お酒を飲み過ぎた後の腹痛は要注意!急性膵炎かもしれません
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
お盆期間ですが、昨日(8/13)は仕事をしてました。
すると前夜、多量飲酒をして朝からお腹が痛いという訴えで来院された方がいました。
多量飲酒後の腹痛は急性膵炎の可能性があります
急性膵炎は急性腹症の原因として頻度はそれほど多くはないですが、鑑別として挙げないといけない疾患です。
重症化すると多臓器不全や意識障害、ショックを来し命に関わることもあります。
急性膵炎とは
急性膵炎は膵臓の内部やその周囲に急におこる病変をいいます。
膵臓で大量に生産、貯蔵される消化酵素は、通常食事の刺激に応じて膵管を通って十二指腸に分泌された後に初めて活性化されます。
しかし、何らかの要因により膵管の内圧が上昇したり、膵液分泌が過剰になったり、感染した胆汁が膵管内に逆流したりすると、貯留している消化酵素が膵管内で活性化してしまい、膵臓自体を消化してしまいます。
この自己消化が膵炎です。
重症化しなければ、一般に可逆的です。
急性膵炎の原因
急性膵炎の2大原因は、アルコールと胆石です。
その他には膵がんや特発性(原因不明)の場合などもあります。
急性膵炎の症状
最も多い症状は上腹部痛と同部の圧痛です。
時には背中にまで痛みを訴えることもあります。
しかし痛みの程度は個人差があります。
軽い痛みから、耐えられないほどの激痛までさまざまです。
その他には発熱や嘔吐、食欲不振などを訴えることもあります。
急性膵炎の診断
急性膵炎臨床診断基準があり、以下のうち2項目以上を満たし、ほかの膵臓疾患や急性腹症を除外したものを急性膵炎としています。
2.血中、尿中、あるいは腹水中に膵酵素の上昇がある。
3.画像(腹部CT検査や腹部超音波検査)で膵臓に急性炎症に伴う異常がある。
それ以上の検査は総合病院でして頂いて確定診断へと至ります。
急性膵炎の治療
入院し絶飲食で安静が必要です。
胃潰瘍の発症予防のため胃酸分泌抑制薬を投与します。
また、絶飲食となるため輸液による栄養管理が必要です。
軽症なら3~5日間絶飲食とし、その後徐々に食事を再開していきます。
また蛋白分解酵素阻害剤も投与します。
急性膵炎の本症である自己消化している酵素を抑えます。
更に膵臓内、膵臓周囲の感染を防ぐため、抗生物質も投与します。
原因が胆石である場合は胆石除去術も行います。
たいていは首の静脈にカテーテルを留置します。
急性膵炎の予後
急性膵炎では、CT検査が予後の予測に役立ちます。
CT画像で膵臓が軽く腫れているだけの場合は、予後は極めて良好です。
CT画像で膵臓の破壊された領域が大きい場合は、予後は不良です。
急性膵炎は、軽症であれば死亡率は約5%以下です。
しかし、膵臓の損傷がひどく、出血している場合や、炎症が膵臓だけにとどまっていない場合は、死亡率が10~50%にもなります。
急性膵炎を発症して数日以内に死亡する場合は、心不全、呼吸不全、または腎不全が通常の原因です。
最初の1週間より後に生じる死亡は通常、膵臓の感染か、仮性嚢胞の出血や破裂によるものです。
最後に
昨日紹介した患者さんが急性膵炎だったかどうかは不明です。
また、お返事が返ってきたら結果を追記したいと思います。
できれば誤診で急性膵炎でなければよいのですが…。
追記(8月16日)
総合病院で血液検査や腹部CT検査をしても異常なく、到着時には腹痛も和らいでいたそうです。
そのまま帰宅されたとのことでした。
結局痛みの原因は不明のままです。
YouTube動画でも解説してます
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