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夏に起こりやすいお腹の症状(下痢・腹痛・嘔吐)に使う漢方薬2つ

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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こんにちは!

三重県松阪市の医療と介護の専門家、

西井医院の院長(  @nishii.hospital)です。

 

夏の暑さとともに冷たい飲み物や冷たい食べ物を摂りがちになります。

しかし冷たいものを摂り過ぎると、下痢や腹痛、嘔吐などの消化器症状を引き起こすことがあります。

 

1. 普段から胃腸が弱いのについ冷たいものに手を出してしまう:胃苓湯

 

胃苓湯は五苓散(ごれいさん)と平胃散(へいいさん)の合方です。

平胃散は胃がもたれて消化不良の傾向に用いられるという処方です。

五苓散はのどが渇いて、尿量が少なく、はき気、むくみなどの症状があるときに用いられるという処方です。

 

体質的に水はけの悪い体質の人が、お腹をこわして水分の吸収が悪くなり、食物が未消化のまま水様便として下痢になるようなときに使います。

喉が渇き、胃の中に水分が溜まり、腹が脹り、尿量減少の症状があるものに用います。

夏場に暑気にあたるとよくこのような状態になりやすいです。

 

「胃苓湯」はどんなふうに効くのか?

漢方では、胃腸で食べ物を消化するためには熱が必要だと考えます。

冷たい飲食物をとり過ぎると、必要な熱が奪われてしまい、胃腸の働きを損ないがちです。

また、熱がないと水分を動かすこともできないので、胃腸に水分が溜まり、下痢や軟便が多くなります。

 

「胃苓湯」は、余分な水分を排出すると同時に、水っぽくなった胃腸を乾かすという考え方の処方です。

下痢や軟便などを止めるのではなく、原因をとり除くことで改善していきます

 

適応症

水瀉性の下痢、嘔吐があり、口渇、尿量減少を伴う次の諸症:食あたり、暑気あたり、冷え腹、急性胃腸炎、腹痛

 

 

 

2. 悪心嘔吐があり、食欲がなく、下痢気味なら:半夏瀉心湯

ストレス性の胃腸症状では、半夏瀉心湯という漢方薬も症状により選択されます。

 

ストレス性の胃腸症状とは

  • げっぷが出やすい方
  • 胃が痛く、口の中が苦いことがある方
  • 胃腸薬をのんでもすっきりしない方
  • なんとなく胃腸の調子が悪いという方
  • おなかがゴロゴロ鳴る方

半夏瀉心湯の「心」はみぞおちの周辺、「瀉」は取り除くという意味です。

みぞおちのつかえを取り除く漢方薬と考えていただければよいと思います。

また、「瀉心」には、「心火を瀉(くだ)す」という意味もあります。

心の火=イライラや怒りの感情を取り除くことも半夏瀉心湯の目標になります。

つまり、半夏瀉心湯はストレスによって高ぶった気持ちを抑える漢方薬ともいえます。

院長
西洋医学的に敢えて病名をつけるなら「過敏性腸症候群」でしょうか。

 

「半夏瀉心湯」はどんなふうに効くのか?

口から飲食物が入っても、きちんと消化・吸収されなければ体を動かすエネルギーにはなりません。

エネルギーがなければ、今度は飲食物を消化・吸収する力も低下する、という悪循環に陥ることもあります。

漢方では、このエネルギーとなるのは「気」ですが、「気」は強い圧力を受けるとその場で停滞しやすくなります。

ストレスも、「気」にかかる圧力のひとつです。

 

「半夏瀉心湯」は、

  • 「気」が上から下に飲食物を運ぶ流れを助ける生薬
  • 飲食物の「気」が肺に上がっていくのを助ける生薬
  • 胃腸を守る生薬

の3種類の生薬を組み合わせた処方です。

漢方で考える胃腸のはたらきに総合的にアプローチし、症状を改善していきます。

 

適応症

みぞおちがつかえ、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便または下痢の傾向のあるものの次の諸症

急・慢性胃腸カタル、醗酵性下痢、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症

 

 

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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