三重県松阪市の医療と介護の専門家 

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無差別にCOVID−19(新型コロナウイルス)のPCR検査することは感染対策上有意義か?

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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こんにちは!

三重県松阪市の医療と介護の専門家、

西井医院の院長(  @nishii.hospital)です。

 

風邪症状があれば、全員COVID-19(新型コロナウイルス)を検査をしたらどうなのか?

といった意見がテレビ出演している(よく分かっていない)コメンテーターが述べることがあります。

なぜしないのかをTwitterにて「Fumie Sakamoto,MPH,CIC 坂本史衣@SakamotoFumie」さんが分かりやすく解説していたので転載させて頂きました。

 

無症状者や軽症者を含め、無差別にCOVID−19のPCR検査することは感染対策上有意義か?ということについてですが、以下の理由により、現時点で有意義とは言えません。

 

理由① 感染者の30-70%はPCR検査が陽性にならない

どのような検査でも感度(感染した人のうち検査で検知できる人の割合)は100%ではありません。

これまで報告されているCOVID−19 PCR検査の感度は30-70%と幅があり(検査の時期や採取部位なども感度に影響するため)、いずれにしても100%ではありません

感染者を全例把握するには心許ない検査です。

また、現在のようにまだ有病率(COVID−19にかかっている人の割合)が低い状況では、陽性の結果は実は誤りである可能性が高まります(ベイズの定理)。

 

理由② 無症状や軽症のPCR陽性者は治療の対象とならない

重症の患者さんにとっては病気の原因がCOVID−19であることを特定することは治療の方向性を明確にするために重要です。

しかし無症状の方は検査陽性でも治療の対象とはなりません。

軽症な方もそうです。

そもそもCOVID−19の治療法は確立していません。

現在国内では接触歴が追えない感染者が増えています。

そのためこれからのCOVID−19対策は、検査で感染者をつぶさに見つけて(とは言え①の理由で限界がありますが)感染の拡大を防ぐことから、重症な患者さんを死なせないことに注力する方向へとシフトして行くと考えられます。

COVID−19に罹るほとんど(80%)の方は長めの風邪をひいて治ります。

幸い小児にはこれまで感染例も重症例も少なく、妊婦さんも少数の感染者を見る限り重症例はほとんど出ていないようです。

 

これからはCOVID−19には誰もがかかりうるという前提で、軽症者は自宅で休養し、限られた(検査を含む)医療資源は重症者の治療に振り分けることが必要になります。

このような国内でのCOVID−19の発生状況や次項の③を考えた場合、無症状あるいは風邪やインフルエンザの初期症状のある軽症の方をPCR検査で特定することの意義は薄いと言えます。

 

理由③ PCR検査は病院では実施ができない

PCR検査は病院では実施ができない(今後は実施できる病院が増えるが限られる)うえ、結果が出るまでに長時間を要し、費用も高額です。

PCR検査はウイルスの遺伝子を増幅させる検査法で特殊な装置、検査キット、技術を要します。

インフルエンザの迅速検査のように鼻に綿棒を入れて誰もが30分ほどで簡単に結果を出せるものではありません

現在病院でCOVID−19のPCR検査を行うことはできません。

医師が検査が必要と判断したら、保健所に書面と電話で依頼し、保健所が病院に検体を取りに来て、検査センターまで運び、そこから検査が始まることになります。

検査自体の所要時間は約5時間ですが、検体の受け取りから結果の報告までにそれ以上の時間がかかるため、当日中に結果が出ることは稀です。

 

また、一度に多数の検体が検査センターに搬入されると待ち時間がさらに長くなり、結果報告までに2日ほどかかることもあります。

そのため、検査をすることになった患者さんの多くは、軽症でも入院を要することになります。

そして検査にかかる費用も高額です。

今後は病院でも検査ができるように準備が整えられていますが、すべての病院で実施できるようになるわけではありません。

このような中で無症状あるいは軽症な方にまで検査を拡大すると、重症な患者さんの検査が後回しになる恐れが生じます

また検査のための手続きに時間を取られ、重症な患者さんの治療に割く時間が減ってしまうことに繋がります

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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