【医師が解説】血圧の薬を勝手に飲んだりやめると危険な理由
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
以前のブログで血圧を放置するとなぜ怖いかを解説しました。
今回は高血圧の薬を自己判断で服用したり止めたりするのは危険という内容です。
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そもそもなぜ高血圧は体によくない?
血圧が高い状態が続くと血管や心臓に負担がかかり、自覚症状がなくても動脈硬化や心臓肥大が進みます。
放置すると心臓や血管、さらに他の臓器にも障害をきたします。
心臓の肥大(左室肥大)・たんぱく尿・脳卒中・心不全・冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)・腎不全・大動脈瘤・動脈閉塞症など、多くの循環器疾患が起こります。
なぜ降圧薬を自己判断で服用したり中止するのか?
患者さんの話を聞いていると勝手に飲んだり止めたりする理由として
- ふらつきがあるので血圧が高い(/低い)と思って勝手に飲んだ(/止めた)。
- 毎日血圧を測っていて、今日は血圧が高い(/低い)ので飲んだ(/止めた)。
- 血圧の薬が多くて不安なので減らした。
- 複数種類の降圧薬が出ているので(医療費を節約するため?)1日1種類を飲んでおけば大丈夫と思い、次回の受診日を遅らせた。
などの理由で勝手に薬を自己調節される方がいます。
そして、次回の診察に来ないと思ったら総合病院より「脳梗塞で入院してます」といった内容の情報提供書を頂くことがあります。
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降圧薬を定めた量を定めた時間に服用しないといけない理由
降圧薬は同じ名前の1錠でも薬の含有量が違う
例えば代表的な降圧薬のアムロジン錠ですと
以上のように2.5mg、5mg、10mgと3種類あります。
錠剤の大きさはあまり変わりませんが、2.5mgと10mgでは降圧成分の含有量は4倍も違うので当然降圧効果も全然違います。
もし10mgもの量を勝手に服用したり止めると血圧の変動幅がかなり大きくなります。
血圧の変動幅が大きくなると脳卒中を起こしやすくなります。
薬によって作用する時間は全然違う
「今日は血圧が高い(/低い)ので飲んだ(/止めた)」という方に伝えるのですが、1日薬を止めたからといって薬がすぐに身体の中から排出されるわけではありません。
先ほど紹介したアムロジンの場合は1週間ほどかけてゆっくりと血圧が下がるようにできています。
ですので、止めたら急に血圧が元に戻るわけではありません。
逆に早朝高血圧を改善させるためにα1ブロッカーという降圧薬を処方することもあります。
これは寝る前に飲んで翌早朝の高血圧を抑えるため、作用時間が短いです。
即効性があり本当にすぐに下がりましたが、急激な降圧による脳梗塞が多発したため今ではそういった使い方は禁忌となっています。
最近は降圧薬に合剤が使われることが多い
- 血圧の薬が多くて不安なので減らした。
- 複数種類の降圧薬が出ているので(医療費を節約するため?)1日1種類を飲んでおけば大丈夫。
といった理由で勝手に減らさないように最近は2種類の降圧薬をくっつけて1錠とした合剤が多く出回っています。
確かに勝手に減らせませんが、この場合も勝手に服用したり止めると血圧の変動幅がかなり大きくなります。
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家庭血圧を測るのは何のため?
最近の高血圧治療では家庭血圧が重視されています。
家庭血圧の役割
家庭での血圧測定には、次のようなメリットと役割があります。
- 時間を決めて毎日同じ条件で、また安定した状態で測定できるので、より正確で詳細な血圧情報を把握することができます。
- 測定値を記録しておくことで、患者さん自身の健康管理の目安となり、また、医師にとっては重要な診断材料となります。
- 病院では把握しにくい白衣高血圧や仮面高血圧を診断する貴重な情報となります。
- 服薬治療中には、薬の持続時間や効果を評価する資料となり、医師の治療方針の助けとなります。
まとめ
- 薬を勝手に自己調節することは血圧の急変化にもつながり、脳卒中などの原因となる。
- 急に服用を止めたり、追加しても血圧はすぐには変動しない。
- 家庭での血圧測定には、様々なメリットと役割がある。
- 薬のことで疑問に思った時は医師か薬剤師の先生に先ずは相談する。
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