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尿路結石ができる理由と家庭でできる予防法

 
この記事を書いている人 - WRITER -
1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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経験したことがある人は分かると思いますが、尿路結石の痛みは激痛です。

大の大人が救急車で運ばれて来ることもあります。

そこで、今回は尿路結石の成分、出来かた、どんな人ができやすいか、結石の予防法について解説します。

 

尿路結石の成分と形成機序

結石の約80%はシュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムです。

そのほかリン酸マグネシウムアンモニウム結石や尿酸結石などがあります。

 

肉類を多くとると、体内にシュウ酸などが増えます

肉類などを多く食べると、シュウ酸や尿酸などの物質が体内に増えます。

 

この中のシュウ酸はカルシウムと結合しやすい性質があります

 

シュウ酸は腸のなかでカルシウムと結びつくと、便と一緒にからだの外に排泄されます。

 

シュウ酸の量が多すぎると、余分なシュウ酸は腸でカルシウムと結合できず、尿の中に排出されます。

 

尿のなかでシュウ酸がカルシウムと結合すると、下の写真の様に石のような塊となります。

それにより尿が排泄されにくくなって腎臓に影響を与えたり、尿管を詰まらせることになります。

出典:https://nurseful.jp/nursefulshikkanbetsu/urology/section_1_01_01/

 

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どんな生活をしていると尿路結石ができやすいか

尿路結石は20~40代の男性に多い

「尿路結石症の臨床統計 」『日本泌尿器科學會雑誌』 Vol.73 (1982) No.11 P1395-1401, JOI:JST.Journalarchive/jpnjurol1928/73.1395 によると

男女比は2.1対1で、好発年齢は上部尿路結石は30歳代、 20歳代、次いで40歳代に多く、再発結石においてはピークが10歳高年齢にずれていた。下部尿路結石は60歳代にピークがあった。

 

尿路結石の原因の一つは生活習慣・食生活の欧米化

尿路結石の原因は様々ですが、発症が増えているのは生活習慣・食生活の欧米化が原因の一つと言われています。

尿路結石を発症する人の特長
  1. 肥満傾向
  2. 運動不足
  3. 総タンパク質・動物性タンパク質・脂肪の摂取過多
  4. カルシウムや牛乳摂取頻度の低下
  5. 野菜・海藻類の摂取頻度低下
  6. 甘味飲料・清涼飲料水の摂取頻度が高い
  7. 夕食中心の食生活(特に動物性タンパク質の摂取)
  8. 夕食から就寝までの時間が短い

 

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家庭でできる尿路結石の予防法

簡単に言えば、先ほどのなりやすい人の特徴と逆のことをすればよいのです。

 

十分に水分を摂る

水分摂取を控える状態を慢性に続けると、尿が濃縮されて尿路結石ができやすくなります。

食事以外に1日2L以上の水分補給をし、1日尿量を2L以上とすることで、結石再発リスクを61%に減少できるという報告もあります。

夏場の暑い時期や、入浴・運動後、夕食後は特に水分補給が大切です。

 

カルシウムを摂る

現在では、適量のカルシウム摂取(日本では1日600~800mg)を行うことが、再発予防になると考えられています。

院長
昔は結石予防にカルシウムを多量に摂らない方がいいと考えられていました。

 

 クエン酸を摂る

クエン酸は、シュウ酸とカルシウム、リン酸とカルシウムが結合するのを抑制するため、カルシウム結石の予防に有効です。

クエン酸とは

クエン酸は「酸っぱい」と感じる酸味の成分です。
多く含まれている食品といえば、梅干しやレモン、オレンジなど柑橘系の果物があげられます。

クエン酸はカルシウムと結合する性質があるので、汚れている部分をクエン酸液で軽く磨いたり、クエン酸を入れてお湯を沸かしたりすることで汚れ落としとしても使います。

また尿中Phを上昇させ酸性尿を是正する(尿をアルカリ化する)ことから、尿酸結石、シスチン結石の予防にも有用です。

クエン酸は果物や野菜に多く含まれますが、摂り過ぎはシュウ酸を多く摂ることにもなりかねないので注意が必要です。

 

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 塩分や糖分を摂り過ぎない

塩分制限をすることで、尿中カルシウム排泄量が減少する効果があると報告されています。

塩分を過量摂取すると、尿中クエン酸排泄量が減少してしまうという報告もあります。

糖分の摂り過ぎもまた、尿中のカルシウム排泄量が増加するとされています。

塩分制限尿中カルシウム排泄量 減少
塩分過量摂取尿中クエン酸排泄量 減少
糖分過量摂取尿中カルシウム排泄量 増加

 

シュウ酸を摂り過ぎない

尿中に排泄されるシュウ酸は、この約70%は食事由来とされています。

シュウ酸はカルシウム結石の最も重要な危険因子です。

尿路結石の予防のためにはシュウ酸を多く含む食品の過剰摂取を控えることが大事です。

ホウレンソウ、キャベツ、ブロッコリー、タケノコ、意外なところではバナナ、玉露・抹茶・煎茶などのお茶、ココア、チョコレート、コーヒー、紅茶などです。

院長
お茶でもシュウ酸含有量が違います。1杯に含まれる量は①紅茶:10.0mg、②玉露:5.5mg、③煎茶:4.7mg、④番茶:2.4mgです。
パティ
インスタントコーヒーは桁違いに多いワン。20mg/100mlもあるので結石持ちは控えた方がいいワン。

これらの摂取量に気をつけ、摂り方の工夫をすることが重要です。

シュウ酸は水溶性なので、ゆでたり、カルシウムと一緒に摂取することで吸収を抑えることができます。

例えばホウレンソウのおひたしにちりめんじゃこを加えたり、コーヒー・紅茶・ココアには牛乳を加えるといった工夫です。

コーヒー、紅茶、お茶は毎日飲む人が多く、注意が必要です。

同じお茶の中でも麦茶やほうじ茶はシュウ酸含有量が少ないです。

 

プリン体の多く含まれる食品や飲料を摂り過ぎない

プリン体は体内で代謝されて尿酸となり、過剰に摂取すると高尿酸血症や酸性尿を引き起こします。

なお、ワインは酸性食品ではなく、カルシウムやマグネシウム、カリウムが多く含まれており、ワイン摂取が結石発生を減少させたとする海外の報告もあります。

 

量に気を付ければ摂取するのもよいでしょう。

 

動物性の脂肪、タンパク質を摂り過ぎない

動物性脂肪を摂り過ぎると、腸内の脂肪酸が増えてカルシウムと結合します。

シュウ酸がカルシウムと結合できなくなり、このシュウ酸が吸収されて尿中へ排出されて結石ができやすくなります。

また、動物性タンパク質をたくさん食べると、尿中尿酸が多くなり、結石ができやすくなります。

 

夕食を食べすぎない、寝る前に食事をしない

夕食中心の食生活は就寝後の尿中への結石形成促進物質(カルシウム、シュウ酸、尿酸など)の過剰排泄につながります。

院長
夕食中心の食生活とは夕食で1日の必要栄養素の半分近くを摂取することです。

また就寝中は水分が補給されないため、尿が濃縮されます。

食後2~4時間で尿中結石形成促進物質の濃度がピークになります。

できれば夕食は、寝る4時間前までに済ませるのが理想的です。

 

尿路結石が出来てしまったら

外来でできるのは痛み止めの投与と点滴で多量に水分投与をすることで結石を膀胱へ流し落とすことです。

結石が大きくて動かない時は泌尿器科のある総合病院へ入院し、治療が必要となってしまいます。

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