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腎性貧血と慢性心不全の関係。~早期治療による入院予防が大切~

 
この記事を書いている人 - WRITER -
1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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当院は腎性貧血の治療を積極的にしています

先日、当院へ出入りしている卸さんから当院は腎性貧血の治療薬である「ミルセラ注」をたくさんかつ色々な量を使ってますねと言われました。

自分では他院と比較できないため多いのかどうか分かりません。

 

腎性貧血の方には貧血が進行する前に結構早くから使っているのは事実

また、規格も25μgから250μgまで全て使ってます。

 

慢性腎臓病は貧血を合併します

なぜ慢性腎臓病になると貧血が生じるかというと、腎臓は赤血球をつくるはたらきを促進するエリスロポエチンというホルモンを分泌しています。

腎臓のはたらきが低下すると腎臓からのエリスロポエチンの分泌が減り、赤血球をつくる能力が低下することで貧血になります。これを「腎性貧血」といいます。

よく貧血になると鉄分を取りましょうと言われますが、腎性貧血には鉄分は効かず、エリスロポエチンの注射を定期的に行うことで補充しなければなりません。

(※腎性貧血に鉄欠乏性貧血を合併していることもあるので、この場合は鉄剤も必要です。)

 

貧血と慢性心不全の関係

貧血になると赤血球の数が減りますが、赤血球は体のすみずみにまで酸素をはこぶ役割を持っています。

このため、貧血になると全身の酸素不足を補うため心臓が余計に頑張る必要があり、常に負担がかかっている状態になります。

この状態が長く続くと徐々に心臓が弱り、慢性心不全の原因の一つとなります。

 

心不全の新たな定義が公表されました

日本循環器学会と日本心不全学会は心不全の新たな定義を公表しました。

新たな定義は「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気」です。

専門的な説明だと患者は理解しにくいため、明確な定義が必要と判断したとのことです。

 

心不全は放置すると予後不良です

心不全は軽症〜中等症ですと息切れやむくみといった症状があっても無治療のまま放置し、ある日急に増悪を来して来院する人が若い人でもたまにいます。

特に高齢者ですと年齢のせいにして家族も気づかないことがあります。

心臓は高血圧や弁膜症を無治療で放置すると徐々に機能が悪化し、運動時の息切れや両足にむくみなどの症状が出て、入退院を繰り返しながら、徐々に症状が悪化していきます。

5年生存率は約5割なので、予後はあまり良いとはいえません。

 

心不全治療の目的は心不全による入院を避ける

一度入院をすると心臓の機能は大きく低下するため入院にならないようにすることが必要です。

心不全を予防するには、禁煙や減塩、適度な運動などが重要です。

そして高血圧などの生活習慣病を放置せず、定期的に診察と治療を受けることも大事です。

早期に治療介入すれば重度化せず入退院を繰り返すことも少なくなります。

 

高齢者では腎性貧血が多い

高齢者は元々加齢により腎機能低下がありますが、そこへ軽度腎障害を来すと貧血は簡単に生じてきます。

 

当院は積極的に腎性貧血を治療してます

当院は高齢者の方をたくさん診ており、心不全の悪化予防が健康寿命を延ばすという考えから無理のない範囲で積極的に加療しています。

そのことがミルセラ注の使用量が多いことにつながっていると思います。

それとミルセラ注が発売される以前のエリスロポエチン製剤は、かなり腎機能が悪化し貧血も進行しないと保険適応とならず、使ってもなかなか予後の改善につながりにくく頻回に注射も必要であったため使いにくい薬でした。

ミルセラ注は早期の慢性腎障害による腎性貧血から使え、月1回の投与で済む簡便さも寄与しています。

 

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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