在宅医療に思うこと
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在宅でのがん患者さんの看取り
最近在宅でのがん患者さんを診ることが増えてきました。
今日も在宅での看取り希望のある新規の末期胃がん患者の紹介があり、訪問診療を開始するため往診に行きました。
医学部に入学当時
私が医学部に入った頃はがんは告知すべきかどうかということを議論する時代でした。
在宅でがん患者を看取るなどということは考えられない時代です。
医学部を卒業する頃には告知をすることは当たり前になりつつあり、患者及び家族と治療方針を相談して決めていく時代でした。
ただ、悪くなったら最後は入院して看取る時代でした。
研修医終了後は呼吸器内科をしていたため、しょっちゅう肺がん患者さんの看取りもしました。
また、末期肺がんの緩和ケアのために四苦八苦しながら麻薬製剤の使い方や使い分けも覚えました。
でも、開業医さんに看取りのために紹介することはなかったです。
最近は在宅医療が一般的となりました
最近は在宅医療が一般的となり、在宅医療専門の開業医さんも珍しくありません。
医学部入試の小論文のテーマががんの告知をするかどうかと言っていた時代からすると、わずか20年程で隔世の感があります。
併設の有料老人ホームでは
当院も10年程前に有料老人ホームを併設しました。
老人ホームでの看取りは年に10人前後はしています。
がんだけでなく慢性心不全や腎不全、老衰など原因は様々ですが総合病院へ転院して濃厚な治療を行っても多少の延命になるだけで負担が強い方などが多いです。
しかし老人ホームには看護師・介護士が常におり、状態が変化すればすぐに私に連絡がきてある程度の処置ができるという点では自宅とは全く違います。
自宅で看取るために
自宅で看取るとなると家族への負担が大きくなり、自宅で亡くなりたいという希望はあっても家族の介護力不足でできないことが多いです。
言い換えると家族の介護力さえあれば医療保険・介護保険をフル活用し、多職種連携を行えば自宅での看取りはできます。
来年度からは地域包括ケアが本格的に始動しますが、そうなると多職種との情報連携もICT(Information and Communication Technology:情報通信技術の略)を活用し更にスムーズになることが期待されます。
私は松阪地区医師会の居宅介護部門の担当理事も兼ねているため月1回の会議に出席していますがICTシステムの選定の話も出てきます。
費用もかかるため松阪市と協力して行う予定ですが、何とか来年度の松阪市の予算に間に合わせたいと思いつつ、使い勝手の悪いシステムでは困ると思いながら会議に参加しています。
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