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めまいの原因と種類、治療法について

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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めまいは3種類に分けられる

診察をしていると時々めまいについての相談をされます。

めまいは大きく分けると3種類あります。

なので「めまい」と言われたら、更にどんなめまいなのか詳しく問診していきます。

めまいにはどんな種類があるのか、及びその原因について解説します。

 

1.回転性めまいの原因別分類

ぐるぐる回転するめまいです。遊園地のティーカップに乗った後のような感じです。

ふらふらしてまっすぐ歩けませんし、吐き気が催したりもします。

この時、目は外部から見るとこんな風に揺れています。

 

1.回転性めまいの原因部位

殆どは耳の奥にある三半規管(さんはんきかん)というカタツムリのような形した部位で起こります。たまに小脳が原因の時もあります。

 

2.回転性めまいの種類

1.メニエール病(内リンパ水腫)

症状はめまいに耳鳴りや難聴を伴い、発作を繰り返します。

名前はよく聞いたことがあると思います。

最近では元ジャニーズの今井翼さんがメニエール病で休業しました。

三半規管の中にあるリンパ液が増えて症状が起きます。

なぜリンパ液が増えるのかは分かっていません。

リンパ液が増える原因としては

・リンパ液が必要以上に生産されている
・リンパ液の吸収が必要以上に阻害されている  

です。

必要以上に生産されている原因は自律神経失調症・ホルモンの異常・ウイルス感染・内耳への血行障害などが考えられます。

リンパ液の吸収が必要以上に阻害されている原因は、血行障害・リンパ液の循環障害・リンパ嚢の発育不全があります。

 

2.前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)

前庭神経は、三半規管から脳につながる神経で体の位置感覚などを伝えている 神経です。

前庭神経炎が炎症を起こすと回転性めまいを生じます。

これも耳鳴りや難聴を伴います。

炎症の起こる原因はウイルス感染や自律神経失調症などが考えられます。

かぜの症状から1~2週間して、とつぜん回転性のめまいで始まります。

めまいのなかでも、もっとも強烈な症状です。

食事をすることも、動くこともできませんが、2~3週間ほどで自然に軽快します。

 

炎症を起こすと水がたまります。

例えば膝の関節炎では膝関節に水が溜まり、お医者さんで穿刺して抜いてもらった方もいると思います。

同様に三半規管に水が溜まります

 

3.良性発作性頭位めまい症(BPPV)

頭を動かしたときにのみ起こります。

時間は大体30秒くらいで治まります。

これは三半規管のリンパ液の中に耳石(じせき)というカルシウムが混入したために起こる病気です。

三半規管はリンパ液で満たされていますが、ここへ耳石が混入すると頭を動かしたときにリンパ液の流れが左右で変わります。

これがめまいとなって感知します。

流れが落ち着くと治るので発作時間も30秒程度と短時間です。

耳鳴りや難聴は伴いません。

 

4.脳血管疾患

脳血管疾患によって平衡感覚の経路のどこかが障害を受けると、めまいがおこります。

脳血管疾患によるめまいの特徴は通常2~3時間、短くても20~30分間はつづくことです。

めまいの症状や程度は梗塞や出血が生じた場所によって異なります。

回転性めまいが長く続くときは様子を見ないで早く医療機関を受診しましょう。

 

3.回転性めまいの症状まとめ

メニエール病、前提神経炎 : めまいに耳鳴り・難聴を伴う。

良性発作性頭位めまい症  : 30秒くらいで治まり、耳鳴りなどは無い。

脳血管疾患 : めまいが長く続く。

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1-2.回転性めまいの治療

1.メニエール病・前庭神経炎

これは医療機関に行くべき疾患です。

持続するめまいにより吐気が生じ、食事が取れません。

ときに救急車で来院する方もいます。

耳鳴り・難聴を合併している場合、放置すると聴力低下や耳鳴りが後遺症として残ることもあります。

メニエール病の薬物治療は、めまいなどの症状に対する「対処療法」と、予防を目的とした「予防療法」があります。

対処療法としては安静の上でめまい止めや吐気止めを混ぜた点滴を行います。

予防療法としては内服が可能であれば、めまい止め・利尿剤を中心に抗不安薬や循環改善薬・ビタミン剤などを組み合わせます。

発作の初期にめまい止めや抗不安薬などを用いると、大きな発作の予防や症状の軽減を図る事ができます。

しかしメニエール病にはストレス・睡眠不足・疲労が関与していると考えられています。

薬による治療だけでは根本的な治療にはなりません。

ゆっくりとストレスの原因を見つめ直し、生活習慣を整えることが必要です。

 

2.良性発作性頭位めまい症(BPPV)

自然に2~4週程度でリンパ液に浸った耳石が溶けて治りますが、早く治すには敢えて頭位変換を行い治療する方法があります。

寝返り体操を試みると良いでしょう。

気持ち悪く不安になりますが、様子を見ていい疾患です。

 

2-1.動揺性めまいの原因別分類

身体がフワフワ浮いているような感じ、あるいはユラユラ揺れているような感じのめまいです。

船に乗って揺れているようなめまいです。

身体の色々な部位で障害を受けると動揺性めまいは生じます。

 

1.中枢性によるめまい

中枢性めまいは、脳のに何らかの異常があって生じます。

脳の中でも小脳や脳幹といった平衡感覚部分の障害によって発症します。

脳梗塞や脳出血などの病気が原因の可能性もあります。

めまいに加えて、激しい頭痛や吐気・嘔吐、手足のしびれや脱力感、体の半分に力が入らないといった症状を合併することがあります。

そのような症状が合併したらすぐに総合病院で診察を受けてください。

 

2.全身性によるめまい

全身性めまいは、身体全体の問題から発症するものです。

よくあるのは「自律神経失調症」とも言われます。

先ほど説明した回転性めまいの多くも、自律神経失調症が主要な原因と考えられています。

 

脳幹部は自律神経の集中部であり、嘔吐反射・平衡感覚などの神経も並んで存在しています。

のため、自律神経失調症になると平衡感覚に異常が生じ、体がふらふらします。

また、貧血や発熱により生じることもあります。

 

3.薬剤性によるめまい

高齢者に多いのがこの薬剤性めまいです。

どうしても様々な疾患を合併すると多剤服用となりがちです。

睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬、降圧薬などで症状が出やすいです。

高齢者は若い人と同量の処方をしても効きすぎることがよくあります。

この薬剤性めまいは購入のし易い風邪薬等の市販薬でも生じることがあります。

薬を服用していてめまいが出るという人は、一度医師や薬剤師に相談してみることをおすすめします。

 

4.心因性のめまい

目や耳、脳などに異常がなくその他の血液検査などでも明確な原因が分からない場合には除外性診断として「心因性」と扱われる場合があります。

これはストレスや自律神経の乱れが内耳や脳幹の機能に悪影響をもたらしていることが考えられています。

心因性めまいを治すためには、原因となっているストレスを取り除くことが大切です。

リラックスできる環境を整えられるようにしましょう。

もし、長く続くようであれば、うつ症状や自律神経失調症に繋がってしまう場合もあるため、心療内科や精神科へ相談してみることをおすすめします。

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2-2.動揺性めまいの治療

 

1.中枢性めまいの治療

脳が原因のため、脳神経内科を受診して調べないとわかりません。

例えば脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)や小脳の腫瘍によるものは頭部CTやMRIによる精査が必要です。

その上で手術となる場合もあります。

 

2.全身性めまいの治療

風邪による発熱で一過性のものは様子を見て大丈夫です。

ふらつきが続き、発熱や貧血も続くようなら、必ず病院で検査をする必要があります。

貧血が原因となる場合は精査が必要です。

鉄欠乏性貧血であれば鉄剤の服用で治ることが多いです。

 

3.薬剤性めまいの治療

薬剤性めまいの対策については医師、または薬剤師に相談しましょう。

降圧薬や睡眠薬などの副作用でふらつきを起こす場合もあります。

降圧薬を急に止めると血圧が急に上昇し脳血管障害の原因ともなります。

自己判断で勝手に止めずに主治医に相談してから止めましょう。

過降圧によるめまいが薬を止めることでおさまることは時々経験します。

 

4.心因性めまいの治療

上記のどれにも当てはまらない動揺性めまいは心因性の可能性が高いです。

精神的なストレスによる自律神経失調症になり、ふらつきなどの症状を起こしている可能性が高いでしょう。

治療としてはしっかり寝ること・過食をしないこと・カフェインを取らないこと・ストレスから遠ざかることなどです。

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3-1.眼前暗黒感の原因別分類

いわゆるたちくらみが多いです。目の前が真っ暗になり意識を失いそうになったり、失うこともあります。

脳が虚血状態になることで起こります。

 

1.循環器系疾患によるもの

心臓からの血液の供給が何らかの原因で減少し血圧が低下することで起こります。

血圧が低下し脳への血流が減ると目の前が真っ暗に感じて倒れてしまいます。

循環器内科で精査が必要です。

 

2.体位変動によるもの

起立性低血圧ともいいます。

座った状態から突然立つと、頭の位置が上にあがり、血液を座った状態よりも上に持ち上げないといけません。

血圧が高くなることで体が反応するのですが、何らかの理由で血圧が高くならないと立ちくらみを起こします。

交感神経系の反応が何らかの理由で鈍くなっていることが多いです。

 

3.出血性によるもの

出血性胃潰瘍などにより、体内の血液量が低下することで脳への血液量が減ります。

そのため脳が虚血状態になり、眼前暗黒感になります。

 

4.薬剤性のもの

高血圧症の治療薬を服用している場合が多いです。

過剰降圧により脳への血液量が低下します。

冬場の高血圧を治療するために多めに薬を使って暖かくなった時や、外来血圧のみで降圧薬を調整していると生じやすくなります。

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3-2.眼前暗黒感の治療

 

1.循環器系の障害によるめまいの対策

病院で検査をすることが重要です。循環器科もしくは内科を受診しましょう。

危険な(時に致死性の)不整脈などの可能性があります。

 

2.出血によるめまいの対策

胃や腸からの出血はすぐには分かりにくいですが、黒色便や血便などが見られたときは胃や腸から出血している可能性が高いです。

内科又は消化器科を受診しないといけません。

 

3.薬によるめまいの対策

降圧薬による過降圧が多いです。

季節の変わり目などで暖かくなると血管が拡張し、自然と血圧が低下し始めます。

その時点で冬用に降圧薬を強めに処方されている場合などです。

とりあえずその場では横になり安静にしてください。

その後、かかりつけの医師を受診し、状況を報告してください。

その後は医師の指示に従うようにしてください。

 

4.漢方薬でめまい治療

漢方製剤を使うのは急を要しないめまいの時となります。

以下はクラシエ薬品のサイトの「漢方優美」を参考にしています。

」を整える処方

漢方処方において、めまいは主に「」が原因で起こると考えています。

身体の代謝しきれない余分な水が、頭部で脳脊髄液や耳の内リンパ液の循環に影響をおよぼすことによって、めまいや耳鳴りを引き起こすという考えかたです。

」が原因のめまいでは、めまいのほかに頭痛、むくみ、小便の異常、下痢なども水分の代謝異常として起こることがあります。

また胃内停水を伴う場合には胃腸障害を認めることがあります。

このような病態では身体の余分な水を汗や尿として体外に排出する漢方薬(利水剤)を使用します。

代表的な利水剤を以下に示します。

 

1. 真武湯(しんぶとう)

新陳代謝が衰え水分が胃腸に停滞し、めまいのほか尿不利、腹痛、下痢、動悸などの症状がある場合で、浮動感があるめまいに用いる。

 

2. 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)

立ちくらみのような浮動感や耳鳴りのような耳の症状を伴うめまいに用いる。

 

3. 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)

胃腸障害や胃下垂、胃アトニーなどのある体質のめまいに用いる。

 

4. 五苓散(ごれいさん)

代表的な利水剤で天候に関係するめまいに用いる。

四物湯と合方するとよいです。

 

血(けつ)」を整える処方

 「血」が原因のめまいの原因としては瘀血(おけつ)と血虚(けっきょ)が考えられます。

瘀血とは正常の血流量が増加したとき(充血)で血の上衝でのぼせを伴い、一方、血虚は正常よりも血流量が減少したとき(貧血)で冷え性の人のめまいが相当します。

ただし、瘀血と血虚を厳密に区別するのは難しい場合には他の身体所見も併せて判断します。

 

1. 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)

炎症と充血のために顔色が赤くのぼせのあるめまい。

更年期障害のときののぼせにも用いられ、気分がイライラして落着かないものに効果があります。

 

2. 桂枝茯苓丸料(けいしぶくりょうがんりょう)

瘀血の代表で婦人科的異常やその他の瘀血を認めるときのめまいに用いる。

 

3. 釣藤散(ちょうとうさん)

めまいのほか頭痛、肩から背にかけてのひきつれるような痛み、眼球結膜の充血がある場合。

脳内の血液循環の改善をする。

耳鳴りにも効果が認められる。

 

4. 四物湯(しもつとう)

血虚の代表的な処方であるが、単独よりも合方で用いることが多いです。

 

「水」と「血」を整える

「水」と「血」の両方が混在する、あるいは区別ができない場合もあります。

このときには両者の処方を合方するとうまくいくことがあります。

 

1. 当帰芍薬散料(とうきしゃくやくさんりょう)

水滞と血虚の症状を認めるときに用いる。

全身に冷えを認める女性に多く使われる。

2. 苓桂朮甘湯合四物湯(連珠飲)

水滞と血虚の症状を認め、動悸やめまいがある場合に用いられます。

苓桂朮甘湯+四物湯になります。

 

3. 五苓散合四物湯

連珠飲と同様な組合せで、合方により当帰芍薬散に桂枝、猪苓、地黄を追加した構成になっています。

五苓散+四物湯になります。

めまいや耳鳴りのみならず頭痛に著効します。

 

 

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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