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帯状疱疹の新ワクチン(シングリックス)の接種について

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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最近、帯状疱疹の予防ワクチンについて接種可能か、あるいは費用はどのくらいかかるかなどを質問を受けるようになりました。

以前に「帯状疱疹予防には水痘ワクチン」という内容で書いていますが、2020年に新しい帯状疱疹予防ワクチンが発売されたので、こちらを中心にお伝えしていきます。

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帯状疱疹とは

身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点(はんてん)と小さな水ぶくれが帯状(おびじょう)にあらわれる病気です。

この症状に由来して、「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」という病名がつけられました。

帯状疱疹は、身体の中に潜(ひそ)んでいたヘルペスウイルスの一種、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって起こります。

水ぼうそうにかかったことのある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。

マルホ(株)のホームページより引用

 

赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に出現します。

 

水ぼうそうになった後もこのウイルスは体の中に潜んでおり、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になると言われています。

帯状疱疹の症状として、顔面や頭皮、背中、脇腹、太ももに痛みを伴う皮疹が出現します 。

50歳以上で帯状疱疹を発症した人の18%は、皮膚症状が治癒した後も痛みが続く帯状疱疹後神経痛になると言われています。

また、目や耳の神経が障害されるとめまいや耳鳴り、重症化すると視力低下や顔面神経麻痺などの後遺症が残ることがあります。

 

帯状疱疹の新ワクチン(シングリックス)の効果と副反応

50歳以上の方は帯状疱疹を予防するためのワクチンを接種することができます。

これまでは水ぼうそうの予防にも使われている水痘生ワクチンが使用されてきましたが、2020年1月に新しい帯状疱疹ワクチンである「シングリックス」が発売となりました。

シングリックスは2ヶ月間隔で筋肉内に2回接種する不活化ワクチンです。

帯状疱疹に対する予防効果は、50歳以上では97.2%、 70歳以上では89.8%、また帯状疱疹後神経痛に対する予防効果も 88.8%と報告されており、水痘生ワクチンよりも高い効果が期待できます

ワクチン接種による免疫反応のため注射部位の痛みや腫れがあらわれますが、多くは3日以内に治まります。

院長
院長
かなりの接種痛があり、コロナワクチンほどではないですが2-3日の筋肉痛や倦怠感などもあります。この副反応の多くはワクチン効果を高めるために入っているアジュバントのためと思います。

また、シングリックスは不活化ワクチンのため、6日以上あければ他のワクチンを接種することができ、免疫抑制薬使用中や化学療法中など免疫抑制状態にある方でも接種が可能です。

 

従来の帯状疱疹ワクチンと「シングリックス」の違い

  • シングリックスのほうが独自に開発されたこともあり、接種費用が高価である。
  • 予防効果は「シングリックス」のほうが高い。
  • 「シングリックス」は免疫がさがった人にも接種できる。(慎重に接種する必要はあるが、禁忌ではない)

 

帯状疱疹予防効果

  • 従来の帯状疱疹ワクチン:接種後3~11年で予防効果が減弱すると報告している論文もあり、ずっと効果が続くわけでない点に注意が必要。
  • シングリックス:発症予防効果が少なくとも9年間たっても認められている。
院長
院長
新しいワクチンのため、今のところ9年しか効果を追えていないためです。

 

帯状疱疹ワクチンの対象者

従来の帯状疱疹ワクチン

50歳以上の方が原則対象になります。(任意接種であり、1回接種です)
過去に帯状疱疹にかかっていても接種できます。
逆に、帯状疱疹ワクチンを受けてはいけない方としては、

  • 化学療法やステロイドなど免疫を抑える治療をしている方
  • 免疫力が落ちている方(HIV感染)
  • 妊娠していることが明らかな方
  • 水痘ワクチンによる強いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがある方
  • カナマイシン、エリスロマイシンの抗生剤にアレルギー反応を起こした方
    (ワクチンにこれらの抗生剤の成分が入っています)

なお、ワクチン接種後、2か月間は妊娠を避けてください。

 

シングリックス

接種対象年齢は、従来の帯状疱疹ワクチンと同じく50歳以上となります。
過去に帯状疱疹にかかっていても接種できます。

しかし、以下に当てはまる方は接種を行ってはいけません。

  • 明らかな発熱(通常37.5℃以上)がある方
  • 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
  • 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
  • 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある方

 

以下の方は接種に対して「慎重に」投与する方になります。(絶対に接種を行ってはいけないわけではありません)

  • 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患等の基礎疾患がある方
  • 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方
  • 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある方
  • 過去に痙攣したことがある方
  • 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる方
  • 血小板減少症や凝固障害を有する者、抗凝固療法を施行している方
院長
院長
従来の帯状疱疹ワクチンと比べ、免疫力が低下している人でも接種できるのはいいですね!

ちなみに米国では帯状疱疹ワクチンとしてこの不活化ワクチンのみが認可されているようです。

ワクチン接種費用

費用は以下の通りです。(シングリックスは2回接種)(接種希望の方は事前に連絡をお願いします)

従来の帯状疱疹ワクチン8,000円(税込)
シングリックス1回 22,000円(税込)

また一部帯状疱疹ワクチンの助成が受けられる地区・自治体があります。

特にシングリックスの場合は高額になるので、お住まいの自治体に確認してみるとよいでしょう。

 

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