三重県松阪市の医療と介護の専門家 

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女性のライフステージに伴う骨粗鬆症予防と治療~10代から70代まで~

 
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1974年生まれ。2000年三重大学医学部卒業。三重県松阪市で内科クリニックを10年前からしています。診療所に併設して有料老人ホーム、認知症対応型グループホームもあり、自宅生活の方も含め在宅医療も行っています。 また、インスタグラムでフォロワー1万人超のアカウントを2つ運営するインスタグラマーでもあります。 地域のかかりつけ医として気軽になんでも相談してください。医療と介護の両面から一緒に考えます。
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こんにちは!

三重県松阪市の医療と介護の専門家、

西井医院の院長(  @nishii.hospital)です。

 

骨の健康は若いころからの生活習慣が影響します

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨がもろくなって骨折しやすくなり、寝たきりの原因ともなる病気です。

背中が丸くなったり腰が痛くなったりして、高齢者の生活の質を著しく低下させます。

出典:https://chugai-pharm.jp/pr/npr/ictool/about/i1/index.html

 

骨粗鬆症の予防は実は一生の問題です。

若い時には「骨」を意識することはあまり無いかもしれません。

しかし、高齢となった時に元気に過ごすためには若い時から丈夫な骨を作る習慣が必要です。

今回は年代別にQ&Aで解説します。

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Q1:ダイエットをすると、将来骨粗鬆症になる?(10代)

A:今からしっかり予防をすれば大丈夫です。無理なダイエットは止めましょう。

子供の頃から思春期にかけての成長期(10~14歳)は骨の量(骨量)が最も増える時期です。

 

骨量は18歳ごろにピークを迎え、44歳ごろまではほぼ変わりません

 

ダイエットのために栄養不足になったり、ホルモンバランスがくずれると、若い世代でも骨量がふえないどころか減少することもあります。

成長期はしっかり骨の貯金をして、将来骨粗鬆症になりにくい体を作りましょう。

 

骨粗鬆症予防には偏食せず、栄養バランスのよい食事をすることが大切です。

また、若いうちに運動していた人は骨量が高く、骨折が少ないことが分かっています。

運動する習慣をつけましょう。

さらに、成長ホルモンの分泌をうながすために睡眠を十分にとることと、できるだけストレスを発散させるように心がけることも大切です。

 

Q2:母乳を子供に与えると、骨粗鬆症になる?(20~30代)

A:授乳中は骨量の数値が一時的に低くなることはありますが、母乳を長期間与えることによって骨粗鬆症になることはほとんどありません。

 

妊娠・授乳中にはカルシウムが母体から赤ちゃんに供給はされます。

これにより一時的に骨量は減少気味となりますが、離乳後は妊娠前の骨量に回復します。

しかし、もともと骨量の低い人はまれに骨粗鬆症になることもあります。

確認のために、授乳が終わったら再度検査を受けた方がよいでしょう。

 

1日のカルシウム摂取推奨量は18~69歳の女性で650mgです

日本人の平均カルシウム摂取量はこれに足りていないのが現状です。

妊婦さんや授乳婦さんは意識してカルシウム摂取量を増やしましょう。

加えてカルシウム吸収をよくするビタミンD、骨の形成を助けるビタミンK、骨の構成成分となるたんぱく質もしっかり摂ることが大事です。

*日本人の食事摂取基準(2015年版)による

カルシウムの多い食品

ビタミンKの多い食品

納豆、緑黄色野菜、海藻類に多く含まれます。

ビタミンDを多く踏む食品

ウナギ、鮭、サンマ、干しシイタケ、鶏卵(卵黄)などに多く含まれます。

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Q3:骨粗鬆症になっても、仕事に復帰できますか?(40代)

A. 今はよい薬もあります。適切な薬物治療を行えば、再骨折を予防することもできます。

もちろん仕事にも復帰できます。

 

骨粗鬆症の大部分は閉経により女性ホルモンのエストロゲンが欠乏して生じる「原発性骨粗鬆症」です。

しかし、エストロゲンは主に卵巣で作られているので、両側卵巣摘出をした場合や長期間の無月経でも骨粗鬆症になることがあります。

 

病気が原因で骨粗鬆症になるものを「続発性骨粗鬆症」といいます

続発性骨粗鬆症を招きやすい原因

  • 甲状腺の病気
  • 糖尿病
  • 肝臓病
  • 腎臓病
  • 胃切除後
  • 両側卵巣摘出
  • 長期間の無月経
  • ステロイド薬の使用
  • ホルモン抑制剤(乳がんや子宮内膜症の治療で使います)

病気や薬が原因で骨粗鬆症を来した場合、元の病気と並行して骨粗鬆症の薬を使うことがあります。

院長
経口ステロイドの長期使用が予測できるときは予防的に薬を処方したりします。

 

Q4:カルシウムを摂り運動しているが、骨粗鬆症になったのはなぜ?(50代)

A. 骨粗鬆症の原因にはカルシウム不足や運動不足のほかに、カルシウムの吸収を妨げる喫煙や過度の飲酒、遺伝的なものなど色々あります。

 

出典:https://chugai-pharm.jp/pr/npr/ictool/fracture/i1/index.html

 

 

骨量を増やすには、骨に負荷をかけることが必要

運動といっても内容によっては骨粗鬆症予防にあまり役立たないものもあります。

例えば水泳は筋肉をつけたり心肺機能を高めるにはよい運動です。

しかし、水中では浮力が働いてしまい、骨に負荷がかかりません。

そのため、骨を強くする作用はあまりありません。

骨に負荷をかけつつ、激しくない運動となるとウォーキング、ダンスなどの運動が望ましいです

骨粗鬆症の要因(避けられる危険因子

  • カルシウム不足
  • ビタミンD不足
  • ビタミンK不足
  • リンの過剰摂取
  • 食塩の過剰摂取
  • 極端な食事制限(ダイエット)
  • 運動不足
  • 日照不足
  • 喫煙
  • 過度の飲酒
  • 多量のコーヒー など

 

骨粗鬆症の要因(避けられない危険因子

  • 加齢
  • 女性
  • 体格(小柄、やせ)
  • 家族歴
  • 遅い初経
  • 早い閉経
  • 過去の骨折 など

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Q5:診断されたら骨粗鬆症の治療は薬を飲まないといけませんか?(60代)

A.  骨粗鬆症となった場合は、食事や運動だけでは骨量は十分に増加しません。

 

よく使われる「ビスホスホネート製剤」は、骨の溶け出しを抑えて骨量を増やすお薬です。

骨折の予防効果が高いことが分かっています。

以前は毎日服用しないといけませんでしたが、最近では月1回の内服や注射、1年に1回の点滴注射製剤などが現れて便利になっています。

 

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版 2015;ライフサイエンス出版より作成(一部改変)

 

骨量は短期間では増加しません。長期に渡っての治療が必要です。

医師は、患者さんの年齢や症状の進み具合により、どの段階でどの薬を選ぶのがよいか判断します。

骨粗鬆症治療の基本は、薬物療法を中心に食事・運動療法が必要です。

 

Q6:骨粗鬆症になると、寝たきりになってしまいませんか?(70代)

A.  年をとっても、治療により骨量を減らさずに増やすことができます。

骨量を増加させる薬とリハビリであきらめず治療を続けましょう。

 

まずは骨粗鬆症外来などのある病院で骨量を測定して、信頼できる医師のもとで治療を受けましょう。

最近は病診連携により総合病院で定期的に骨量を管理しつつ、投薬や注射はかかりつけ医で行う方も増えています。

薬で骨量を回復させながら、骨を丈夫にする食品(Q&Aの2参照)もしっかり摂るようにしましょう。

痛みに対しては、症状により様々な効果的な薬があるので医師に相談しましょう。

 

背骨の圧迫骨折があると、足の付け根の大腿骨近位部骨折も起こりやすい

大腿骨近位部骨折は寝たきりや要介護の原因となりやすいです。

要支援・要介護の原因

出典:https://chugai-pharm.jp/pr/npr/ictool/progress/i1/index.html

 

また、1年後の死亡率も高く、意外と予後不良の骨折です。

出典:https://chugai-pharm.jp/pr/npr/ictool/progress/i2/index.html

 

新たな骨折を防ぐための治療を始めて、転倒予防教室や運動教室などで自分に合った運動をしましょう。

運動により体の機能回復が期待できます。

介護保険で認定を受けた方であれば通所リハビリテーションに介護保険を利用して通うこともできます。

 

まとめ

骨粗鬆症はお年寄りの病気と思いがちですが、実は若い頃からの生活習慣が骨に影響を及ぼします。

歳をとった時に元気でいることができるように、若い時から骨にも気を使ってあげましょう。

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