
熱中症の原因
体内の水分や塩分などのバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなり、体温上昇、めまい、倦怠感、けいれんや意識障害などの症状が起こります。
熱中症の分類別症状と対処法
重症度Ⅰ度:めまい・立ちくらみ・こむら返り・大量の汗
<対処法>
涼しい場所へ移動・安静・水分補給
重症度Ⅱ度:頭痛・吐き気・体がだるい・体に力が入らない・集中力や判断力の低下
<対処法>
涼しい場所へ移動・体を冷やす・安静・十分な水分と塩分を補給します。
症状が改善されれば受診の必要はありません。
水分を自力で摂取できない場合や症状に改善が見られない場合は受診が必要です。
重症度Ⅲ度:意識障害・けいれん・運動障害
<対処法>
涼しい場所へ移動・安静・体が熱ければ冷やす。
ためらうことなく救急車を要請しましょう。
3.夏の胃腸炎
夏の胃腸炎は胃腸を冷やすことが原因で生じることが多いです。
・なんとなく胃腸の調子が悪い:人参湯(にんじんとう)
人参は「朝鮮人参」のことです。
多くの漢方薬に人参は入っていますが、人参湯は名前の通り人参が主成分です。
胃腸全般の調子をよくします。
やせ気味で体力が低下し、冷え症、胃腸虚弱、下痢、嘔吐、胃の痛み、腹痛、胃炎(急性・慢性)というような症状に使います。
・胃もたれによる食欲低下:六君子湯(りっくんしとう)
六君子湯は胃腸を動かして胃液を腸に押し出す 。
食べ物を受け入れにくい胃の働きを正常にする 。
といった効果があります。
体力中等度以下で、胃腸が弱く疲れやすい方向けのお薬です。
・冷たいものを食べ過ぎて胃がポチャポチャ:胃苓湯(いれいとう)
余分な水分を排出するとともに、水っぽくなった胃腸を乾かすという考え方の処方です。
前回紹介した五苓散に平胃散という薬を組み合わせたものになります。
4.冷房病(クーラー病)
冷房病に使う漢方薬:五積散(ごしゃくさん)
五積散はあまり知られていない漢方です。
オフィスでの強力な冷房による体の冷えに効果的です。
胃腸の働きを助け、神経や関節の痛み、ほかには生理痛にも効果的に働きます。
但し、身体が弱っているときには不向きです。
冷房病の原因
実は冷房病という医学用語はありません。
正確には温度差による自律神経障害です。
夏の暑い日、冷房がきいた部屋と外をひんぱんに出入りしたり、冷風に長時間あたっていると冷房病を生じます。
これは、急激な気温変化に体が適応できずに、冷えのため自律神経がおかしくなるからです。
冷房病の症状
倦怠感、頭痛、食欲不振、身体の冷えなどの症状が出ます。
漢方薬使用について
市販の漢方薬はいずれも医療機関で処方される量より一日量が安全性のため少なく設定されています。
また自己判断で服用しても改善しない時は、体質に合っていない漢方薬を使っていたり、他の病気が隠れていることもあります。
おおよそ1週間使っても全く改善を感じない時や服用して調子が悪くなった場合は医療機関を受診しましょう。
西井医院では漢方薬治療も積極的にしています。
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