生活援助の新研修(生活援助従事者研修)
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訪問介護の生活援助を中心としたサービスの担い手を育成するために平成30年度から創設される短時間の新研修について厚生労働省がカリキュラムを公開しました。
現在の初任者研修(130時間)の約半分となる59時間のカリキュラムです。
各科目では講義と演習を一体的に行い、最後に筆記試験による修了評価を実施します。
人材の裾野を広げてマンパワーの確保につなげることが狙いです。
※生活援助とは:利用者本人が主に利用する居室の清掃・本人の衣類の洗濯・本人のための調理などの日常生活の援助のこと。
生活援助従事者研修過程 計59時間
職務の理解 2時間
研修修了者が行う職務の範囲、および緊急時の対応について理解するために必要な内容を含めること。必要に応じて施設見学などの実習を活用すること。
尊厳の保持・自立支援 6時間
介護職が、利用者の尊厳と自立を支える専門職であることを自覚し、介護・福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点などを理解することを目的とすること。
介護の基本 4時間
利用者の介護にあたり、介護職としての倫理、および生じるリスクを十分に理解したうえで介護を行うことの必要性を理解することを目的とすること。
介護・福祉サービスの理解と医療の連携 3時間
介護保険制度や障害者福祉制度を担う一員として最低限知っておくべき制度の目標、サービス利用の流れ、および各専門職の役割と責務について、その概要を理解することを目的とすること。
コミュニケーション技術 6時間
サービス提供の際に必要となる観察、記録、および報告を含めたチームでのコミュニケーションの方法を理解することを目的とすること。
老化と認知症の理解 9時間
加齢・老化に伴う心身の変化、疾病、認知症などについての基本的な視点を理解することを目的とすること。
障害の理解 3時間
障害の概念、国際生活機能分類、障害者福祉の基本的な考え方について理解することを目的とすること。
心と体の仕組みと生活支援技術 24時間
介護技術の根拠となる人体の構造、および機能に関する知識を習得し、安全な生活援助が中心である訪問介護の提供方法などを理解することを目的とするとともに、その習得状況を確認すること。
振り返り 2時間
必要に応じて、施設の見学などの実習を活用すること。
※上記とは別に筆記試験による修了評価(30分程度)を行う。
という内容です。
問題は人材がこれで集まるかです。
今でも介護の現場は人手不足で困っている 事業所がほとんどです。
研修時間を減らした代わりに生活援助しかできない介護職員を育てても、訪問介護事業所では人のやりくりが更に大変になるのは目に見えてます。
例えば今までなら、Aさん(生活援助)→Bさん(身体介護)→Cさん(生活援助)の順でも同じヘルパーが一人で順番に回ることができましたが、生活援助従事者の資格ではBさんの所へは行けません。
代わりにこれまでの研修を受けた(初任者研修やヘルパー2級養成過程)人が行くことになりサービス提供に無駄が出ます。
また、生活援助は身体介護に比べて介護報酬が低く、同じ時間を訪問介護に当てるのであれば訪問介護事業所としては身体介護のサービスを使って欲しいのが本音です。
ただ、現実には身体介護サービスが必要になると自宅で生活が難しく、有料老人ホーム等へ入居されてしまいます。
個人的には、生活援助従事者が活躍できるのは、介護サービスを外付けする有料老人ホームなどで生活援助と身体介助の両方がいる人に上手くシフトを組み合わせ、生活援助従事者と既存の研修を受けたヘルパーを組み合わせて効率よくサービス提供をするぐらいしか思いつきません。
一番ありがたいのは以前のヘルパー2級養成講座のような短時間で取れる研修で生活援助も身体介護も両方でき、かつ介護報酬も差をつけず必要とする時間によって報酬が決まるのが良いと思います。
でも社会保障費の増加を抑制することにはならないので無理でしょう。
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