三重県松阪市の医療と介護の専門家 

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認知症と不眠症と睡眠薬の関係。~ベルソムラについて~

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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こんにちは!

三重県松阪市の医療と介護の専門家、

西井医院の院長(  @nishii.hospital)です。

 

昨夜は介護認定審査会へ出席後、その足で松阪地区医師会館で行われた内科医会へ「不眠・不穏・認知症」についての勉強会に参加しました。

 

BZ系睡眠薬は非合法薬物より有害性・依存性が強い

以前よりベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠薬は依存性や認知機能の悪化を来たすことは知られています。

ベンゾジアゼピン系とはベンゾジアゼピン系抗不安薬の作用機序には「GABA(ギャバ)」と呼ばれる物質が関わっています。

GABAは中枢神経系を抑制する、代表的な脳内神経伝達物質です。

ベンゾジアゼピン系薬物にはGABAの脳内作用を増強する働きがあります。

つまり、ベンゾジアゼピン系薬物がGABAの働きを強めることで、脳内の活動がスローダウンし、それが心の不安、緊張を和らげることになるのです。

 

最近は非BZ系睡眠薬(アモバン・マイスリー・ルネスタ)も生じると聞きました。

今後の睡眠薬処方、特に高齢者への処方は見直しが必要と感じました。

またBZ系睡眠薬はLSDや大麻といった非合法薬物より有害性・依存性が強いとのことです。

 

最近はめったにBZ系睡眠薬は処方することはなくなりました。

しかし非BZ系睡眠薬はやはり切れ味があるため使ってしまいます。

 

発売当初の非BZ系睡眠薬の謳い文句は依存・耐性が無く、認知機能も悪化しないとのことでしたが、長期使用によりデータが出てきたため分かったのでしょう。

(確かにBZ系睡眠薬に比べれば非BZ系睡眠薬は依存・耐性が少なく、認知機能も悪化しないかもしれませんが…)

 

高齢者の不眠にお勧めの薬(私感)

BZ系睡眠薬が認知症を悪化させるだけでなく、認知症のリスクも高めるので(個人的に使っているのは)最近は、

  • 高齢者への不眠は屯用なら非BZ系睡眠薬
  • うつ傾向のある不眠はリフレックス
  • 認知症合併例では抑肝散、レスリン、テトラミド

辺りです。

定期的に服用ならロゼレムかベルソムラが安心です。

 

昼寝で認知症予防

また昼寝の有用性も教えてもらい、30分以内の昼寝は認知症の予防となる60分以上の昼寝は認知症のリスクを増やすとのことです。

30分寝るともう少し寝たくなりますが我慢ですね。

院長
私は昼寝前にコーヒーを飲み、カフェインが効いてくるのが30分後なのでその間に昼寝をするようにしています。でも昼に会議があるときは眠いですね~。

 

ベルソムラは合う人にはよく効きます

今回の講演は製薬会社MSDによる共催ですのでベルソムラ押しは止むを得ませんが、実際使ってみるとベルソムラは合う人には良く効きます。

特に不眠症薬をこれまで使っていない方には単剤で比較的スムーズに導入できる感じがします。

但しBZ系/非BZ系を問わず長く使っている方には切り替えは難しく、結局併用という形になってしまい、BZ系の増量よりはマシと思いながら使用しているのが現状です。

 

ベルソムラとはどんな眠剤か

【働き】
寝つきをよくし、夜間の眠りを維持する作用があります。
入眠障害のほか、夜間に何度も目が覚めてしまう熟眠障害にも向きます。

 

【薬理】
起きている状態は、脳内のオレキシンという神経伝達物質の働きにより維持されます。
このお薬は、オレキシンの受容体に結合し その働きを阻害します。
結果として、寝つきがよくなり、眠りが深くなるのです
このような作用からオレキシン受容体拮抗薬と呼ばれています。

 

ベルソムラの特徴

オレキシン受容体拮抗薬という新しいカテゴリーの不眠症治療薬です。

今までのどの睡眠薬とも作用機序が違います。

鎮静作用というより、脳の覚醒状態を抑制します。

入眠効果にくわえ睡眠維持・熟睡効果があります。

 

間接的な効果として、睡眠障害のある軽い糖尿病の患者さんにおいて、一定の血糖改善効果が期待できるようです。

ただし、きちんとした臨床試験が行なわれておらず、糖尿病に対する保険適応は認められません

 

ベルソムラは依存などの副作用がない

個人差が大きいと思いますが、主観的な睡眠潜時(寝つくまでの時間)で10~20分くらいの短縮、総睡眠時間で40分~50分くらいの増加が期待できそうです。

必ずしも強力とはいえませんが、一般的なベンゾジアゼピン系睡眠薬にみられるふらつきや記憶障害の副作用が少なく、また中止後の不眠症状の悪化(反跳性不眠)や、離脱症状(退薬徴候)を起こす可能性も低いです。

いわゆる禁断症状を起こすような薬物依存症もまずありません

このような利点から、不眠症に対する新たな治療選択肢として期待されます。

 

市販の睡眠改善薬は睡眠薬とは違います

なお市販の睡眠改善薬は抗ヒスタミン薬あり、いわゆる眠くなる昔の花粉症の薬と同じです。

睡眠改善薬は一時的な不眠に用いる薬ですので、毎日使うと耐性がついて効かなくなります。

 

 

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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