加齢で起こる6つの眼の症状
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1 老眼症状
小さな字や物が見にくくなるのは老眼症状です。
40歳前後でほぼ全ての人に起こります。
通常は老眼鏡を使用して対応します。
遠方のものに焦点が合うことの多い遠視では、老視の症状をより早く自覚することが多いです。
近視の人はもともと近くに焦点が合いやすいため老視の症状を自覚しにくいです。
しかし普段遠くを見るために使用しているメガネをかけた状態で近くのものがぼやけるなどの症状が出現します。
「近視の人は老眼にならない」ということをよく耳にしますがこれは誤りです。
2 ドライアイ
眼の突然の灼熱感や痛みと流涙はドライアイの徴候です。
更年期女性に多く、治療は市販の点眼液で十分なことがほとんどです。
ただし難治例には投薬や外科手術も必要です。
ドライアイになりやすい要因
(1)年齢
年を重ねると、涙の分泌量や質が低下します。
(2)性別
女性のほうが男性よりドライアイになりやすいことが知られています。
(3)過度のVDT(visual display terminals)作業
パソコン、スマートフォンなど、モニターを見つめる作業を長時間行うことで、ドライアイ症状が起こりやすくなります。
(4)乾燥した環境
冬の乾燥した季節でドライアイが悪化する人は数多くみられます。
また、エアコンの吹き出し口に当たるところなどでも症状が悪化します。
(5)コンタクトレンズ
特にソフトコンタクトレンズ装用者では、ドライアイの割合が多いことが知られています。
(6)喫煙
たばこの煙に曝されると、涙の状態が悪くなることが知られています。
(7)内服薬
血圧を下げる薬や向精神薬など「抗コリン作用」を持つ薬では、涙の分泌量が減少することがあります。
また、最近ではテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(商品名:TS-1)という抗癌剤によって涙の分泌量が減少することが知られています。
(8)点眼薬
点眼薬の中には、涙の安定性を低下させ、また角膜に障害を与えやすくなる成分が含まれていることがあります。
ドライアイでは、点眼薬の中に含まれる防腐剤などによる障害も起こりやすくなります。
(9)マイボーム腺機能不全(MGD)
眼瞼の縁にマイボーム腺という油を出す部位があります。
加齢に伴ってマイボーム腺が詰まり、涙にとって重要な油が出にくくなります。
(10)結膜弛緩症
加齢に伴って、結膜部分(白目の部分)が弛み、眼表面で涙が留めにくくなります。
また、弛んだ結膜が瞼と触れやすくなり、摩擦によって眼表面に傷がつきやすくなります。
(11)全身の病気に伴うもの
シェーグレン症候群という、涙腺、唾液腺に対する自己免疫疾患では、強いドライアイを生じることがしばしばみられます。
3 飛蚊症・光視症
視界に浮遊物が見えるのは飛蚊症で、時々閃光が見えるものは光視症です。
どちらも加齢とともに現れる症状ですがが、突然の増加は網膜の断裂を疑い、直ちに眼科受診が必要となります。
手術を要することが多い疾患です。
飛蚊症の原因
1 生理的飛蚊症
眼球内には卵の白身に似た透明なゼリー状のものがつまっています。これを硝子体と呼びます。
この硝子体は、99%以上が水分で、わずかに線維を含んでいます。
若いときには透明で濁りがありませんが、年齢に伴い濁りが出ることがあります。
もう少し詳しくいえば、年齢が進むとともに線維と水分が分離して中に空洞を形成します。
それがさらに進行すると眼球の内壁から硝子体が離れて、線維の塊が眼球内をふわふわと浮いた後部硝子体剥離と呼ばれる状態になります。
この線維の塊は、ものを見ている本人には影として認識されますが、これが飛蚊症の本態です。
線維の塊はゼリー状硝子体の中を漂うので、影はゆらゆらと揺れます。
そのため、それはあたかも蚊が目の前を飛んでいるかのように見えるのです。
硝子体剥離自体は病気ではありませんが、網膜裂孔や網膜剥離という病気を引き起こすことがあるので注意が必要です。
飛蚊症自体は完全に消えることはありません。
しかし慣れてくると、普段はその存在に気付かなくなります。
2 病的飛蚊症
飛蚊症を自覚しても問題のない場合がほとんどですが、なかには次のような重大な目の病気の一症状であることがあります。
(1)網膜裂孔・網膜剥離
網膜に穴が開いてしまったり(網膜裂孔)、網膜が剥がれてしまった状態(網膜剥離)では、しばしば飛蚊症を自覚します。
光視症(視界の中に閃光のようなものが見える症状)を自覚することがありますが、無症状のこともあります。
病状が進んでくると視野欠損(カーテンをかぶせられたように見えにくくなる症状)や視力低下が起きます。
網膜には痛覚がないので、痛みはありません。
適切な治療を行わないと、失明する危険性が高い病気といえます。
(2)硝子体出血
糖尿病や高血圧、外傷などが原因で硝子体の中に出血することがあります。
ひどい出血の場合は、目の前に墨が垂れてきたような見え方や、霧がかかったような見え方をします。
出血が軽度の場合は飛蚊症として自覚されることがあります。最
初は軽症であっても、日に日に影が濃くなるようであれば、出血が続いていると考えられます。
(3) ぶどう膜炎
一部のぶどう膜炎では硝子体に濁りを生じるため、飛蚊症を引き起こします。
ぶどう膜炎の場合は、羞明感(まぶしく感じること)・眼痛・霧視(かすみがかかったように見えること)・充血・視力低下を伴うことが多いです。
4 白内障
色調が見にくい、灯りに光輪が見える、などの症状は白内障の可能性があります。
加齢によるレンズの混濁はほぼ誰にでも起こり、手術が奏効します。
主に皮質の混濁(皮質白内障)や核の硬化(核白内障)が進行します。
光が水晶体を通過する面は瞳孔の大きさで変わりますので、光が通過しないところが濁っている場合は、自覚症状はほとんどありません。
瞳孔を開く検査(散瞳検査)で水晶体を観察すると、早い人では40代から、80代では大部分の人で白内障が発見されます。
その他の原因として、先天的なもの・外傷、アトピーによるもの・薬剤、放射線によるもの・そして他の目の病気(炎症)に続いて起こるものなどが挙げられます。
水晶体が濁り始めると、水晶体で光が散乱するため、霞んだり、物が二重に見えたり、まぶしく見えるなどの症状が出現します。
進行すれば視力が低下し、眼鏡でも矯正できなくなります。
参考
白内障予防のための適切なサングラスの選び方⇒https://e-doctor.mie.jp/cataract-prevention/
5 加齢黄斑変性
視界の中心がぼやけるのは、加齢黄斑変性(AMD)によくある症状です。
欧米では成人の失明原因の第1位で珍しくない病気です。
日本では比較的少ないと考えられていましたが、人口の高齢化と生活の欧米化により近年著しく増加しております。
失明原因の第4位となっています。
50歳以上の人の約1%にみられ、高齢になるほど多くみられます。
進行するまで気づかれないことが多く、視力喪失を防ぐには定期的検診による早期診断が必須となります。
加齢黄斑変性の症状
(1)変視症
網膜の腫れや網膜の下に液体が溜まると網膜がゆがみます。
ゆがんだフィルムで写すとゆがんで写るように、ゆがんだ網膜で見るとものがゆがんで見えます。
黄斑部は障害されますが、周辺部は障害されていませんので、中心部はゆがんで見えますが、周辺部は正しく見えます。
(2)視力低下、中心暗点
さらに黄斑部の網膜が障害されると、真ん中が見えなくなり(中心暗点)、視力が低下します。
視力低下が進行すると運転免許の更新や字を読んだりすることができなくなります。
通常、視力低下は徐々に進行し、治療をしなければ多くの患者さんで視力が0.1以下になります。
網膜下に大きな出血が起こると突然、著しい視力低下が起こることがあります。
萎縮型と滲出型を比べると、滲出型のほうが進行が早く、視力悪化も重症なことが多いです。
(3)色覚異常
症状が進んでくると色が分からなくなってきます。
加齢黄斑変性の予防
(1)禁煙
喫煙している人はしていない人に比べて加齢黄斑変性になる危険性が高いことが分かっています。
喫煙している人には禁煙が勧められます。
(2)サプリメント
ビタミンC、ビタミンE、βカロチン、亜鉛などを含んだサプリメントを飲むと加齢黄斑変性の発症が少なくなることが分かっています。
加齢黄斑変性の発症が少なくなりますが、完全に抑えることはできません。
加齢黄斑変性になっていない人にも勧められますが、一方の目に加齢黄斑変性が発症した人にはサプリメントの内服が強く勧められます。
(3)食事
緑黄色野菜はサプリメントと同様に加齢黄斑変性の発症を抑えると考えられています。
肉中心の食事より、魚中心の食事のほうがよいようです
6 緑内障
緑内障の症状
運転中に交差点での視認が難しいなど、周辺視覚の低下は緑内障の徴候です。
不可逆的失明の主因で、徐々に進行するため視力が低下するまで自覚症状がないことが多いです。
我が国における失明原因の第1位を占めており、日本の社会において大きな問題として考えられています。
しかも最近、日本緑内障学会で行った大規模な調査(多治見スタディ)によると、40歳以上の日本人における緑内障有病率は、5.0%であることが分かりました。
緑内障の治療
緑内障は、眼圧を下げることができれば、その進行を防止したり、遅らせたりすることができる可能性のある病気です。
正常眼圧緑内障でさえも、眼圧をさらに下げることで病気の進行を遅らせることができる可能性があります。
ただし、ひとたび障害されてしまった視神経は、残念ながら回復することはありません。
また、どんなに手を尽くしても進行を止められない緑内障もあります。
しかし、早期に緑内障を発見できれば、言い換えれば、まだ視神経の障害が軽いうちに手を打つことができれば、失明に至る危険性はぐっと少なくなります。
治療の目的は進行を止める、または遅らせることであり、回復させるものでないことをご理解ください。
治療方法としては、薬物療法・レーザー治療・手術があります。
すべての緑内障に対して同じ治療効果があるのではなく、緑内障のタイプやそれぞれの人に適した治療方針を決定していくことがとても重要です。
早期発見で予防可能な疾患ですので、定期的な眼科受診が大切です。
まとめ
上記の様な症状が出たら念のため眼科を受診しましょう。
また40歳までの基本的な眼検診、65歳以降の1~2年ごとの眼検診を受けることもお勧めです。
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