胸やけ、胸痛、呑酸(どんさん)、喉の違和感は逆流性食道炎かも?
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
食生活の欧米化やピロリ菌感染率の低下に伴い、胸やけ、胸痛、呑酸(どんさん)、喉の違和感といった症状を訴える逆流性食道炎が増えています。
逆流性食道炎とは
通常は、胃と食道の境界にある噴門(ふんもん)は閉じているため、胃酸は逆流しません。
しかし、逆流性食道炎では噴門が開きやすくなり、頻回に胃の内容物の逆流が起こります。
胃内容物が逆流を続けるとどうなるか
症状が長引くと、好きなものが食べられない、集中力が低下するなど生活の質(QOL)が大きく低下します。
また、放置しておくと、胃酸の逆流によって食道が繰り返し傷つけられ、出血するなど重症化することもあります。
食道炎の程度が強い場合は、薬をやめると食道狭窄、バレット食道、食道腺がんなどにつながる可能性もあります。
症状が改善してもお薬を続けることが勧められます。
胃の内容物の逆流が起こりやすくなる食事
①食べ過ぎ、②就寝前の食事、③高脂肪食、④甘いものなどの高浸透圧食、⑤アルコール、⑥チョコレート、⑦コーヒー、⑧炭酸飲料、⑨みかんなどの柑橘類
生活面で避けたほうがよいもの
①腹部の締め付け、②重い物を持つ、③前かがみの姿勢、④右を下にして寝る(右側臥位)、⑤肥満、⑥喫煙
逆流性食道炎の診断
診断的治療として酸分泌抑制薬のプロトンポンプ阻害薬を投与して、症状が軽快するか試す方法もあります。
治療だけなら内視鏡検査は必ずしも必要ありません。
しかし胃潰瘍や胃がんなどの他の病気ではないことを確認するためにも、なるべく検査を受けましょう。
検査を受けずに薬をもらって治療しても症状が完全によくならないときは、他の病気である可能性があるため、必ず内視鏡検査を受けてください。
食道以外の逆流性食道炎の症状
胸やけ、胸痛、呑酸(どんさん)、喉の違和感といった食道の症状以外も起こることがあります。
胃酸の逆流が原因となり、胸痛、慢性的な咳発作、喘息、慢性的なのどの炎症、のどの上部(喉頭)のポリープ、睡眠障害などが起こることもあります。
逆流性食道炎を鑑別診断として気にしておくことが大切です。
逆流性食道炎の治療
1. 生活指導
「胃内容物を逆流させやすくなる食事」で示した食習慣(①食べ過ぎ、②就寝前の食事、③高脂肪食、④甘いものなどの高浸透圧食、⑤アルコール、⑥チョコレート、⑦コーヒー、⑧炭酸飲料、⑨みかんなどの柑橘類)を避けるように指導します。
右側臥位(身体の右を下側)で寝ると下部食道括約筋の圧力が低下するので左側臥位(左を下側)薦めます。
ベルトなどでお腹を締めつけ過ぎると、腹圧が上昇して胃酸が逆流しやすくなります。
腹部を圧迫するような下着や服装は避けるようにします。
2. 薬物治療
逆流性食道炎の薬物治療の基本はプロトンポンプ阻害薬です。
最近はプロトンポンプ阻害薬より強力な酸分泌抑制薬のタケキャブ錠を使うこともあります。
タケキャブは速やかに酸分泌抑制をするため、逆流症状がある時だけ使うオンデマンド療法も可能です。
3. 手術治療
薬による内科治療で効果が得られない場合、長期の服用が必要となる場合、大きな食道裂孔ヘルニアのある場合などで手術が必要となる場合があります。
まとめ
- 胸やけ、胸痛、呑酸(どんさん)、喉の違和感といった症状があれば逆流性食道炎を疑う。
- 胃酸の逆流が原因で、胸痛、慢性的な咳発作、喘息、慢性的なのどの炎症、のどの上部(喉頭)のポリープ、睡眠障害などが起こることもある。
- 逆流性食道炎の治療は、①生活指導、②薬物治療、③外科治療がある。
生活指導だけで症状が良くなることもありますよ。
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