津市で麻疹が集団発生! 麻疹の症状と合併症、ワクチンについて
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津市で麻疹が集団発生しました。
現在三重県の医療機関には「麻疹患者に気を付けてください」のFAXが届いています。
以下は1月12日のNHKニュースからです。
津市で12月下旬に開かれた研修会に参加した三重県内に住む10代から20代の合わせて10人が11日までに相次いではしかに感染したことがわかり三重県は注意を呼びかけています。
麻疹(はしか)は非常に危険な病気です
「はしか」というと何となく誰でも一度はかかって予後も悪くない病気のようなイメージを持っている人もいるでしょう。
「そんなものははしかにかかったようなものだ」と言われることがあるからかも知れません。
「だれもが一度は通る道だから、特に騒ぎたてることはない」というような意味で引用されることが多いと思います。
実はそんなことはありません。
感染力がとても強く、かつ致命的になることもあり危険な病気です。
そのためワクチン接種をして予防をし、患者が発生すれば保健所に届けなければいけないのです。
麻疹は、子供がかかる病気と思われがちですが、最近は周囲にワクチンを打っている子供が多いため、子供の頃にワクチンを打たなくても麻疹にかからずに来た大人がいます。
大人であっても注意が必要です。
麻疹特有の重い症状に太刀打ちできる策がなかった昔は、「麻疹は命定め」と言われていたほどです。
麻疹は春に流行が多い
なぜ、春に流行するのか?
その一因といわれているのが、やはり「新しい環境」です。
大学の講義や会社の研修など、大人数で集う機会も増えます。
そうなると、麻疹の感染症ウイルスが存在する確率が増えます。
そして免疫を持っていない人がその場で空気感染してしまうケースが増えるというわけです。
麻疹の治療
麻疹は「治療する」というよりは「症状を緩和する」療法が行われています。
対策として効果的なのは、やはり予防接種です。
その予防接種も、1回のみ行った人と2回行ったことのある人では、感染の確率が変わってきます。
現在の若年層の中には、「1回のみ」の予防接種、もしくは1回も受けていない方もいます。
このため近年になって「大人の麻疹」に注目されるようになりました。
麻疹は子供がかかるものと見なさずに、まだ罹患したことのない方は、一度ぜひ医師の診断を仰いでみてください。
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麻疹の症状
麻疹の症状は前駆期(カタル期)と発疹期に分かれます。
前駆期(カタル期)
麻疹ウイルスは麻疹患者の咳の飛沫、鼻汁などを介して気道、鼻腔および眼の粘膜上皮に感染します。
伝染力が強く、初感染時には不顕性感染はなく必ず発症します。
感染後に潜伏期10~12日を経て発症します。
この時期は38℃前後の発熱が2~4日間続き、上気道炎症状(咳嗽、鼻漏、くしゃみ)と結膜炎症状(結膜充血、眼脂、羞明)が現れ次第に増強します。
発疹出現の1~2日前頃に頬粘膜に、やや隆起し紅暈に囲まれた約1mm径の白色小斑点(コプリック斑)が出現します。
発疹期
カタル期の発熱が1℃くらい下降した後、再び高くなるとともに発疹が出現します。
発疹は斑丘疹で、毛髪線から始まり、顔面、頚部に出現し、その後遠心性に手足に向かって広がります。
発疹が全身に広がるまで、発熱(39.5℃以上)が3~4日間続き、発疹は次いで暗赤色となり、出現順序により退色する。
発疹期にはカタル症状は一層強くなり、特有の麻疹様顔貌を呈します。
発疹は5~6日持続した後、出現したのと同じ順序で消退し、あとに色素沈着を残します。
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麻疹の出席停止期間
麻疹患者の気道からのウイルス分離は、前駆期(カタル期)の発熱時に始まります。
発疹出現時を最高として徐々に減少し、第5~6発疹日以後(発疹の色素沈着以後)は検出されなくなります。
この間に感染力をもつことになります。
予防のための医学的隔離期間は発疹出現後5日までとされています。
また、麻疹は学校保健法による第二種伝染病に分類されます。
出席停止期間の基準は、解熱した後3日を経過するまでとされています。
麻疹の合併症
発症者の約30%が合併症を併発します。そのうち約40%が入院を必要となります。
麻疹の二大死因は肺炎と脳炎です。
(1)肺炎
肺炎は6%におこると報告されています。
麻疹ウイルスそのものによるウイルス性肺炎、細菌による二次感染である細菌性肺炎、肺で麻疹ウイルスが持続感染した結果生じる巨細胞性肺炎(重症、予後不良)などがあります。
(2)中耳炎
麻疹患者の約5~15%に合併します。乳様突起炎を合併することがあります。
(3)クループ症候群
喉頭炎および喉頭気管支炎は合併症として多く、呼吸困難が強い場合は気管内挿管による呼吸管理が必要になります。
(4)心筋炎
心筋炎、心外膜炎をときに合併することがあります。
(5)中枢神経系合併症
1000例に0.5~1例の割合で脳炎を合併します。
患者の約60%は完全に回復しますが、20~40%に中枢神経系の後遺症(精神発達遅滞、痙攣、行動異常、神経聾、片麻痺、対麻痺)を残し、死亡率は約15%です。
(6)亜急性硬化性全脳炎(subacute sclerosing panencephalitis:SSPE)
麻疹ウイルスに感染後、特に学童期に発症することのある中枢神経疾患です。
知能障害、運動障害が徐々に進行し、発症から平均6~9カ月で死の転帰をとる予後不良の疾患です。
治療方法がありません。
発生頻度は麻疹罹患者の10万例の1人、麻疹ワクチン接種者100万人に1人とされています。
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麻疹の予防
予防策はワクチン接種に尽きます。
麻疹は感染力が強く、空気感染もするので、手洗い、マスクのみで予防はできません。
麻疹含有ワクチン(主に接種されているのは、MRワクチン)を接種することで、95%以上の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。
また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。
さらに、接種後年数の経過と共に、免疫が低下してきた人に対しては、2回目のワクチンを受けることで免疫を増強させる効果があります。
2006年度から1歳児と小学校入学前1年間の幼児の2回接種制度が始まりました。
また、2008年度から2012年度の5年間に限り、中学1年生と高校3年生相当年齢の人に2回目のワクチンが定期接種として導入されていました。
生まれた年代別の接種回数
- 1977年(昭和52年)4月1日以前に生まれた世代は、任意接種であったため、1度も定期接種をしていない。ただし流行により麻疹に罹患し、麻疹の免疫を獲得している場合もある。
- 1977年(昭和52年)4月2日〜1990年(平成2年)4月1日に生まれた世代は1回接種法であり、キャッチアップキャンペーン非対象だった。免疫がついていない可能性が高く、最も麻疹や風疹感染の危険が高い年代である。
- 1990年(平成2年)4月2日以降に生まれた世代は、キャッチアップキャンペーンを含めると、これまでに2回接種する機会があった。
- 定期接種で95%以上の接種率を目標としているが、予防接種歴が明らかな者だけで見ても、2回接種している者は80%以下である。
麻疹ワクチンを打っておらず罹ったことがあるか分からない場合
血中の麻疹抗体価を測定することで、麻疹に対する免疫の有無を調査することが可能です。(自費になります。)
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最後に
冒頭の津市の集団発生は10代から20代です。
1月15日では20人にまで増えました。
本来2回ワクチン接種をしている年代なので、集団発生が起こらないはずです。
にも関わらず集団発生したということは出席者の多数がワクチンを打っていないということになります。
信仰の自由は大切ですが、周囲を危険に晒す疾患のワクチンは打つようにしてほしいと思います。
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