肥満症治療薬「ウゴービ」が保険適用になりました!
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製造販売が3月に承認された肥満症の治療薬「ウゴービ」を、厚生労働省は11月15日に公的医療保険の適用対象にすると決めました。
11月22日から適用されます。
日本ではこれまで長期にわたって使用できる保険適用の肥満治療薬はありませんでしたが、ウゴービの発売によって保険適用の肥満治療が可能となります。
今回は、ウゴービの使い方や副作用、同成分であるオゼンピックとの違いなどを説明していきます。
ウゴービとは
ウゴービは、セマグルチドを主成分としたGLP-1受容体作動薬に分類されます。
糖尿病治療薬の「リベルサス」「オゼンピック」と同成分で、0.25mg~2.4mgまでの5段階があり、週1回の皮下注射をします。
「オゼンピック」と使い方が似ていますが、「オゼンピック」は0.25mgから開始し4週間後に0.5mgへ増量します。
「オゼンピック」は治療を強化する場合は0.5mgを4週以上使用後に1mgまで増量可能です。
用量依存的に食欲抑制効果が強くなるので効果が期待できます。
現時点において、ウゴービの保険適用の要件は、以下の通りです。
高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法や運動療法を行っても改善がみられず、以下に該当する場合
- BMI27以上で、肥満に関連した健康障害※の2つ以上を有する
- BMI35以上
※肥満に関連した健康障害は、高血圧、脂質異常症、脳梗塞、月経異常、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、慢性腎臓病などの11項目
GLP-1はインクレチンと呼ばれるホルモンの一種で、食後に小腸への刺激ですい臓からインスリンの分泌を促す働きがあります。
ウゴービなどのGLP-1受容体作動薬は、GLP-1の機能をもち、体内で分解されにくいように施した注射剤です。
※これまでGLP-1ダイエットとして使われてきた製剤を知りたい方はこちらをクリック。
また空腹時には作用しないため、単独の注射では低血糖症が起こりにくいことが知られています。
食欲抑制や代謝の向上により、太りにくい体質にする効果が期待できます。
ウゴービの効果
ウゴービは、主に以下のようなことに効果が見込まれます。
食べ過ぎの予防
食欲は脳の視床下部でコントロールされています。
血糖値が上昇すると、視床下部にある満腹中枢に伝えられ、食欲を抑える指令が出されます。
食欲抑制の指令が脳に伝えられることにより、満腹感が生じて食べ過ぎの予防につながります。
満腹感が得られる
ウゴービは、胃のはたらきを抑え、消化のスピードを緩やかにします。
胃の中に入った食べ物が長い時間胃の中に留まることで、満腹感を得られる時間が長くなります。
少量の食事でも満腹感が得られやすく、自然に摂取カロリーを抑えることが可能と考えられます。
代謝を向上させる
体には余分なエネルギーを脂肪として蓄えている白色脂肪細胞と、余分なエネルギーを熱にかえて放出する褐色脂肪細胞があります。
ウゴービなどのGLP-1受容体作動薬は、白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変え、基礎代謝を向上させて脂肪燃焼を促進する効果が期待できます。
ウゴービの使い方
ウゴービは週に1回、使い切りの注射剤です。
最初は0.25mgからはじめて、4週間の間隔で0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mgと、少しずつ増量していきます。
その後は、2.4mgを週1回、皮下注射します。
もし打ち忘れた場合は、次回投与までの期間が48時間以上ある場合には投与可能です。
血糖と炎症も改善する
元々糖尿病治療薬として作られているので、血糖値が改善するのは当然ですが、心臓病の前兆である炎症も改善するとの研究結果が製造元のノボ・ノルディスクから公表されました。
これは、同社が8月に報告した心臓まひや脳卒中のリスク減少を説明するのにつながります。
ウゴービの処方要件
ダイエット用に処方されないために、ウゴービには様々な処方要件も発表されました。
専門医がいる教育施設で、管理栄養士による栄養指導など多職種で適切な治療管理が行えることを施設要件としています。
また、患者要件としては適切な食事療法・運動療法について作成された治療計画に基づく治療を6か月以上実施しても、十分な効果が得られない患者であり、投与期間は最大68週間です。
かなり厳しい処方要件です。保険診療では総合病院での処方が必須と思われます。
自費診療でも、最適ガイドラインを満たす企業に販売するとのことです。
美容クリニックでの入手も困難と考えます。
肥満症の治療薬として保険認可されるのは嬉しいですが、人気が出すぎて欠品にならないように製造をしっかり頑張って欲しいですね!
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