介護職員が行える医療行為と正しい方法、その際のおすすめ品
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法律上は医療行為となっているものの、介護職が行える医療行為として、以下のようなものもあります。
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1.耳あかを取り除く
耳あかは外耳道の入り口から1㎝くらいの場所に存在します。
奥の方の耳あかは外耳道の皮膚の働きにより自然と外側に出てきます。
普段の耳あか掃除は、2~4週間に一回くらいで、手前側の見える範囲を綿棒や耳かきで軽くそっと掃除して終わりです。
無理に外耳道をこすったり、奥まで道具を入れてはいけません。
奥の耳あかが取れないと思うかもしれません。
しかし奥の耳あかは数週間で手前に出てきます。
次の耳あか掃除の機会で大丈夫です。
2.爪切り、爪やすり
高齢者の爪切りには、通常の爪切りを使用するよりも、ハサミ型やニッパー型がおすすめです。
私のお気に入りの爪切りニッパーは「SUWADA」の製品です。
高価ですが、色々なニッパー型爪切りを試して一番切れ味がよく、切る際に力も要りません。
SUWADAの爪切りを使うと他社製品は使えません。
爪やすりもステンレス製、ガラス製、紙製などがあります。
それぞれ一長一短がありますが、私のお気に入りはガラス製です。
表面にキメ細かな突起状の特殊加工がされており、速く、なめらかに削れます。
力を入れずに削れるため、爪にやさしく、ギザギザになったり2枚爪になることを防げます。
ガラスなので、使用後は水洗いできて衛生的です。
やすりが減らないので、半永久的に使えるのも長所です。
ただし落とすと割れます。やさしく取り扱いましょう。
爪切りの手順
1.爪を切る事を被介護者に伝えます。
2.爪を蒸しタオルなどで温めて柔らかくします。
3.利き手ではない方の手で、被介護者の手・脚の指先を押し下げる様に(爪と皮膚の境目を分かりやすくする)持ちながら切ります。
注:爪切りで肉を挟んでいないか確認し、少しずつ切ります。
※爪の両角は真っ直ぐに切ります。(巻き爪予防のため)
4.爪ヤスリで爪全体を整えます。
注:あまり削り過ぎない様にします。
5.手を蒸しタオルで拭いて、爪が整っているかの確認をします。
注:引っ掛かる部分が少しでもある場合は、爪ヤスリで少し擦ります。
脚の爪を切る場合は、指の爪より硬く割れやすいので、少しずつ少しずつ切って行きましょう。また、親指の爪は巻き爪になりやすいので、切り方に注意します。
水虫の被介護者の場合は、ビニール手袋を使用しましょう。
3.歯ブラシ、綿棒による口腔ケア(歯・口腔粘膜・舌)
1.口腔ケアとは
加齢や全身疾患により、身体の状態が弱ると、口腔内も清潔に保てなくなります。
身体が衰えてくるのと同様に、噛む、飲み込むといった機能も衰えてきます。
また、薬によっては副作用により唾液の分泌量の低下を引き起こすものもあります。
その結果、口腔内が乾燥しがちになります。
口腔内が汚なかったり、唾液の分泌が少なくなって乾燥していると、細菌が繁殖しやすくなります。
歯周病や虫歯などの口腔疾患の原因となります。
また、口腔内の細菌が肺炎や心疾患などの全身疾患へと影響を及ぼします。
高齢者や全身状態の悪い人は、健常者以上に口腔ケアが必要です。
口腔ケアは、口の機能を改善して口から栄養を取れるようになることで、全身疾患の悪化を予防し、 身体機能の向上をはかり、健康な生活が送れるようになることを目的としています。
2.口腔ケアには3種類あります
口腔ケアは、大別すると次の3つのケアに分かれます。
①口腔内の清潔を保つための清掃を中心とするケア。
②口を動かしたり、飲み込む機能を維持・向上させるための機能訓練を中心とするケア。
③口腔内の乾燥を予防する保湿を中心とするケア。
必要に応じてこれらを組み合わせてケアを行います。
3.口腔ケアに必要な又はあると便利な物
口腔ケアスプレー
口腔内保湿のために使います。
乾燥した汚れをふやかしたり、ケアとケアの合間の乾燥対策に使用すると、口腔内環境の改善・維持につながります。
口腔ケアウエットガーゼ
指に巻いて口腔内を拭います。
頬の内側、上あご、舌、歯、歯茎などに付着した汚れをやさしく取り除きます。
口腔ケアジェル
口腔保湿のために使用する口腔ケア用品です。
乾燥した汚れのふやかし、口腔内マッサージにも使えます。
口腔ケアスポンジ
歯の表面、歯茎、口蓋、舌の汚れを効果的に取り除きます。
歯ブラシでは傷つきやすい乾燥した口腔内の汚れも、優しく取り除けます。
口腔ケアジェルと合わせて使うとより効果的です。
口腔ケア綿棒
凹凸のある綿棒です。
口腔内にやさしくフィットします。
口腔内のマッサージや嚥下障害の改善トレーニングに使えます。
舌苔ブラシ
舌苔とは舌に付着する汚れのことです。
口臭の主要な原因です。
歯ブラシでも取り除くことはできますが、舌の表面を傷付けてしまうことがあります。
4.ストーマのパウチに溜まった排泄物除去
ストーマ(stomaストマともいう)は、手術などによって腹壁につくられた排泄口のことで、人工肛門などの消化器ストーマと、人工膀胱などの尿路ストーマがあります。
ストーマは排泄のタイミングを自分の意志でコントロールできません。
そのため、ストーマ装具を腹部に装着して排泄物を受けとめます。
ストーマ装具は、排泄物を受けとめるストーマ袋(パウチとも呼ばれます)と、袋を取り付ける土台(面板、皮膚保護剤とも呼ばれます)からなります。
介護職員ができるのはストーマパウチの中に溜まった排泄物の処理です。
ストーマの交換は医療行為になり、できません。
5.自己導尿補助、カテーテルの準備、体位保持
排尿障害などの原因でオシッコを上手に出せなくなってしまった場合に、それを助ける手段の一つとして「自己導尿」があります。
自己導尿は、オシッコが膀胱にたまったら、自らの手でカテーテルと呼ばれる管を尿道から入れて出す方法です。
これは膀胱に優しく尿路感染の危険も少ないため、とても優れた方法です。
ただし、実際に老人介護の現場で介護職員が自己導尿を介助することはほとんどありません。
自己導尿ができない人は看護師さんが行っています。
どちらかというと特殊学校などで重度心身障害児に対して教師が行うことがあります。
6.市販の浣腸器による浣腸
「市販の」というところがポイントです。
市販品は「イチジク浣腸」などのチューブが短いものになります。
医療機関で処方されるものはチューブが長く、腸の奥の方まで挿入できます。
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