最新の花粉症治療薬は1シーズンで150万円
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
今年も花粉症のシーズンがもうすぐやってきます。
実は今年は花粉症治療の画期的な新薬が登場予定です。
これまで既存治療が十分に効かない気管支喘息の治療に用いられたきた注射薬「ゾレア(オマリズマブ)」が「季節性アレルギー性鼻炎」に適応追加となりました。
ゾレアとは
元々は最重症の気管支喘息への治療薬です。
IgEという体内の物質の働きを抑え、気道の炎症を鎮め、喘息発作を起こりにくくします。
また、特発性の慢性蕁麻疹における症状も改善します。
通常、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治性の気管支喘息、既存治療で効果不十分な特発性の慢性蕁麻疹の治療に用いられます。
ゾレアの使い方
気管支喘息、季節性アレルギー性鼻炎
通常、血液中のIgEの濃度と体重に応じて2週あるいは4週間ごとに1回、皮下に注射します。
慢性蕁麻疹
通常、1回300mgを4週間毎に皮下に注射します。
ゾレアの副作用
ゾレアの投与で予想される主な副作用は、注射部位の反応(注射した場所が赤くなったり、腫れたりする症状)です。
ゾレアの医療費
ゾレア皮下注シリンジの薬価は75mgで23,195円、150mgで45,645円(2019年7月現在)です。
体重に応じて投与量を調節しますが、「1回当たり600㎎を2週間ごと投与する」となると、1か月で37万円余り、花粉の多く飛ぶ2-5月にこの量で使用したとすれば1人当たりの薬剤費は150万円弱となります。
ゾレアの問題点
ゾレアにもいくつか問題点はあります。
使用できる施設が限られること(当院では使用できません)、高価であること、根本的治療ではないこと、いつまで使用するか(中止できるか)決まっていないこと、などです。
オマリズマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン(季節性アレルギー性鼻炎)について
▽次の要件を満たす「季節性アレルギー性鼻炎の病態、経過と予後、診断、治療(参考:鼻アレルギー診療ガイドライン)を熟知し、本剤についての十分な知識を有し、季節性アレルギー性鼻炎の診断・治療に精通する医師」が、本剤に関する治療の責任者として配置されていること
【成人季節性アレルギー性鼻炎患者に投与する場合】(いずれかを満たす)
▼初期臨床研修修了後に、4年以上の耳鼻咽喉科診療の臨床研修を行っている
▼初期臨床研修修了後に、4年以上の臨床経験を有し、うち3年以上「季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー診療の臨床研修」を行っている【小児季節性アレルギー性鼻炎患者に投与する場合】(いずれかを満たす)
▼初期臨床研修修了後に、4年以上の耳鼻咽喉科診療の臨床研修を行っている
▼初期臨床研修修了後に、「3年以上の小児科診療の臨床研修、かつ3年以上の季節性アレルギー性鼻炎を含むアレルギー診療の臨床研修」を含む4年以上の臨床経験を有している▽「製造販売後の安全性・有効性を評価するための製造販売後調査」を適切に実施できること
▽製薬企業等からの有効性・安全性等の薬学的情報の管理や、有害事象が発生した場合の適切な対応・報告業務等を速やかに行うなどの医薬品情報管理、活用の体制が整っていること
▽喘息等を合併する患者に本剤を投与する場合に、アレルギー性疾患担当医と連携し、その疾患管理の指導・支援を受ける体制が整っていること
▽アナフィラキシー等の副作用に対し、自施設または近隣医療機関の専門医と連携し、副作用の診断・対応に関する指導・支援を受け、直ちに適切な処置ができる体制が整っていること
また対象患者については、次のような「限定」があります。
▽「鼻アレルギー診療ガイドライン」を参考に「スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎の確定診断」がなされている
▽初回投与前のスギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上(FEIA法で3.5UA/mL以上、CLEIA法で13.5ルミカウント以上)である
▽過去にスギ花粉抗原の除去と回避を行った上で、医療機関で「鼻アレルギー診療ガイドライン」に基づき、鼻噴霧用ステロイド薬・ケミカルメディエーター受容体拮抗薬による治療を受けたものの、コントロール不十分な鼻症状が1週間以上持続したことが診療録、問診等で確認できる
▽12歳以上で、体重・初回投与前血清中総IgE濃度が投与量換算表で定義される基準を満たす
▽投与開始時点で、季節性アレルギー性鼻炎とそれ以外の疾患が鑑別され、本剤の投与が適切な季節性アレルギー性鼻炎であると診断されている
個人的に思うこと
私自身も重度のアレルギー性鼻炎持ちです。
スギ・ヒノキ・シバと反応するため1月下旬から5月末まで抗アレルギー薬が手放せません。
高価ですが、後で確定申告すれば医療費が還付されるのなら使ってもいいかもと思ってしまいます。
ただ、気管支喘息はコントロール不良だと死ぬこともあります。
慢性じんましんも難治性ですと皮膚が荒れて感染のリスクなどもあり必要と思います。
しかし、アレルギー性鼻炎は重症だと鼻閉などで苦しく著しくQOLが低下しますが、命に関わることはありません。
安易な使用は医療費のことも考えると、「舌下免疫療法を行っても効果不十分であった者」くらいの制限がないとアレルギー性鼻炎の患者数が多いだけに医療費高騰の原因になるのではと思ってしまいます。
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