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無呼吸だから肥満になる? 肥満だから無呼吸になる?

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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当院では肥満外来を行っていますが、肥満の方は睡眠時無呼吸症候群を併発していることが実は多いです。

肥満と睡眠時無呼吸症候群は密接に結びついており、今回はその点を解説します。

 

肥満と睡眠時無呼吸症候群の関係

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは、自分では気づかなくても夜中に何度も呼吸が止まって目を覚ましています。

そのため、知らず知らずのうちに睡眠不足になっています。

睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減少し、食欲を増すホルモン「グレリン」が増加します。

そのため、ますます太りやすくなるという悪循環が生じてしまいます。

主に胃で作られるグレリンは食欲を高めるホルモンで、食欲の低下した患者さんにこのホルモンを高める漢方薬(六君子湯など)を処方しています。

睡眠時無呼吸症候群で睡眠が阻害されるとグレリンが増えて食欲が増えます。

一方で食欲を下げるホルモンであるレプチンは脂肪細胞で作られています。

睡眠時無呼吸症候群によりレプチンが減って、食欲を抑えにくくなります。

寝不足のマウスは甘いものや味の濃いものを欲しがるという結果も報告されています。

この悪循環を断ち切るには、病気を治療して質のいい睡眠を取り戻すとともに、減量により適正な体重に落とすことが大切です。

 

睡眠時無呼吸症候群とはどういう病気?

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に空気の通り道である気道が狭くなることで、浅い呼吸や無呼吸が引き起こされる病気です。

医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。

あごの骨格や神経の異常で発症することもありますが、多くの患者さんは肥満が原因で発症しています。

寝ている間に何度も呼吸が中断されると、体に十分な酸素が運ばれず、全身に負担がかかります。

特に、心臓や血管に負担がかかるので、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まるのが恐ろしい病気です。

肥満が原因で発症した場合、治療法は「CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)」が第一の選択肢となります。

CPAPは、寝ている間に鼻から空気を送り込み、睡眠中の無呼吸を防ぐ医療機器です。効果が高い反面、毎晩装着するのが面倒だという声もあります。

CPAPを含む睡眠時無呼吸症候群の治療の詳しい解説はこちら

 

痩せると睡眠時無呼吸症候群がよくなる

肥満の人は、気道の周囲にも脂肪がついているため、気道が脂肪で圧迫されて狭くなります。

そのことが原因で、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。

 

重症度の指標「AHI」とは?

睡眠時無呼吸症候群には、「AHI」という重症度をはかる指標があります。

AHIは、睡眠1時間あたりの無呼吸および低呼吸の合計回数で、以下のように分類します。

 ・軽症  5~15
 ・中等症 15~30
 ・重症  30以上

治療と生活習慣の改善で、AHIが5以下になることを目指していきましょう。

 

体重とAHIの関係

アメリカの研究では、体重が10%増えるとAHIが32%増加し、10%減るとAHIが26% 減少すると報告されています。

【参考情報】『Weight Loss Is Integral to Obstructive Sleep Apnea Management. Ten-Year Follow-up in Sleep AHEAD』National Library of Medicine
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7874406/

肥満は生活習慣病など、多くの病気を引き起こしますが、睡眠時無呼吸症候群に関しても、体重の増加により症状が悪化することが認められます。

減量の目安として、まずは自分の適正体重(BMI=22)を確認しましょう。BMIが25以上だと肥満です。

日本ではBMI=22が標準体重であり、一番病気にかかりにくいとされています。

 

減量に成功すると治療は不要?

しかし、いったん適正な体重になっても、油断すると再び体重が増加して、また症状が現れることがあります。

減量後も体重をキープするため、食事療法と運動療法を続け、体重をコントロールしていきましょう。

加齢とともに基礎代謝は下がるので、若い頃に比べると減量が難しいと感じる方もいると思います。

なお、減量で体重が減っても、自己判断で治療をやめることはせず、今後の治療については医師と相談してください。

 

西井医院では睡眠時無呼吸症候群の検査を行っています。

自宅で腕に小さな検査装置を付けて寝ることで睡眠時無呼吸症候群の簡易検査をすることができます。

(もちろん健康保険の適応です。3割負担の場合、診察料と合わせて5,000円ほどです。)

当院でも簡易検査はできますし、簡易検査の結果精密検査が必要と判断した場合は専門の医療機関へ紹介となります。

気になる方は一度受けてみませんか?

 

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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