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インフルエンザワクチン接種の値段は高い?安い?値段の違いを解説

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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11月に入り、インフルエンザワクチンを接種に来る方が増えてきました。

ご存知かと思いますが、インフルエンザワクチンは自費診療のため、医療機関により値段が違います。

 

インフルエンザワクチン接種代の全国平均

ネットで調べてみると、昨年のデータですがありました。

今年も入荷価格は変わっていないため今年も同様だと思われます。

インフルエンザ予防接種の全国平均額は3,446円

引用:https://news.mynavi.jp/article/20161013-a274/

平均最安値は佐賀県の3,081円、最高値は茨木県の3,611円です。

県によってもこれだけ差があるのはびっくりです。

院長
当院は4000円(税込み)ですので少し高いですね。

 

追記(2019/10/19)

消費税増税や仕入れ価格の上昇により、2019年度は4200円(税込み)で当院は接種してます。

 

インフルエンザワクチン接種に価格の差が出る理由

安く接種する医療機関の考え

・ワクチン接種は患者集客ツールと割切り敢えて安くしている。

・12歳以下の子供は2回接種が推奨されており、費用がかかるため安くしている。

・3歳以下は接種量が1/2となり、その分値下げしている。

・(同一医療機関で)2回目接種の時は値下げしている場合や、2回で幾らとしているところもあります。

院長
お母さんたちの情報ネットワークは素晴らしいので、安いところへ集中しますね。

 

安くしない医療機関の考え

・敢えてワクチンの値段で釣らなくても固定患者がしっかりいる。

・高齢患者の診察が中心となっており、65歳以上では市町村から補助が出るため敢えて安くしなくても、患者負担が元から安い。

院長
財政に余裕がある自治体では12歳以下も補助があるみたいですね。うらやましいです。

・嘱託産業医をしている事業所の職員への福利厚生として大口のワクチン接種顧客を抱えており、値下げの必要がない。

・3歳以下の子供の接種者が少なく、廃棄ロスのことを考えると安くできない。

といった理由が考えられます。

 

インフルエンザワクチンの接種費用の内訳

1. ワクチン料

卸より医療機関は仕入れますが、各卸により仕入れ価格は異なります。

おおよそ1バイアル3000~3400円(税抜き)なので3,240~3,672円で仕入れです。

1バイアルは1.0ml入っているので2人分です。

よってワクチン原価は1,620円~1,836円です。

院長
3歳以下は0.25mlなので理論上4人分ですが3歳以下の子供ばかり来るわけではないので、どうしても廃棄ロスがでます。

 

2. 注射器代

注射器は1本20円くらいです。

注射器も様々ですが、当院では予防接種専用の注射器を使用しています。

針が通常より細く刺した時の痛みが少ないです。

テルモFNシリンジ 29Gを使用しています

 

3. その他

・使用済み注射器などの感染性廃棄物の処理費用。

・医師・看護師・事務員等の人件費。

・(滅多にないですが)ショックを起こした時の対処用品の準備費用。

厚生労働省による予防接種ガイドラインでは下記の救急対策備品が求められています。

予防接種後に起こりうる重篤な副反応 

嘔吐,蕁麻疹,自律神経性ショック,アナフィラキシーショック,けいれん等がある。

その処置は,一般の救急治療に準じて行うので救急医療品セット,気道確保に必要な器具一式,酸素吸入用具等の準備が必要であり,最低限の物は接種施設に備えて置くことが必要である(表4)。

表 4 救急対策備品例

1 アンビューバック(レサシバッグ)
2 ディスポーザブル注射器
3 駆血帯
4 エピネフリン(商品名ボスミン:1ml中1mg)
5 抗ヒスタミン剤
6 ハイドロコーチゾン(商品名ソルコーテフ,サクシゾン,ハイドロコーチゾン,コートリル)
7 ジアゼパム坐薬(商品名ダイアップ:1個中4mg,6mg,10mg)又は抱水クロラール坐薬(商品名エスクレ:1個中250mg,500mg)
8 ジアゼパム静注(商品名セルシン:2ml中10mg)
9 アミノフィリン(商品名ネオフィリン:10ml中250mg)
10 グルコン酸カルシウム(商品名カルチコール:5ml中Ca 2mEq)
11 炭酸水素ナトリウム(商品名メイロン84:20ml中Na 20mEq)
12 5%ブドウ糖液(20ml)

 

終わりに

多くの方は問診表を書いて打ったら終わりの割に高いと感じるかと思いますが、実は安全に注射するための費用がかかっています。

値段差は「ワクチンの効き具合に差がある」とか、「高級ワクチンかそうでないか」などと言われることもありますが、どれも厚生労働省の検定を通過したものです。

値段差と効果や品質は関係ありません。

 

インフルエンザワクチンで医療機関は儲かると思うかもしれませんが、実はインフルエンザ患者さんを診察する方がよっぽど儲かります。

それでも各医療機関や自治体がワクチン接種を勧めるのは皆様の健康維持を願ってのことです。

既に流行り始めた地域もあります。

なるべく早くインフルエンザワクチンの予防接種に行きましょう。

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