細菌性食中毒(食あたり)の種類・症状・予防まとめ
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1.食中毒と食あたりの違い
食中毒というとばい菌が付いた食べ物や痛んだ食べ物を食べてお腹をこわすといったのが一般的なイメージです。
でも食中毒の定義を調べてみるとデジタル大辞泉では
有毒物質の含まれた飲食物を摂取したことによって起こる中毒の総称。嘔吐(おうと)・腹痛・下痢などの症状がある。腸炎ビブリオ・ぶどう球菌・サルモネラ菌・病原大腸菌・ボツリヌス菌などによる細菌性のもの、キノコ・フグなどの自然毒によるもの、青酸・鉛・水銀などの化学物質によるものに分けられる。食あたり。食品中毒。
キノコやフグ、化学物質まで食中毒に含まれるんですね!
つまり食あたり≠食中毒ということです。
細菌性の食中毒がいわゆる食あたりです。
2.細菌性食中毒の種類
細菌性の食中毒には2種類あります。
感染型 | カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(「O157」といわれるもの)、腸炎ビブリオ、コレラ菌、赤痢菌など |
毒素型 | 黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌など |
感染型食中毒
細菌に感染した食品を摂取し、体内で増殖した細菌が病原性を持つことで起こります。
毒素型食中毒
食品内で細菌が産生した毒素を摂取することで起こります。
(細菌性ではないですが)ウイルス性食中毒
ウイルスが蓄積している食品の摂取や、人の手を介して感染が起こります。
参考記事→ノロウイルスが流行り始めました。
日本での食中毒事件数
月別食中毒発生状況は毎月60~120件。
患者数は集団感染を来たしやすいノロウイルスの影響のため12~3月が多い。
患者数1位:ノロウイルス 8,000~14,000例/年
患者数2位:カンピロバクター 1,500~3,000例/年
患者数3位:サルモネラ属菌
細菌ではカンピロバクター、ウイルスではノロウイルス、寄生虫ではアニサキスによるものが多い。
3.主な細菌別食中毒の症状・特徴
原因菌により潜伏期も主な症状も異なります。
食べて間もなく発症するものもあれば、数日経ってから発症するものもあります。
病原体/おもな感染源/潜伏期/おもな症状
・カンピロバクター・ジェジュ二/コリ
トリ肉、生レバー、食肉から汚染したサラダ、ペット
2~5日
下痢(腐敗臭のある水様便、時に血液まじる)、腹痛、発熱
・サルモネラ属菌
肉類(ブタ、ウシ、トリ)、鶏卵、ミドリガメ、卵
6~24時間
発熱、頭痛、腹痛、下痢、嘔吐
・ブドウ球菌
人の皮膚・便、手を介して調理される食品(おにぎり、サンドイッチ、お弁当、和洋菓子など)
1~5時間
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
・腸炎ビブリオ
海水魚、イカ、タコ、貝類、甲殻類
6~12時間
激しい腹痛、下痢(水様性の便)、嘔吐、発熱
・病原性大腸菌
ウシ、ヒツジなどの家畜や感染者の糞便に汚染された食品や水
腸管病原性大腸菌(EPEC)
12~24時間
下痢(粘液便、水様便)、腹痛、嘔吐、発熱
毒素原性大腸菌(ETEC)
12~72時間
下痢(米のとぎ汁様の水様便)、腹痛、嘔吐
腸管組織侵入性大腸菌(EIEC)
1~5日
下痢(血便、粘液便)、腹痛、発熱、しぶり腹
腸管出血性大腸菌(EHEC)(“O157”といわれている)
3~5日(10日以降もあり)
下痢(血液が混じった水様血便)、激しい腹痛
腸管凝集付着性大腸菌(EaggEC)
7時間~7日
下痢(水様性便)、腹痛、嘔吐、発熱
4.細菌性食中毒を予防するための衛生管理
1.食材の取り扱い方
食材には目の見えない微生物が付いています。
害のない微生物まで取り除く必要はありませんが、食中毒の原因となる病原菌をなるべく付けない・増やさないことが大事です。
具体的には
肉・魚・卵
・肉、鶏卵、魚は、新鮮なものを購入する。
・肉や魚は、肉汁や魚の水分がもれないように、ビニール袋などに入れる。
・鮮度に注意し、できる限り十分な加熱調理を行う。
・肉や魚を触った後は、十分に手を洗う。
・肉や魚を使った調理器具(まな板、包丁、ボールなど)は、洗剤でよく洗う。洗浄後、熱湯をかけたり除菌剤で除菌するとなおよい。
野菜
・野菜も新鮮なものを購入する。
・調理する前にはよく洗う。特に、生で食べる場合は要注意。
・カット野菜も、よく洗う。
2.調理の際に気をつけること
・調理する人は、調理前、調理後に十分に手を洗う。
正しい手洗いの動画はこちら→クリック
・ネズミ・ゴキブリ・ハエ・イヌや猫などをキッチンに入れない。
害虫はともかくペットは入れてしまうこともあるかと思います。
カンピロバクターやサルモネラ菌などはこれらの動物が原因になります。
・台所、調理器具、食器の消毒・除菌
まな板などは洗った後にキッチンハイターなどで除菌が必要です。
・十分に加熱調理する。
加熱調理する食品の加熱の目安は食品の中心の温度 75℃以上、1分間以上です。
3.飲食する際の注意点
- 飲食する前には、必ず手を洗う。
- 作ったものはなるべく早く食べる。
- 食べ残した食品は、できるだけ早く、衛生的に冷所・冷蔵保存する。
- 海外では、生水、氷の飲食は避ける。衛生管理が心配な場所では、生野菜、カットフルーツなどは食べないようにする。
5.食中毒になってしまったとき
・強力な下痢止めは使わない。
菌やウイルスを長時間腸管内にとどめることになり、治癒を遅らせます。
・下痢や嘔吐による脱水に気をつける。
経口補水液を飲めるときは少しずつ飲む。
参考記事→シーンに応じた水分補給のまとめ
水分を経口摂取できない時は医療機関を受診しましょう。点滴による補水が必要です。
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