サプリメントの性能の見分け方
サプリメントはここ数年で急速に認知度を上げています。
皆様の中でも利用されている方は多いのではないでしょうか?
しかし、サプリメントもしっかり選ばないと、添加物だらけで栄養素は僅か、しかも、原料は化学合成由来というサプリメントも世の中には多くあります。
サプリメントの品質は、使用原料、配合量、添加物、 安全基準などの情報から判断することができます。
1.原料
パッケージの裏の原材料表示には、「原材料は多いものから順番に書く」というルールがあります。
原材料表示を見て、最初の方に、食品とは思えない成分や添加物、糖類が並んでいたら、それは、栄養素よりも添加物・賦形剤の方が多いサプリメントである可能性が高いといえます。
また、「ビタミン B1」とか「VB1」など、栄養素の名称が直接書いてあるものは、原料が合成であるということです。
天然由来の原料を使用した場合には、大豆油(ビタミンE含有)や、酵母(ビタミンB1含有)など、食べ物に近い名称が並ぶことになります。
2.配合量
「マルチビタミン」というサプリメントを比べてみても、日本のコンビニ等で入手できるものと、アメリカで利用
されているものでは、配合量と種類の点で、まったく別物といえるほどの違いがあります。
それには、摂取基準が関係しています。
日本の栄養素の摂取基準は、各栄養素が欠乏症に陥らないように設定された基準です。
現代の日本では、ビタミン欠乏症でお悩みの方はほとんどいないにも関わらず、日本のサプリメントメーカーの多く
は日本の摂取基準に倣ってサプリメントを設計しています。
しかし、この設計では、ビタミンの薬理効果や抗酸化作用は期待できません。
そこで、各ビタミンを高配合し、アメリカで使用されているレベルに合わせたサプリメントが、現代人の求めているサプリメントといえます。
3.添加物
残念ながら、サプリメントは添加物を使わずに作ることはできません。
食品に使用する添加物は安全性が確認されていますが、組み合わせや量によっては有害性もあり、できる限り摂らない方が良いことは言うまでもありません。
サプリメントを作る上で最低限必要な添加物は次の 2 つです。
- 粉の流動性向上(ハードカプセル、タブレットの製造に不可欠)
- 粉を固めるもの(タブレットの製造に不可欠)
これら以外の添加物(増量剤、着色料、甘味料、香料、保存料)は、使用しなくてもサプリメントは作ることが
できます。
また、使用されている添加物の量もパッケージの表示から推測することができます。
サプリメントのパッケージには、1 粒当たりの重さや、配合されている栄養素の量が表示されています。
1 粒の重さから配合栄養素の量を引き算してみれば、そのサプリメントの原料の内訳を推測することができます。
市販のサプリメントを見ると、 7 割以上が栄養素以外の添加物という商品も多く見かけます。
4.安全基準
製造工場が健康食品GMP基準であることや、日本国内の工場で作っていること、さらには、原料の安全性データの有無も、品質を判断する重要な情報になります。
最近は、健康食品業界でもコストの安い中国製のサプリメントや原料が多く出回っています。
ビタミン・ミネラルの安全な摂取量について
当院でお勧めさせてもらっているサプリメントを見ていただくと、多くのお客様が、配合されているビタミンの含有量に驚かれ、「これだけ摂っても過剰症の心配はないのでしょうか?」と質問されます。
安全性の基準は?
栄養の先進国であるアメリカには、アメリカ栄養評議会(The Council for Responsible Nutrition:CRN)という協会があり、安全性の評価や検討に関する情報を提供しています。
CRN は、サプリメントに対する上限摂取量(ULS:UpperLevel for Supplements)を設定しており、これは、ヒトがサプリメントとして摂取する場合の副作用非発現量(NOAEL)ということができます。
当院では、この基準が「健康な成人がサプリメントとして摂取する際に安全であると確認されたビタミン及びミネラルの 1日当たりの摂取量」 であると考えています。
上限摂取量はどのくらい?
CRNによって設定された、 主なビタミンやミネラルの1日の上限摂取量(ULS)は次のとおりです。
ビタミン A 3000μg
ビタミン B2 200mg
カルシウム 1500mg
βカロテン 25mg
ナイアシンアミド 1500mg
マグネシウム 400mg
ビタミン D 60μg
ビタミン B6 100mg
クロム 1000μg
ビタミン E 1000mg
葉酸 1000μg
マンガン 10mg
ビタミン K 10mg
ビタミン B12 3000μg
セレン 200μg
ビタミン C 2000mg
ビオチン 2500μg
亜鉛 30mg
ビタミン B1 100mg
パントテン酸 1000mg
鉄 60mg
日本国内で市販されているサプリメントのほとんどは、この基準に収まっていますので、定められた摂取基準を守って飲んでいれば、過剰症の心配はありません。
ビタミンの過剰症について
水溶性ビタミンは、過剰に摂取した場合でも尿として体外に排泄されるので、多少摂取しすぎても心配ありませんが、脂溶性ビタミンは肝臓をはじめとする体内に蓄積されるため、過剰摂取による副作用が出てくる危険性が
あります。
良く知られている通り、ビタミン A を取り過ぎると、 軽度の場合、下痢などの食中毒様症状、重篤の場合、 倦怠感・皮膚障害などが起こる可能性がありますし、 妊婦が過剰摂取した場合には、催奇形性のリスクが高くなります。
また、ビタミンDを取り過ぎると、高カルシウム血症のリスクが高まります。
ミネラルの過剰症について
ミネラルは、ビタミンに比べ安全領域が狭く、過剰症には特に注意が必要です。
良く知られているミネラルの過剰症は次のとおりです。
お客様には、単体のミネラルを自己の判断で摂取するよりも、複数の栄養素がバランスよく配合されたマルチタイプのサプリメントを「一日の摂取基準を守って」摂取していただくようにアドバイスさせて頂いています。