正しい介護保険の始め方
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
外来診察をしていると「介護保険を使いたいがどうしたらいいのかわからない」と相談されることがあります。
また、「今は介護保険を使う予定はないが、急に必要となったときのために申請する」という理由で申請される方もみえます。
そこで今回は
正しい介護保険の始め方について説明します。
その前に
0.介護保険サービスが利用できる人
利用開始の前に、利用する資格があるのは65歳以上の高齢者(第1号被保険者)と40歳から64歳までの健康保険に加入している人(第2号被保険者)です。
第1号被保険者は原因の如何を問わず、要介護状態(1~5)あるいは要支援状態(1~2)に認定された場合に利用できます。
第2号被保険者は加齢による病気など(特定疾病といい、決まっています)が原因で要介護状態あるいは要支援状態になった場合に利用できます。
交通事故などで傷害が残り、他人の介護が必要となった場合には介護保険の対象になりません。
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1.介護保険は申請後すぐに利用開始できます
急に必要となった時のために予め申請するのは、介護保険料の無駄遣いになります。(自己負担はありませんが、医師の意見書作成料や認定調査員の人件費などがかかります。)
介護保険サービスは市の介護保険担当窓口や地域包括支援センターに申請した日から使えます。
申請すると認定調査が行われ、原則として申請日から30日以内に要介護状態区分の認定結果が通知されます。
一般的には、ケアマネジャーが利用者の状態をみておおよその介護度を判断し、介護度により決まっている利用限度額を超えないように仮のケアプランを作成しサービスの利用を開始していきます。
(※ケアプランは自分で立てることも一応可能ですが、ケアマネジャーは必要なサービスの窓口に精通しており任せた方が無難です。もし利用限度額を超えると超えた分は実費となります。)
悪くなる前に介護認定を申請しても軽い介護度や自立と判定され、急に必要となった時には余分にサービスが必要となり、結局再申請や変更申請が必要となってしまいます。
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2.ケアマネジャーの探し方
市町村の窓口や地域包括支援センターで、ケアマネジャーのいる居宅介護支援事業者のリストを配布しています。
事業者は自由に選択することができます。
選ぶ際には、事業者の所在地(住まいの近くにあるかどうか)、近所で既に利用している人からの情報、公表されている介護サービス情報などを参考にするとよいでしょう。
当院も居宅介護支援事業所を併設しています。
3.介護保険サービスが必要になると思われる時は早めに申請
これは、骨折や脳梗塞などで入院した時です。
退院後は介護保険サービスが必要となることが多いですが、退院前から介護認定を申請しておくと、退院後スムーズに介護保険サービスの利用が開始できます。
また、既に介護認定を受けていても入院により身体が弱り介護度が進行することもよくあります。
入院前より悪くなりそうな時は入院中に変更申請をしておくと退院後のサービスの追加が必要な時によいでしょう。
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4.介護認定の有効期間
要介護認定の更新は、有効期間満了日の60日前から、更新申請の受付が開始となります。
たいていの場合、ケアマネジャーが代行します。
新規認定の有効期間は原則として申請から6ヶ月(必要と認められる時は3~12ヶ月)です。
更新認定の有効期間は、前回の要介護状態区分により異なり、原則6ヶ月または12ヶ月(必要と認められる時は3~36ヶ月)です。
私は審査会の委員もしていますが大抵は初回は1年、更新は要支援の方は1年毎で要介護の方は2年毎更新が多いです。
※介護認定審査会の意見にもとづき必要と認める場合、有効期間を原則よりも短く、または長く定めることがありますと決められています。
個人的には長く定められたケースは見たことがありません。骨折などで短期間に状態が変わることが見込まれる場合は1年から6ヶ月へと短縮することはあります。
初回認定・変更 | 更新認定 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
原則 | 短縮 | 延長 | 原則 | 短縮 | 延長 | |
要介護認定 | 6ヶ月 (申請月+6ヶ月) | 3ヶ月~ 5ヶ月 | 7ヶ月~12ヶ月 | 12ヶ月 | 3ヶ月~ 11ヶ月 | 13ヶ月~ 36ヶ月 |
要支援認定 | 13ヶ月~ 24ヶ月 |
※更新認定にかかる有効期間はこれまで最大24ヶ月とされていましたが、平成30年4月1日から要介護認定の更新の認定期間は上限が36ヶ月となりました。
※有効期間内に利用者の状態に大きな変化がある場合は、区分変更のための申請ができます(変更申請)。
5.主治医意見書はかかりつけ医に書いてもらう
たまに介護保険の更新の時だけ主治医意見書作成が必要なので来院する人もいます。
ハッキリ言って2年に1回しか来院しないのに主治医というのはおかしいです。
ましてやそういう方の普段の状態など分かるはずもありません。
普段の状態が分からない方の意見書を作成する時はどうしても情報が乏しいため中身が薄くなりがちです。
逆に普段から通院している方は状態もよく分かっており審査委員に伝えたいことをしっかりと書くことが出来ます。
また、総合病院の先生に書いてもらう方もいると思いますが、勤務医の頃に書いていた経験から言うと止めておいた方がよいです。
勤務医の先生は介護保険制度のことは全く分かっていない方が殆どです。
また意見書を診察後しばらく経ってから書くため、家庭での状態はさっぱり分からない状態で書くことになります。
そのため内容が薄い主治医意見書が出来上がってしまい、認定審査会であまり役に立たない意見書となってしまいます。
かかりつけ医を持つことの方が予め介護認定の申請をするよりも遥かに大事と個人的には考えます。
YouTube動画でも解説しています。
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