脳梗塞とリハビリテーション
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最近脳梗塞発症後のリハビリをデイケアセンター西井で行いたいという依頼が増えてきました。
脳梗塞にリハビリが必要ということはすぐに結びつくと思いますが、実際発症してからの流れは知っていますか?
脳梗塞発症後の流れ
1. 発症当日は急性期病院に入院して画像検査で梗塞部位の特定、可能なら塞栓部の溶解治療(t-PA療法)を行います。
その後1~2週間程度「エダラボン」、「オザクレル」、「アルガトロバン」などの薬を体の状態や梗塞巣に応じて点滴します。
リハビリは早い施設ですと状態安定していれば入院翌日より開始です。
昔は1週間程度は安静保持としていましたが、最近ではリハビリ介入が早いほど予後が良いことが分かり、なるべく早期から始めます。
しかし、急性期病院でのリハビリは状態安定して早い方ですと2週間くらい、長くても1か月くらいです。
この後は自宅へ戻りリハビリを続ける場合(→2へ)回復期リハビリテーション病棟に転院してリハビリをする方(→3へ)、重度の後遺症で回復期リハビリもできず、在宅復帰もできない場合は施設へ入所や慢性期病棟へ入院される方に分かれます。
2. 自宅へすぐに戻ることができる軽症の方はできるだけ入院中に介護保険利用のための申請をしておくことがスムーズなリハビリ利用の開始につながります。
自宅でのリハビリは、
①医療機関へ通院して医療保険でリハビリを続ける。
②介護保険でのリハビリに分かれます。
医療保険のリハビリは機能回復と生活の質向上を目指すもの、介護のリハビリは日常生活の自立を目指すものと目的が違います。
医療保険のリハビリには日数制限があり、発症後180日までしか受けられません。
その後は介護保険でのリハビリとなります。
また直接介護保険のリハビリを受ける場合は退院後3か月間は短期集中個別リハビリテーションを行うことが介護保険で認められています。
先ほど医療のリハビリは機能回復と生活の質向上を目指すもの、介護のリハビリは日常生活の自立を目指すものと、似ているようで目的が違うことを説明しました。
これら異なる目的が同時に存在することは考えにくく、保険制度もこれらを「同時に併用すること」を認めていません。
ただし、医療のリハビリを一度使ったら、介護のリハビリを利用することができないということではなく、認められていないのはあくまで「同時に併用すること」です。
なぜ医療保険のリハビリは180日かというと症状固定するのにだいたい6か月が目安です。
身体障害者手帳の申請も発症6か月を経過して症状固定しないと申請できません。
厳しいことを言うと180日くらい経った時点の機能以上にはなかなか改善しないということになります。
しかしここでリハビリを止めてしまうと折角改善してきた機能がまた段々と低下していきます。
そのためこの後は機能維持期のリハビリ(→4へ)となります。
3. 回復期リハビリテーション病棟についてですが、ここに入ることができるのは保険制度上、発症して2か月以内の方のみです。
また入院期間も制限があり脳梗塞を原因とした場合は150日間、高次脳機能障害を伴う場合は180日間までです。
その後は退院し在宅で介護保険を利用したリハビリを続けるか、在宅復帰が難しい場合は老健・特養・慢性期療養病棟へ移ることとなります。
回復期リハビリ病棟で行うリハビリは1日最大3時間各種の専門家(PT、OT、ST)によるリハビリはもちろん、朝起きてから寝るまでをリハビリととらえます。
退院後のことを考え、急性期病院のリハビリとは異なりADL(日常生活動作)訓練が中心です。
4. 在宅での機能維持期のリハビリは上記1~3まで行い回復した機能を維持することです。
というとなんだか機能改善の望みが無いように思われますが、リハビリをして1分間かかってできた作業が維持期のリハビリを行い続けることで15秒でできるようになるといった風に改善することを目指します。
ここでのリハビリ提供は大きく3つに分かれます。
①デイケア(通所リハビリ)でのリハビリ、②リハビリ型デイサービス、③訪問リハビリです。
それぞれ一長一短があり、ケアマネジャーと相談して決めるのが良いと思います。
5.最後に リハビリだけではなく再発予防も大切です。
高血圧や高コレステロール血症、糖尿病などの治療や抗血小板薬や抗凝固薬を医師の指示どうり服用する必要があります。
脳梗塞を起こす時点で他の脳や心臓の血管も狭くなっていていつ再発を起こしても不思議ではありません。
再発すると間違いなくADLが低下します。
医師による治療も必ず続けましょう。
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