【医師が解説】鼻づまり(鼻閉)に使う花粉症治療の薬について
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こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
スギ花粉の飛散はすでに終わりましたが、現在(4/3)ヒノキ花粉が非常に多く飛んでいます。
鼻詰まり症状が出ると口呼吸しかできなくなり、夜も眠れなくなることがあります。
こうなると市販薬では対応が難しい状態になりますね。
そこで医療機関で処方される、鼻詰まりに使う花粉症薬を解説します。
ディレグラ配合錠
ディレグラ配合錠はフェキソフェナジン塩酸塩と塩酸プソイドエフェドリンの配合錠です。
つまり抗ヒスタミン薬・血管収縮薬配合剤のことです。
フェキソフェナジン塩酸塩は(OTCとして市販もされている)花粉症薬のアレグラのことです。
塩酸プソイドエフェドリンとは血管収縮薬で、
- 内服用の鼻づまり薬として広く用いられてきた医薬品である。
- プソイドエフェドリンは覚醒剤の原料となる。
- 日本でも2014年6月より、薬事法の改正によって、「乱用の恐れのある医薬品の成分」として、含有される一般薬の販売が原則で1人1箱に制限されている。
Wikipediaより引用
どの程度の鼻詰まりから使うか
添付文書では、
鼻閉症状が中等症以上の場合に本剤の使用を検討すること。
となっています。
中等症の定義が難しいですが、一般の抗アレルギー薬で治まらない鼻詰まりなら中等症以上と考えていいでしょう。
ディレグラ配合錠の注意点
先ほど説明した《塩酸プソイドエフェドリン》が入っているので色々気をつけないといけないことがあります。
添付文書から引用すると
- 糖尿病の患者[血糖値が上昇するおそれがある。]
- 高血圧の患者[血圧が上昇するおそれがある。]
- 虚血性心疾患の患者[虚血性心疾患が悪化するおそれがある。]
- 眼圧上昇のある患者[眼圧が上昇するおそれがある。]
- 甲状腺機能亢進症の患者[交感神経刺激作用が増強するおそれがある。]
- 前立腺肥大のある患者[排尿困難が悪化するおそれがある。]
1週間程度の短期間使用にとどめて、他剤へ移行するまでのつなぎの薬として使っています。
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鼻詰まりに使う漢方薬(麻黄含有薬)
麻黄とは
麻黄は学名がエフェドラといいます。
麻黄から発見・抽出された物質がエフェドリンです。
中枢神経や自律神経(交感神経)系に作用して活発化させるので、適切に使用すれば様々な良い効果をもたらしてくれます。
新陳代謝を活発にして(脂肪燃焼効果)体を温めたり、気管支を広げて咳を鎮めたり、頭をスッキリさせて集中力を高める効果もあります。
大量に摂取するとアドレナリンが出るような興奮状態を擬似的に作り出せます。
古代の宗教儀式などでハイになるために使っていたのもこの「麻黄」だったのではないかと言われています。
ドーピング検査でエフェドリンが一定濃度以上検出されれば(それが風邪気味で葛根湯を飲んだだけだとしても)ドーピングしたと見なされます。
鼻炎で使われる麻黄を含む漢方薬
麻黄含有量が多い順に
- 麻黄湯
- 葛根湯
- 小青竜湯
花粉症でよく使われる麻黄含有製剤はこの3つです。
(麻黄を含有している漢方薬はもっとたくさんあります。)
私が好んで使うのは副作用の点からも小青竜湯です。
服用すれば15分くらいで効いてきます。
ただし、3時間程度で切れるので、あくまで鼻閉症状を一時的に緩和する薬です。
鼻詰まりにつかう点鼻薬(血管収縮剤)
鼻詰まりは、鼻粘膜の腫れによって起こります。
点鼻薬の主成分である血管収縮薬は、腫れた部分への血流を減少させて鼻汁が減り、腫れも軽減させます。
しかし血管収縮薬の効き目がよいのに味をしめて続けていると、徐々に点鼻回数・使用量を増やさなければ鼻詰まりが解消しなくなります。
鼻粘膜の自律神経の本来のリズムが、点鼻薬乱用により失われてしまいます。
それでもさらに点鼻薬を乱用し続けると鼻粘膜は循環障害に陥ります。
最後は慢性の鼻詰まり(鼻閉)となってしまいます。
この血管収縮薬は市販の点鼻薬にも含まれています。
ですので処方も基本的にしてません。
血管収縮作用のある市販の点鼻薬
- コールタイジン点鼻液a(武田コンシューマーヘルスケア)
- パブロン鼻炎クイック(大正製薬)
- エージーノーズアレルカットC(第一三共ヘルスケア)
- ベンザ鼻炎スプレー(武田コンシューマーヘルスケア)・・・など
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抗ロイコトリエン薬
抗ロイコトリエン薬は効き始めるまでに時間がかかるのが欠点です。
一旦効いてしまえば、服用中は鼻詰まり症状がかなり抑えることが出来続けます。
特にこれまで紹介した薬のような心配する副作用もありません。
子供でも使うことができます。
ジェネリック医薬品も発売されているので薬価も比較的安くなりました。
抗ロイコトリエン薬が鼻詰まり症状に効く理由
引用:https://www.allergy-i.jp/kafun/kafun-know/kafun-chiryo.html
鼻の中に吸い込まれたハウスダストやダニの死骸、カビ、花粉などの吸気中の抗原は、鼻粘膜にある肥満細胞の上で抗体と反応し、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出されます。
ヒスタミンは鼻粘膜を刺激してくしゃみや鼻水を起こし、ロイコトリエンは鼻づまりを起こします。
抗原に暴露してから6~10時間後に再び鼻がつまってきますが、これは主に好酸球の活性化によって放出されたロイコトリエンによって起きるといわれます。
このロイコトリエンの放出を抑えるのが抗ロイコトリエン薬です。
ステロイド点鼻薬
ステロイド点鼻薬は鼻水、鼻詰まりのどちらの症状にも効きます。
市販薬でもステロイド点鼻薬はありますが、医療機関で処方されるものは1日1回タイプが主流です。
まとめ
- アレルギー性鼻炎による鼻詰まりは医療機関による治療が有効。
- 使う薬としてはディレグラ、小青竜湯、血管収縮剤の点鼻薬、抗ロイコトリエン薬、ステロイド点鼻薬などがある。
- 即効性があるのはディレグラ、小青竜湯、血管収縮剤の点鼻薬。ただし長期使用は控える。
- 鼻詰まり症状が出る前に抗ロイコトリエン薬と抗アレルギー薬を使用しての予防治療がお勧めです。
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