三重県松阪市の医療と介護の専門家 

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「脳貧血」と「貧血」の違い ~起立性低血圧(立ちくらみ)とは~

 
この記事を書いている人 - WRITER -
1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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こんにちは!

三重県松阪市の医療と介護の専門家、

西井医院の院長(  @nishii.hospital)です。

 

診察をしていると時々

「貧血だと思うんです」

と言われることがあります。

血液検査をした上で貧血と診断されていれば間違いないですが…。

院長
よくよく話を聞くとほとんどが立ちくらみです。

 

脳貧血と貧血は、めまいや立ちくらみなど一部の症状が似ていますが、実はまったく違うものです

貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンの減少によって起こるものです。

 

「脳貧血」と「貧血」の違いについて

脳貧血とは

脳貧血=立ちくらみ=起立性低血圧のことです。

起立性低血圧とは、立った時に脳への血液の供給が低下することで起こります。

急に立ち上がると、血液は下半身に集まります。

通常は自律神経が下半身の血管を縮めて血液を押し上げ、上半身の血液を保つように働きます。

自律神経が乱れると、血管を縮める反応が遅れてしまいます。

そうすると上半身の血液が不足し、脳の血液の流れが一時的に少なくなり、立ちくらみが起こります。

目の前が真っ暗になり意識を失いそうになったり、意識を失うこともあります。

院長
普段から血圧が低い人もいますが、起立時に血圧の変動が少なければ立ちくらみなどの症状は出ません。

 

貧血とは

原因は様々ですが、血液中の赤血球やヘモグロビンの減少によって血液の量が不足している状態です。

よくある貧血の原因としては

  • 鉄欠乏性貧血
  • 胃切除術後のビタミンB12不足による貧血
  • 腎機能低下による腎性貧血
  • (肺炎などの)炎症後の消耗性貧血
  • スポーツ貧血(スポーツが原因で起こる貧血。比較的ハードなスポーツを継続する選手に多い)
院長
他にも貧血の原因は色々あります。あくまで外来診察でよくある貧血の原因です。

 

 

 

起立性低血圧の原因と対策

1.循環器系疾患によるもの

心臓からの血液の供給が何らかの原因で減少し血圧が低下することで起こります。

血圧が低下し脳への血流が減ると目の前が真っ暗に感じて倒れてしまいます。

不整脈が原因のこともあり、循環器内科で精査が必要です。

 

2.体位変動によるもの

座った状態から突然立つと、頭の位置が上にあがり、血液を座った状態よりも上に持ち上げないといけません

普通は血圧が高くなることで体が反応するのですが、何らかの理由で血圧が高くならないと立ちくらみを起こします。

自律神経系の反応が何らかの理由で鈍くなっていることが多いです。

立ち上がる時はゆっくりと立ち上がることが対策です

しかし、立ちくらみの頻度が多かったり、意識を失ったりするなど重症の場合は血圧を上げる薬を投与していきます。

院長
急に倒れて頭をぶつけたりすると怖いですね。

 

3.出血性によるもの

出血性胃潰瘍などにより、体内の血液量が低下することで脳への血液量が減ります。

そのため重症になると脳が血液が不足した状態になり、目の前が真っ暗になります。

胃や腸からの出血はすぐには分かりにくいですが、黒色便や血便などが見られたときは胃や腸から出血している可能性が高いです。

すぐにでも内科又は消化器科を受診しないといけません

 

4.薬剤性のもの

高血圧症の治療薬を複数服用している場合が多いです。

薬が効きすぎて血圧が下がり過ぎたことにより脳への血液量が低下します。

季節の変わり目などで暖かくなると血管が拡張し、自然と血圧が低下し始めます。

その時点で冬用に降圧薬を強めに処方されている場合などに生じたりします。

 

とりあえずその場では横になり安静にしてください

その後、かかりつけの医師を受診し、状況を報告してください。

その後は医師の指示に従いましょう。

院長
たまに血圧の薬を複数飲んでいる場合、自己判断で全て中止する人がいます。急激に血圧が上昇し脳卒中の原因となることもあり危険です。

 

自律神経が原因の起立性低血圧について

起立性低血圧はいつ起こりやすい?

めまいやふらつきなど起立時の症状は午前中に出現しやすく、とくに食後や運動後に悪くなることがあります。

高齢者ではときに食後に一過性の意識消失発作(失神)として症状が現れることもあります。

その原因として、食後に血液が内臓にたまることで全身の血管抵抗を減少させているとされています。

 

起立性低血圧の診断

起立性低血圧の診断のためには、血圧を測定する検査を行ないます。

 

起立時に血圧測定を行う起立試験を行なって、寝ている姿勢や座っている姿勢での血圧に比べ、立ち上がったあと3分以内に収縮期血圧20mmHg以上、拡張期血圧10mmHg以上の数値が落ちた場合には、起立性低血圧を起こしていると判断されます。

 

自律神経の異常を引き起こす病気

院長
自律神経の異常を引き起こす病気は下記の様に沢山あります。

原因を確定するために色々検査が必要となることもあります。

 

  1. 特発性自律神経障害
    1. 純粋自律神経失調(Bradbury-Eggleston症候群)
    2. 多系統萎縮症(シャイ・ドレーガー症候群)
    3. 自律神経障害を伴うパーキンソン病
  2. 二次性自律神経障害
    1. 加齢
    2. 自己免疫疾患 – ギラン・バレー症候群、混合性結合組織病、関節リウマチ、ランバート・イートン症候群、全身性エリテマトーデス
    3. 腫瘍性自律神経ニューロパチー
    4. Central brain lesions – 多発性硬化症、ウェルニッケ脳症、視床下部や中脳の血管病変、腫瘍
    5. ドーパミンβ-水酸化酵素欠損症
    6. Familial hyperbradykinism
    7. 全身性疾患 – 糖尿病、アミロイドーシス、アルコール中毒、腎不全
    8. 遺伝性感覚性ニューロパチー
    9. 神経系感染症 – 後天性免疫不全症候群、シャガース病、ボツリヌス中毒症、梅毒
    10. 代謝性疾患ビタミン – ビタミンB12欠乏症、ポルフィリン症、ファブリー病、タンジール病
    11. 脊髄病

Wikipediaより引用

 

まとめ

  • 脳貧血と貧血は全く別物です。
  • 起立性低血圧の原因はいろいろある。
  • 起立性低血圧を頻回に生じる時は医師に相談する。
  • 起立性低血圧を起こしやすい人はゆっくりと立ち上がる。

 

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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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